Preludia - Unofficial website for Rafal Blechacz

Blog

2012年7月28日土曜日

マントンでのラファウ・ブレハッチ、2012年7月21日

English

Royal Monaco Web magazineより
(このリンクから演奏会当日の写真数枚が見られます。).

7月21日の演奏会:マントンにある、サン・ミッシェル教会の前庭にて、
ベートーベンのピアノ協奏曲第2番を演奏。

演奏:モンテカルロフィルハーモニー管弦楽団
指揮:ロベルト・アバド(クラウディオ・アバドの甥)


"驚異的な選りすぐりの演奏家、ラファウ・ブレハッチ"(Royal Monaco magazine)


↑マントン市主催のレセプションにて
"彼が長い指を鍵盤に置いた瞬間、ほとんど直感的に、共生とも呼べる親密な関係がピアノとの間に生まれる"(Royal Monaco magazine)




** hiroさん、いつも貴重な情報、ありがとうございます!!
「手、神から与えられた指に見えます。」(hiroさん)



どうしてもショパンの手を連想してしまいます。
(こちらは2008年、ポーランド南部のドゥシニキ・ズドゥルイのショパン館にて撮った写真です。ショパンが16歳の夏に療養のため滞在した場所。)






*****
このウェブサイトに引用している画像・文章等は、著作権を有する所有者に属するものがあります。
このサイト www.blechaczinfo.com 独自の著作物を引用なさる場合は、事前に サイト管理人 にご相談くださいますよう、お願い申し上げます。



2012年7月27日金曜日

ブレハッチ、選りすぐりのタッチ――演奏会プレビューとインタビュー(フランス)

English

7月23日の、ラ・ロック・ダンテロンでの演奏会に関するプレビュー記事です。ブレハッチへのインタビューが少し含まれています。

プレビュー記事

(Quote)

ブレハッチ、選りすぐりのタッチ

洗練されたスタイルを持つ有望なポーランド人ピアニストが、今夜ラ・ロック・ダンテロン音楽祭で演奏する。

by Eric Dahan

6月の半ばパリのサル・プレイエルにて、ラファウ・ブレハッチは今夜と同じプログラムで演奏した。5年前、彼のショパン前奏曲集のアルバムは、強い印象を与えた。前奏曲第3番ト長調での彼の左手は、速度で他の巨匠達より勝ることはないが、重要な表現描写に注意を払っているのがわかる。ブレハッチは楽譜の隅々まで吟味しつくしたらしく、各前奏曲において、アタックやダイナミクスの変化、光の陰影を、極めて洗練された形で展開している。この若者は、2005年10月のワルシャワのショパンコンクールで優勝して以来、音楽愛好家の間では無名ではない。この賞は5年に1回授与され、マルタ・アルゲリッチやマウリツィオ・ポリーニを輩出した。最近見出された天才に感激し、ブレハッチを75年に優勝した同国のツィメルマンと比較する人もいる。ベートーベン、ハイドン、モーツァルトのソナタ集のCDをリリース後、ブレハッチはショパンの2つの協奏曲をコンセルトヘボウと録音した。優れた録音だが、最新ニュースとして言及されることはなくなってきた。

誠実さ:今年、ブレハッチは、ドビュッシー・シマノフスキのアルバムで顕著な注目を集めたが、このアルバムは彼の才能とともに限界も示している。彼は色彩感覚と描写に優れ、美しく明瞭な音を持つが、ドビュッシーでは、自然な表出や響き以上の音色を出そうとの意図が聴こえるし、ピアニシモを弾くときのタッチは固くドライで、深みに欠ける。シマノフスキでは、長時間にわたる音楽的対話のメリハリをつけるのに苦労したようだ。

そうは言っても、彼は楽器を操る技術においても、音楽的詩情においても、誠実さあふれる音楽家であり続けており、これは、ユジャ・ワンやヤン・リシエツキといった、昨今の耳目を集める若手演奏家達にもいずれ要求されることになる、優れた資質だ。


