Preludia - Unofficial website for Rafal Blechacz

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2013年12月30日月曜日

Memories


photo credit; marcoanelli.com/gestrures-of-the-spirit/


いくつか前の記事にも書きましたが、本格的な音楽愛好家の方々にこのピアニストの演奏を聴いていただくことが、私のやりたいことのひとつでした。もうひとつ、インタビューでもレビューでも、彼に関する正確な情報を提供して、彼と彼のファン達の役にたちたい、という思いもありました。

この目標は、ある程度、達成できたと思っています。そのために自分が使ってきた膨大な時間とエネルギーや、予期せぬ良くないことも起こったことを思うと、自分がやってきたことが本当に正しかったのか、とも思います。

しかし、まずは、できたことに対して満足しようと思っています。
ラファウ・ブレハッチ氏も、ますます人の心の糧となるような演奏をするような大きな演奏家になっていかれますように、と、静かに祈っています。


PS (1月9日追記)
ラファウ・ブレハッチ氏は、4年に1回、優秀かつ有望な演奏家に贈られる2014年Gilmore Artist賞を受賞しました。コンクールとは異なり、かなりの期間をかけ、欧米の審査員が演奏会や録音を聴き、本人にインタビューするなど秘密裏に審査し選出する、権威あるこの賞のこれまでの受賞者には、レイフ・オヴェ・アンスネスやピョートル・アンデルシェフスキといった名演奏家が名を連ねます。1月8日午後17時半(米国東部時間、日本時間9日朝7時半)より、ニューヨークでの受賞記念の演奏やインタビューがTVで生放送されました。静かにしているつもりでしたが、ファンや関係者の方からさまざまなご連絡をいただき、記念に記しておきます。彼がインタビューで述べているように、ミシガン州で開催されるギルモア音楽祭は、彼が2008年春に米国デビューをした、記念すべき場でした。あの時演奏した、モーツァルトも演奏されました。来日公演でも感じましたが、随分変わりました。感慨深いです。

こちらのリンクで、NYのGreene Spaceで行われた、受賞記念の演奏・インタビューのビデオを見ることができます。

こちらは、公共放送NPRとのインタビューです。(audio)


受賞を伝えるNYTの記事です。読み物としても大変興味深い、読み応えのある内容です。
努力していると、人生はこんなふうに開けることがあるのだ、という実例を目にした思いです。

今回審査員の目をひくきっかけとなった、2012年10月のNY州スケネクタディ郡でのリサイタルは、日頃彼の活動をフォローしている私からみても、非常に地味で小さなイベントだと感じていました。(スケネクタディ:Schenectadyの読み方をアメリカ人も知らず、人にきいてわかったという。)ネット上での事前の広報は、学内向けのお知らせ以外はゼロでした。

会場の大学の楽器は1979年製で、調律師の方が非常に苦労してなんとか演奏会に耐える音に仕上げたそうです。演奏会前の数日はお天気もどんよりと曇り、ポーランドからご一緒なさった妹さんが風邪をひいたとか。
しかし演奏会は素晴らしく、お客さんはとても感激したそうです。私も演奏の映像を少し見る機会がありましたが、彼は、いつもと変わらず、真摯に演奏していました。もちろん、ギルモアの関係者がじっと観察していたことなど、全く知らなかったわけです。

演奏会で遭遇した楽器というと、アメリカだけでも記事が書けそうです。いつか機会がありましたら。。

アメリカでのプロモも、今後は円滑に進むといいなと願っています。


2013年12月26日木曜日

彩の国でのリサイタル(2)

ラファウ・ブレハッチのさいたまでのリサイタルを聴いた方からのメッセージです。
演奏会があった翌日に頂いていたのですが、私が多忙を極めており、今日まで開くことができませんでした。遅くなって申し訳ありませんでした。


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こんにちは、初めまして。

私はこれまでほとんどクラシックのコンサートを観たことがないのですが、昨夜は家族に強く勧められて渋々ブレハッチのコンサートに出かけました。もちろんブレハッチを観るのは初めてです。

