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2013年1月5日土曜日

2012年のインタビューから。

English

「音楽作りとは、音楽作品が求めるものと、自分の芸術的自由との間の正しいバランスを追求することです。」(ラファウ・ブレハッチ)

去年3月にブレハッチがオランダのNRC紙でのインタビューで述べた言葉です。以下のような文脈でした。

(引用)
「・・・コンクールで演奏家を比較することは、音楽の本来の性質とは相容れないと思います。」 自分の個性は、自分にとっては神聖なものだから、とブレハッチは言う。「音楽作品を、パーソナルな冒険として体験し、深めていくことですから。」

音楽の同一性を研究することに、彼は自由時間をあてている。哲学を学び、美学と音楽の哲学に焦点を当てた。ほら見て、と彼は指摘する。ポーランド人現象学者/美学者ロマン・インガルデンの著作はいつもかばんに入っている。

「インガルデンは音楽作品の同一性について、興味深いことを述べています。彼が言及している問題は、音楽家が解釈する際の解釈、解釈学、形而上学の役割などに関して、僕が抱いている問題意識に触れています。なぜですか?例えば、ショパンの幻想ポロネーズop61があります。このような作品は、あるいは他の偉大な音楽作品もそうですが、強い形而上的な(霊的な)感覚を、演奏者と聴き手の両方に要求します。この感覚が自然に湧き上がる場合もありますし、自分の中に必要な感覚を必要な時に呼び起こさせることもあります。

演奏中に思考や感情を明確に識別する必要性は、芸術的な観点から非常に有意義です、と彼は言う。 「インガルデンの生徒であるヴワディスワフ・ストゥルジェフスキは、優れた解釈を見つけることは常に弁証法的なプロセスであり、アーチストの内面の成長と変化に依存している、と書いています。 音楽作りとは、音楽作品が求めるものと、自分の芸術的自由との間の正しいバランスを追求することです。」

そして、ブレハッチは車に戻り、次の演奏会へと向かう。 「とても楽しみにしていますよ。」と言う。「今の生活は、子供の頃から好きだったことばかりです。コンサートでの演奏、特に期待感に満ちた緊張した雰囲気とかね。」と笑顔で言う。「聴衆が僕の演奏を待っている。そして、コンサートホールも大きくなってきました。」
(引用終わり)












** 去年ブレハッチがインタビューで語った内容で、これが私にとっては最も印象的でした。これらの言葉はどれも大切に思え、サマリーとしてまとめることができません。アーチストが目の前で語っているように感じます。


もうひとつ、とても心に残ったのがこれです。ブレハッチが、ポーランドのメディア向けに、ベルリンで話した内容です。2012年1月。


(引用)
「・・・ロマン・インガルデンの著作に感銘を受けています。彼は、音楽体験を知覚する主体としての聴き手の役割は、能動的なものだ、と書いています。これは主に感受性に依存しますが、ある種の知識や態度にも依存します。

もし、音楽を知覚する聴き手からの善なる意思が欠けていたら、つまり、何か美しいもの、あるいは、何か形而上的な経験であると立証できるものを経験したいとの意思が欠けていたら、(演奏家に)良い影響はもたらさないでしょう。

音楽はまた、徳を形成するものでもあります。例えば、バッハのカンタータなど宗教的な作品を扱っている時、聴き手の人格が変わることがあります。音楽作品はこのような力、明瞭な含蓄を持っており、感情を喚起し、ある種の思考や行動を導きます。

音楽を知覚する聴き手の役割は、絶対的に重要です。

演奏家の使命もとても重要で、他の人間のために演奏すること、他者の心、ある意味で他者の人生のために演奏するのだということを、肝に銘じておくべきです。」
(引用終わり)


** もし聴き手にもこのように果たせる役割があり、より良い演奏会となるために知識や態度の面で努力する余地があるのだとしたら、とても嬉しく思います。