1985年6月30日、ポーランドのナクウォ・ナド・ノテチョンに生まれたブレハッチが初めて音楽に魅せられたのは、オルガンからだった。


「毎週日曜日に家族と教会に行っていました。10歳頃初めてピアノコンクールで優勝するまでは、オルガンを学び、ミサでオルガンを弾いていました。」と彼は言う。ピアノに関しては、ビドゴシチの音楽アカデミーで研鑽を積むことになる。彼が2002年のアルトゥール・ルービンシュタイン(国際青少年)コンクールで2位を獲得した街だ。

賞を独占:「子供の頃、世界でモーツアルトやショパンを演奏するのが夢でした。18歳の時に日本のコンクールに出たことで、さらに刺激を受けました。」と言う彼は、その2年後、ワルシャワのコンクールで全ての賞を独占した。金賞・銀賞に加え、3つの特別賞(マズルカ・ポロネーズ・コンチェルトの最優秀賞)も。

影響を受けた演奏家について尋ねたところ、彼は答えた。

「そうですね、ルービンシュタインは、心から流れ出る、とても自然なルバートがあるから、ミケランジェリは、ベートーベン、スカルラッティ、ドビュッシーの前奏曲で、知性と感情の理想的なバランスを示してくれたから、そして、パデレフスキはその音色ととても自然なフレージングのために。現役の演奏家ですと、マウリツィオ・ポリーニやアンドラス・シフとも会いました。このクラスの演奏家とディスカッションできるのはとても有意義なことです。」

オルガンを弾くことが、ショパンの前奏曲の録音の価値を成す声部、色彩、音色の描写に役立つかどうか、ブレハッチは示唆した。

「ショパンは、バッハの平均律クラヴィーア曲をたくさん演奏したので、後期の作品ではポリフォニーが深まっていますから。でも、一番大切なのは良い楽器で弾くことです。リサイタルの度に、僕はチューナーの方と、音の調整やホールの音響について話し合います。最新のCDのために、僕はドビュッシーの音色が正しく出せるような多様な色彩を持ち、またシマノフスキのソナタの大音量と全ての広がりを表現できるようなピアノを探しました。そして理想的な楽器をハンブルクで見つけることができました。

今夜、ラ・ロック・ダンテロンでの3回目の演奏会のために、ブレハッチは、バッハ・ベートーベン・ショパン・シマノフスキのプログラムを選んだ。

準備はどうしているのか尋ねたところ、彼はこう答えた。

「神を信じていることが、芸術でも助けとなっています。例えば日本にいる時でさえ、僕はインターネットで、ミサの時間を調べます。他に、ジョギングはよくやります。飛行機は非人間的で、避けるようにしています。コンサート間を移動するのは、車を自分で運転して行くのが好きですね。フッサールの現象学に非常に興味を持っており、音楽解釈の限界と自由に関するゼミに参加しています。アーチストは、作曲家の意図を尊重した上で、自分の感性を表現できるスペースを見つけるべきだと思います。演奏は、その時々の雰囲気によって、常に変化します。しかし、作曲家のスタイルは保たなければなりません。さもなければ、自分で作曲するのと同じになってしまいます。」

(Unquote)


2012年7月24日火曜日

ハリケーンの拍手が起きた――ラファウ・ブレハッチ@ラ・ロック・ダンテロン音楽祭

English

7月23日、ラファウ・ブレハッチは、ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノフェスティバルの会場であるフロラン城公園野外ステージにて、リサイタルを開催しました。同音楽祭への演奏会参加は、今回が3回目。前回は2008年8月2日のリサイタルでした。


ラロックダンテロンのブレハッチ、7月23日
フェスティバルのウェブサイトより

「ラファウの今晩のリサイタルは素晴らしかった。最初の瞬間から、聴衆との間にとても良い親密な関係が生まれ、聴衆は彼の音楽に没頭し魅了された。セミは鳴きやみ、もはや邪魔にならなかった。ラファウは聴衆との良い関係を楽しんでいるように見え、日没後は涼しくなってお天気も協力するかのようだった。休憩前、既に、ハリケーンのような喝采と”ブラーボ”、”ブラーボ”の熱い叫び声があがった。後半終了後は再び凄い大喝采と叫び声とウッドの床を踏み鳴らす大きな音。フランスでは珍しいことだが、スタンディングオベーションをする人もいた。ラファウはアンコールを2曲弾いた。ショパンのイ短調のワルツと、マズルカop.17-2。」
(R.F.)