これまで数回、足を運んだクラシックのコンサートは、どれもひどい後味のものばかりでした。もちろん、私に音楽を楽しむための基礎教養が無いからだと思います。しかしそれにしても、観賞後に嫌な気持ちなるくらいなら、音楽のコンサートなどにわざわざ出かける必要はない、と考えていました。

そして昨夜ですが、ホールを出て帰宅するにいたって感動は大きくなるばかりです。アンコールの曲の最後の音が消えた瞬間のまま、時間が留まっているかのようです。

昨夜のコンサートは一生忘れることはないでしょう。 思うに私は、昨夜、初めてクラシック音楽のコンサートを知ったのだと思います。

確かにクラシック音楽の基礎教養があれば、コンサートをより楽しめるだろうと思います。しかし、昨夜のブレハッチのコンサートを体験して理解したことは、芸術の感動はどれも同じ本質に属しているということです。そしてその本質は音楽の基礎的知識を越えたところにあるのだと思います。

私は芸術全般をある程度は愛していますが、その中でピアノ音楽はなんと、はかないものでしょうか。音楽を聴き終えた瞬間、自分が何を体験したのか理解できないうちに、手のひらからさらさらと消え落ちて無くなってしまうような気がします。演奏途中も、咳払いひとつで壊れてしまうような非常にもろい城を築くように感じました。

しかしそのようなあやうさにも関わらず、やはり私が今日経験したのは、芸術の本質であったと思います。

モーツァルトのソナタのアンダンテ、ロンド。そしてベートーヴェンのソナタのラルゴ、メヌエット、ロンド!古風な典雅とコンテンポラリーに現前するむきだしの美!

これの他に何が必要なのか、と思いました。これがこのまま留まってくれれば、自分はもうモーツァルトとベートーヴェンは聴かなくてもいい。

ポロネーズ第4番:OP40-2、そしてスケルツォ第3番:OP39!!
中低音のフレーズが現前させる精神の伽藍!
そして空の高い場所から啓示と祝福が降り注ぐスケルツォ…!!

悲しいかな、音楽の素養がないばかりに、自分が昨夜聴いたものを記憶に留めるすべがありません。もうほとんど何も思い出せません。しかし、おそらく一生忘れることはないであろう、あの響きを体に感じ続けています。ホールの壁面に沿って立ち上がる響きの伽藍。その響きの感覚が今もずっと残っています。忘れることは無いでしょう。

こんな幸福な体験をして、まだ自分が生きているのが不思議なほどです。

素晴らしい、という言葉があまりに陳腐で何も意味しないほどの体験でした。しかし今日からは、日常生活という天罰(?)が下るのですから、釣り合いは取れているのかもしれませんね。

突然、長文の舞い上がった内容のメッセージをお送りしてしまい申し訳ありません。せめて誰かにつたない感想を聞いてもらわなければ、本当にあの記憶が無くなってしまいそうに感じて、書きなぐってしまいました。ご放念いただければ幸いです。

ブレハッチのファンサイト運営を陰ながら応援しています。

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私が初めて彼の演奏に触れたときは、もっと漠然とした、あるいは稚拙な言葉でしか、その感情を表現することができませんでした。にもかかわらず、誰かにそれを伝えたくて、CDサイトのレビューに夢中になって書き込みをしていました。

今回、私はさいたまの演奏会に行くことができませんでしたが、非常に多くの方々の鑑賞記を拝見することができ、音楽という抽象的なものを言葉で表現することのむずかしさと、素晴らしさの両方を実感しました。予想していなかった感動がありました。それは、SNSやブログを使って伝え合うということをこの数年間やってきての実感でもあります。多くの音楽やアートの愛好家の方々との交流は、おおきな財産となり、心の深いところに残っています。

メッセージありがとうございました。もしお名前を掲載してもよろしければ、ご一報いただければ幸いです。

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上記の方が購入したチケットは、さいたまの、最後の1枚だったそうです。
さいたま芸術劇場さんが、「残り1枚となりました。」とツイートしていたのは12/15でした。その数時間後に完売しました。
やったー、とひとりで喜んでいました。
(その後、関係者席の関係で、当日券が2枚出ました。これも即完売。)

今回は、東京2会場が早々に完売となり、
さいたまも2月同様完売にしたい・・・と、私はなんだかむきになってあれこれ頑張ってしまいました。
このピアニストは、満席になると、より一層集中力が増すようだし、というのは、私の勝手統計によります。毎回、ジャパンツアーの最後の演奏会が、一番素晴らしい、ということも。
(12月28日追記)




2013年12月19日木曜日

ラファウ・ブレハッチの公式ウェブサイトがリニューアル・オープンしました。

ブレハッチ氏の監修のもと、作り直しているときいておりましたが、なかなか斬新なデザインです。未発表の写真等も含まれているようです。
制作者がわざわざ連絡をくださいました。あなたのサイトで使っている写真はリンク先が変わりましたよ、と、ご親切なことです(笑)。あとで見直してみます。

Blechacz.net


2013年12月18日水曜日

彩の国でのリサイタル

ラファウ・ブレハッチの、さいたま芸術劇場でのリサイタルに行かれた、音楽愛好家の方男性、30代:推定)のツイートを、コピペさせていただきました。
演奏会の様子が臨場感を持って伝わってきます。
彼は、音楽を愛し、音楽とともに生き、頻繁に演奏会に足を運び、毎回この分量と密度でレビューツイートをなさっています。こうした本物のクラシック音楽ファンの方に彼の音楽を聴いていただくことが、私のやりたかったことでした。

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最近プログラムは期待しないように当日パンフレットで最終のものを確認するようにしてるが、今夜はショパンを前半に持ってきてドイツものを後半に持ってきたほうが締まるのにと一瞬思ったが、よくよく見たら調性まで考えてしっかり選ばれ並んでることが判る。最後は大好きな嬰ハ短調というのも嬉しい。

ラファウ・ブレハッチピアノリサイタル終演!そして今年初めのインフルエンザからヤキモキさせたリベンジ日本ツアーも無事に終了。いつまでも聴いていたいピアノだった。彩の国の聴衆も心からのスタンディングオベイション。幸せな時間だった。

さて昨夜の彩の国の音楽ホールでのラファウブレハッチ。言わずとしれた前々回のショパン国際コンクールの覇者。ポーランド人としてはクリスチャンツィメルマン以来だと話題になった。優勝後すぐの来日リサイタル以来だ。

この親密な空間は勿論平日夜公演に関わらず完売。5分押しでステージに現れたブレハッチは変わらずぎこちない(緊張してるのか体が固いのか)歩みでスタインウェイの前へ。 

まずモーツァルトの二長調ソナタ。序奏の和音からして全く重い響きにならない。タッチも手に羽根が生えているかのように軽やかでフォルテピアノを転がしてる菊池洋子のピアノのようだというのが第一印象。 

このシンプルなソナタを緩急素晴らしく音楽の流れを感じながら踊るように弾くブレハッチ。3楽章では休符を思わず左足を踏み鳴らして勢いをつけるなど。カデンツァではホールの残響までコントロールしてその美しい音色を聴かす。全く隙のない、音楽に対してとてもデリケートな性格が窺われる。 

見事なモーツァルトを弾き終え袖に戻ったかと思いきや瞬時にステージにピアノ前に座り集中する。ベートーヴェンも同じ二長調ソナタ。それを意識してモーツァルトからの流れを止めない配慮だろう。  

そして弾き始めたプレストから鳥肌が立った。モーツァルトのような同じタッチや乗りで予想してたが、まさにベートーヴェンの音楽だ。モーツァルトの時も見られたが、展開部に入る直前の終止に鍵盤を2、3度圧してヴィブラートをかけているのか音の長さを感じているのか。印象的。

2楽章は噂通り、いやそれ以上悲しみ(メスト)を感じる演奏だった。しかも深い。ベートーヴェンが作品10でこんな境地に達していたなんて驚き。まるでショパンの葬送行進曲に近い重さ。