(Note)昼間、会場周辺は、セミの鳴き声が凄くて、セミのコンサートのようだったそうです。















リサイタルのプレビューより
(Quote)
2005年のショパンコンクールの優勝以来、ラファウ・ブレハッチは巨匠と呼ばれる人だけが持つ 円熟した演奏、深さ、幅広い表現、音の正確さ、音色の美しさと明瞭さで強い印象を与え続けてきた。

この若いポーランド人ピアニストの演奏には何の虚勢もない。誇示することのないヴィルトゥオーソ性が厳密さと結びつく。偶然の成り行きに任されたものはなく、全ての音符、全ての強勢が熟慮され、その洗練に快活さを加味する彼の高い視野が、優れた手腕を発揮させる。

演奏するブレハッチ――楽器の上でも音楽的にも、偉大な芸術の見事な実証である。
(Unquote)

別のプレビュー
ブレハッチのこれまでの軌跡とインタビューを織り込んだ素敵な内容。
日本語化まで、しばらくお待ちください。


音楽祭のサイトより、フロラン城公園


2012年7月22日日曜日

マントンの教会にて美しく響いた、ブレハッチのベートーベン協奏曲第2番(フランス)

English

7月21日、ラファウ・ブレハッチはフランス南東部のリゾート地マントンにある、サン・ミッシェル教会の前庭にて、ベートーベンのピアノ協奏曲第2番を演奏しました。第2番協奏曲の演奏会での演奏は初めてかと思います。

演奏:モンテカルロフィルハーモニー管弦楽団
指揮:ロベルト・アバド(クラウディオ・アバドの甥)

マントン音楽祭のプロブラムブック

「ラファウのベートーベン2番の演奏に、大きな拍手が長く続いた。今夜彼は、ヤマハのコンサートピアノで演奏した。アンコールは2曲、ショパンのマズルカを弾いた。教会の前庭でのオープンエアのコンサートで、少し風があり、雷雨が近づいてきたが、なんとか持ちこたえた。指揮者はロベルト・アバド(当初予定されていたヤクブ・フルシャから変更)、クラウディオ・アバドはおじにあたる。」
(R.F.)
















サン・ミッシェル教会は、1999年、法王ヨハネ・パウロ2世がBasilica Minorのタイトルを与えた、ということです。



2012年7月21日土曜日

日本人ピアニストのアメリカ人ファンと、ポーランド人ピアニストの日本人ファン

English

数日前、アメリカのMLリュウさんという女性からメールをいただきました。リュウさんは辻井伸行さんの大ファンで、辻井さんのウェブサイトを作ったのだそうです。日々の日課で辻井さんのニュースを探していたところ、私のサイトを見つけ、とても似ているのでびっくりしてコンタクトをとってくださいました。

リュウさんの運営している、辻井伸行さんのサイト

彼女のサイトを読んでみて、なるほど自分と似ていると思いました。テレビ番組で聴いた辻井さんのピアノが忘れられず、彼のために何かしたいと思い、サイトを立ち上げた。この目的のために未知の外国語にもとりくんだ。他に何の理由もありません。彼のピアノが好きなのです。

(リュウさんのサイトより)
「伸行を知ってから、私の人生はこの特別なアーチストのおかげでとても豊かになりました。彼のCDは全部買い求め、彼の音楽にすっかりはまってしまいました。彼の演奏を聴くために、いろいろな国へ出かけました。これからも、もっと演奏会にいくつもりです。辻井伸行のアーチストとしての成功を何度も目撃することができて、私は本当に幸せです。」

私は鏡を見ている気がしました。アーチスト名を入れ替えれば、これは私のことに違いない!