ショパンのは中間部に光が射すように救いの長調が現れるがベートーヴェンのそれはなかなかはっきり形にならない。しかしそう響きを感じることができるほどブレハッチは調性感を意識している。やがて高音に流れるような美しいモチーフが現れるが、短調が徐々に力を持ち、音量を上げクライマックスを築き上げていくようはまさにベートーヴェンの巨大さを感じたし、スビトピアノもデリケートで今夜で最も感動的なシーンだったかな。 

3楽章はとても短くも面白いメヌエット、4楽章もカデンツァ部分(ほんの数秒)の音の響きの美しさが際立っていた。 

休憩を挟み、後半はショパン一色。でも夜想曲10番変イ長調の中間部、頂点へ一気に畳み込んでゆくのは素晴らしく立体的だったし、

確かそのまま弾かれたポロネーズイ長調とハ短調。特にハ短調はその魅力を初めて知る。コーダの最後の頂点の和音を決め両手を流しての、ゆっくりと終止和音を弾く。かっこいい。 

その後一旦袖に戻り、ステージに呼び戻されても一礼して袖に。長めの休止を取り、ステージに。作品63のマズルカ3曲をピアノの前でゆっくり集中して弾き始める。ペダルをたっぷり和音の響きを聴かせながら美しい舞曲を聴かす。

こんな素敵なマズルカはアンデルシェフスキで聴いた以来かな。彼くらいでしか聴けないと思っていた。ブレハッチの希望である全曲録音は是非ライヴで。その収録に立ち会いたいな。

嬰ハ短調のマズルカで終わり、ブレハッチは立たずに最後のスケルツォ嬰ハ短調を弾き始める。もう何も言うことがないスタイルも音の粒の質も流れも全てが完璧なスケルツォだった。圧巻で思わずブラヴォが出てしまった。 

1階席からでは恥ずかしいのであまり声をあげることはないのですが。これで2040。え?まだ2時間経ってないの?とコリヤブラッハーの無伴奏の時を思い出したが、満足よりももっと聴きたい!という感覚。

でもブレハッチはアンコールに技巧的な派手な曲は弾かず、余韻を楽しんでください風な短い3曲。焦らすなぁ(笑)また次回の来日が楽しみ。 

ブレハッチはこれから何処へ行こうとしているのか心配している声も見掛けたが全く問題ない。彼には今モーツァルトの惹かれているのならそれを究めればいいし、

今までそんな魅力を感じなかったベートーヴェンの初期ソナタから作品の本質を引き出すのだから是非ソナタ全曲をライヴと録音で取り組んでほしい。

僕の恩師はまずハイドンを弾けなければオケの技術は上がらないよと。ボッセ先生も同じ考えだったし、ラトルもハイドンを知らなければストラヴィンスキーを理解できないよと語るように。バッハから古典派の作品を知ることはとても重要だと実感したブレハッチのリサイタルだった。


  コンクール優勝なんて通過点に過ぎないのだから。でも話が面白い人とショパンを弾ける人はもてるなぁ(笑)だからじっくり選んでほしい。 

2013年12月12日木曜日

「私はポーランド人であることを誇りに思います。」 ブレハッチのインタビュ-(podcast)

イタリアのradio.rai でのインタビューを、podcastできくことができます。

最新アルバムについて、ポーランドでの生活、来年は古典派レパートリーに注力すること、モーツァルト・バッハとショパンとの関係、ベートーヴェンとショパンの比較、ルバートとは・・・など、興味深い内容です。ラファウ・ブレハッチの発言はすべて英語でそのままきけます。様々なアルバムの曲をきけるのも懐かしいです。

radio rai


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12/14オペラシティでのリサイタル、関係者席が若干枚放出になります。
12月12日の午前10時から、ジャパンアーツぴあさんが発売します。
関係者席ですので、良席だと思います。

ジャパンアーツからのお知らせ

ブレハッチ氏は、10日火曜日に無事来日したとのことです。

その翌日、音楽の友の取材を受けるラファウ・ブレハッチ



2013年12月2日月曜日

「世界の車窓から」で、ポーランド。12月2日から。

「果てしなく広がる空と大地 平原の国ポーランド周遊の旅」

テレビ朝日ウェブサイト

ポーランド政府観光局さんのブログより