私たちは素晴らしいアーチストに出会って、人生が豊かになりました。彼の音楽を他の方々とシェアするのは、大きな喜びです。私にとっては、同じ魂の生地を持った人が、自分の好きなアーチストの音楽をシェアするために、多くの時間とエネルギーを使っていると知ることは(つまりこんな変わった人がもう1人いるんだってこと)、かなり嬉しいことでした。

2年前にこのウェブサイトの模様替えをしたとき、他のアーチストのファンサイトをかなり参考にさせていただきました。その時にも書いたのですが、ポゴレリチ(日本語)やルガンスキー(英語・ロシア語)、プレトニョフ(英語・日本語・中国語)など、自分の好きなアーチストのためにこつこつと長年に亘って地道にデータを積み重ねていらっしゃるファンの態度に感銘を受けました。

月刊ショパン誌2006年3月号より

この写真は、ショパン誌2006年3月号からお借りしました。
2005年のショパンコンクールで、最年少セミファイナリストとなった辻井さんへ、スポンサー企業から特別賞が贈られ、ガラ・コンサートで来日中のブレハッチには優勝者への賞が贈られた、とのことです。松濤のゲストハウスにて。右端はクシシュトフ・ブレハッチ氏、手前は辻井いつ子さんですね。

*****
このウェブサイトに引用している画像・文章等は、著作権を有する所有者に属するものがあります。
このサイト www.blechaczinfo.com 独自の著作物を引用なさる場合は、事前に サイト管理人 にご相談くださいますよう、お願い申し上げます。



2012年7月20日金曜日

演奏会レビュー:ブレハッチが演奏した、ベートーベンピアノ協奏曲第3番@コンセルトヘボウ

English

ラファウ・ブレハッチが5月にベートーベンのピアノ協奏曲第3番を演奏したときの、聴衆の方が書いたレビューです。
彼は今後しばらくベト3の演奏予定がないので、今年の記録として書いておきます。
日本語にしにくい部分に若干の意訳があります。

演奏:ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団
指揮:トレヴァー・ピノック

Original review
当日のプログラムページ

(レビューより抜粋)
ラファウ・ブレハッチ―様式にのっとったベートーベンの演奏

ベートーベンのピアノ協奏曲を聴いている時、各協奏曲が、様式とか作曲家が実現している作曲上の諸要素だけでなく、オーケストレーションの変化を反映していることを忘れてしまうことがある。2012年5月11日、アムステルダムのコンセルトヘボウでのコンサートにて、聴衆はラファウ・ブレハッチによる素晴らしい第3番協奏曲の演奏に加え、トレヴァー・ピノック指揮、ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団による、様式にのっとった演奏を堪能することができた。

・・・トレヴァー・ピノックはハープシコードの演奏家でもある。・・・

こうした様式に沿ったタイプの演奏では、協奏曲用の楽器(=ピアノ)とチームの他の楽器との対話の均衡が確保される。この実験において、ブレハッチのピアノが卓越し浮かび上がった。

このステージの設定では様々な想像を巡らすことができる。宮廷の環境だったなら、この協奏曲はどんな風に演奏されただろうか。

高い感性を持ったピアニストは、このような楽器編成によって、音色やぺダリングを操った。アレグロコンブリオから、――彼は第1楽章をまさにコンブリオで演奏した――ラルゴ、そして軽快で煌めくようなロンドアレグロに至るまで。

いつものことながら、ブレハッチは自然な感性と、楽器から音色を抽出する方法を熟知した、その完成度の高さで、そして、ポリフォニーの要素といったニュアンスに細心の注意を払うことによって、聴衆を魅了した。この演奏は、古風なあるいはロマン派の要素を強調したものではなかった。極めてバランスのとれた、古典的な、安定した演奏で、ウィーン古典派の協奏曲作品の転換点を示しているかのようだった。

ベートーベンの演奏中、トレヴァー・ピノックがプログラムの最初に演奏し、そこから指揮も行なったハープシコードは、ステージ上のピアノの近くに置かれたままだった。ピノックがハープシコードで今しがた演奏した、無駄のないオスティナートと、今ピアノで展開されている豊かで多様な響きを、どうしても比べてしまう。

ラルゴでは時にブレハッチの音がモノクロになることもあったが、この演奏は間違いなく、ステージ上の全ての楽器の中で王者の位置づけへと発展し、キーボード楽器の新時代を開いた楽器による演奏なのだ、ピアノとの対話を聞きながら感じた。

前半の最後にブレハッチがアンコールとして演奏したマズルカ作品41の嬰ハ短調は聴衆を釘付けにし、静けさが支配した・・・


(by Marzenna Donajski, ピアノ教師・ピアニスト)

*****
このブログでブレハッチの演奏のレビューを扱う際、彼の実際の演奏を(放送も含めて)聴いたことがない曲は、私はこれが初めてです。どんな演奏か想像はできるのですが、想像が合っているかどうかはわかりません。。。



2012年7月16日月曜日

シマノフスキについてのウェブサイト

English

カロル・シマノフスキに関する総合的なウェブサイト、Karolszymanowski.pl です。

Szymanowski website (英語)
Szymanowski website (ポーランド語)


シマノフスキについて、彼の歩んだ人生、作品(ビデオ、オーディオ音源を含む)、今後の主要な演奏日程など。

音源の例:協奏交響曲(交響曲第4番)より。
ルービンシュタインの演奏。




*****
(Note)
週末ポーランド北部を強い竜巻が襲い、(ラファウブレハッチの家がある)クヤヴィ=ポモージェ県で被害、との報道があったので、心配された方もいらっしゃるかと思います。トルンの北方にあるシフィエチェ近郊が大きな被害を受けましたが、彼の家は影響のないところに離れており、無事だったとのことです。





2012年7月12日木曜日

2013年来日スケジュール


ラファウ・ ブレハッチの2013年2月の来日ツアーのスケジュールのうち、わかっている分です。約2週間に、計7回の演奏会を予定。


2/2     彩の国さいたま芸術劇場 

2/3    大阪ザシンフォニーホール 

2/5      サントリーホール

2/10   横浜みなとみらいホール 

2/11     愛知県芸術劇場 



☆主催者から既に発表になっているものは、会場情報等のリンクを貼っておきます。他にも日本で2ヶ所計画中のものがあるとのことなので、はっきりしたら追加します。


****
ブログ記事で疑問の点などありましたら、お気軽にメールでお問い合わせください。


2012年7月11日水曜日

ブレハッチのアルバム「ドビュッシー・シマノフスキ」がドイツのECHO Klassik2012を受賞

English

ラファウ・ブレハッチのアルバム「ドビュッシー・シマノフスキ」が、ドイツの音楽賞ECHO Klassik 2012のSolo Recording of the Year (ピアノ、20/21世紀作品)を受賞しました。

ECHO Klassik ブレハッチの受賞
2012年受賞者リスト


授賞式は10月14日、ベルリンのコンツェルトハウスで行われます。


KlassikAkzente
Universal Music Germany
Universal Music Italy
Pianoinforum (German)


**ブレハッチは、DGでの最初のアルバム「ショパン前奏曲集」で、ECHO Klassik 2008 を受賞しています。(Instrumentalist of the Year, piano)

10月14日の授賞式はZDFで放送され、ウェブで視聴可能ですが、前回2008年の時は、DGの担当者がブレハッチに代わり代理出席しました。今年彼は、10月12日までアメリカでリサイタルがあります。


2012年7月8日日曜日

2012年イギリスで高く評価された、「ドビュッシー・シマノフスキ」


English

イギリスのサイトで、ブレハッチの「ドビュッシー・シマノフスキ」へのレビューの抜粋リストが載っていたので、日本語バージョンを作ってみました。すでにアップしているレビューをコピペしただけですが、今年前半の特徴的な出来事の記録です。それぞれ、レビュー全文とリンクしています。

モトのイギリスのサイト、presto classical
このサイトにはブレハッチのこれまでのCDへのレビューも掲載されていますが、「ドビュッシー・シマノフスキ」が、レビューの数においても熱意においても、前例のない歓迎を受けているのがわかります。
私のこの数年間の記憶とも合っています。


☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆

(シマノフスキは)ブレハッチの演奏では、円熟し個性的な声部を引き出しており、構造の劇的な幅広さにも対応している・・・ このアルバムは、シマノフスキだけでも価値ある内容だが、ブレハッチのドビュッシーは、明快な色彩と、欠点なく重み付けをしたアーティキュレーションが素晴らしく、熟練し、創作力に富むタッチによって音楽の個性と心象を包摂している。
The Telegraph、2012年2月17日


ドビュッシーの「ピアノのために」を弾く彼はヴィルトゥオーソ、鍵盤の上へ下へと敏捷に動きまわりつつ、この曲のより劇的なコーディングへと忍び寄るためにガーシュウィン的プリエコーも許す。彼の「塔」は無重力で感情を喚起する。シマノフスキの「前奏曲とフーガ嬰ハ短調」には実存的とも言える熱望があり、「ソナタハ短調」は複雑だが、聴く者を没頭させる。
The Independent、2012年2月17日



このドビュッシーとシマノフスキの組み合わせは、ブレハッチが一芸のみのピアニスト以上であることを証明している。彼は途方もなく幅広いキーボードタッチと色彩を持った、構想力と認識力に優れたアーチストである。・・・彼の演奏に、露骨さや虚飾は全くない。・・・ここでも、彼の明晰な演奏は別格だが、演奏を形成するための知性もまた人並み外れている。これは非凡なディスクである。
The Guardian、2012年3月1日


ブレハッチのドビュッシーは、奇跡といってよい。「版画」の「塔」における光を帯びた質感と鈴の音のシノワズリ、「雨の庭」のリスト的装飾、そして「グラナダの夕べ」と「喜びの島」でのフランス人的官能。これは、我々の時代のピアノの巨人の1人による、永遠に記憶に残るディスクである。
The Times, London、2012年3月11日


凄い。・・・この音楽を形成するパーソナリティが間違いなく存在し、後代に演奏を残すためマイクが傍に置かれた日も、彼は何の恐れもなく自分の解釈上の直感に従っている。・・・ブレハッチは明瞭さを犠牲にすることなく鍵盤を彩色する。
BBC Music Magazine、2012年4月号


2人の作品が半々に入っているのだと思っていた。実際はひとつの連続した旅以上の、極めて価値の高い、音楽的に熟考された録音だ。・・・。私は「ピアノのために」の第1、3曲目に見られる歯切れよいアーティキュレーションと、敏捷なペダルによる素早い動きがとても好きだ。・・・ブレハッチ(のシマノフスキ)は、音楽への強烈な没頭においても、優れた音のクオリティにおいても、先人達より優れている。
Gramophone Magazine、2012年5月号


“His Debussy is transparent, pure, yet not lacking in depth, driven with impetus and excitement. The real finds here, however, are the two early works by Karol Szymanowski...virtuoso pianism at full stretch.”
The Observer, 29th April 2012
(訳し忘れ・・)


☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆
どれも自分の中に深く残るレビューでした。特にガーディアンのレビューは、いつどこで、どんなふうに見つけて読んだのか克明に記憶しています。ブログにアップしようとして、手がうまく動かなくてたくさんタイプミスをしました。その日知り合いの方と会う機会があって、びっくりしたね、評論家って分からないね、と笑顔で言い合っていました。


2012年7月3日火曜日

マリインスキー劇場での素晴らしい演奏と大喝采

English

既にお伝えしているとおり、ラファウ・ブレハッチは、6月28日、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場にて、ベートーベンのピアノ協奏曲を演奏しました。
演奏:ミラノスカラ座フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ファビオ・ルイジ












聴衆からの反応は良く、ブラボの叫び声と大喝采を受けました。彼はアンコール2曲(ショパン)で感謝しました。

@マリインスキー劇場 (ミラノスカラ座FBより)


マリインスキー劇場プログラムページ(ブレハッチの紹介)
マリインスキー劇場プログラムページ

リハーサルをするРафал Блехач  (ラファウ・ブレハッチ)
(ミラノスカラ座FBより)

演奏会当日の夕方、演奏開始の数時間前でしたが、ヴァレリー・ゲルギエフの公式ツイッターからゲルギエフ自身によるツィートが出ました。

"Wishing the Orchestra @FilarmoniScala, pianist Rafał Blechacz and @FabLuisi a very warm reception at the Mariinsky Concert Hall tonight!"

(ミラノスカラ座管弦楽団、ピアニストのラファウ・ブレハッチ、ファビオ・ルイジが、今夜、マリインスキー劇場で温かい歓迎を受けることを祈る。)

マエストロ・ゲルギエフは、前日の27日、同劇場の演奏会を指揮しました。


27,28日の演奏会のポスター
(マリインスキー劇場FBより)
















ロシアのウェブサイトでのプレビュー
(ここで掲載されている写真は、5月21日、ミラノスカラ座での演奏会のものです。)

イタルタス通信による、演奏会のニュース
「ベートーベンの第4ピアノコンチェルトのソリストは、2005年のショパンコンクールの優勝者であるラファウ・ブレハッチ」とあります。


ロシアのОрфейのウェブサイトで、インタビューが聞けます。
このコンサートのレビュー+ルイジ、ブレハッチとのインタビュー。

このサイトを発見したのは日本人のファンの方です。音楽へのパッションと驚くべきネットリテラシーに感謝のブラボ。



2012年7月1日日曜日

グラモフォン誌の「今月のディスク」2012年5月、のレビュー

English

ラファウ・ブレハッチの「ドビュッシー・シマノフスキ」が、英グラモフォン誌の The Disc of the Month, May 2012に選ばれた、と、4月にお伝えしていましたが、同誌のレビューを日本語化するのを忘れていたことに最近気づきました。せっかくの受賞ですので、少し遅れましたが、日本語ををアップしておきます。





Recording of the Month

「多くの演奏家と違い、彼は、パッセージワークを印象主義の霧の中に浸すような傾向がない。むしろ作品のヴィルトゥオーソ性を強調しようとしている。」

ラファウ・ブレハッチの4枚目のDGの録音は新発見に満ちている。
ジェレミー・ニコラス

2人の作品が半々に入っているのだと思っていた。実際はひとつの連続した旅以上の、極めて価値の高い、音楽的に熟考された録音だ。ラファウ・ブレハッチは2005年のフレデリック・ショパン国際ピアノコンクールで5つの第1位を独占し一躍著名となった。その出来事の半年前、彼はドビュッシー(ベルガマスク組曲)とシマノフスキ(変奏曲作品3)、そして、明らかに生来の親和性がある2人の作曲家の作品を録音している。この共感が、今回のディスクによって――彼が2006年から契約しているDGによる4枚目の録音によって、さらに強調されている。

全曲が比較的初期の作品で、20世紀初頭の10年間に作曲されている。私は「ピアノのために」の第1、3曲目に見られる歯切れよいアーティキュレーションと、敏捷なペダルによる素早い動きがとても好きだ。(前奏曲の、はっとさせるような性急な始まりと、最後のページの素晴らしいジュー・ペルレ:真珠のタッチ)。多くの演奏家と違い、彼は、パッセージワークを印象主義の霧の中に浸すような傾向がない。(前奏曲、サラバンド、トッカータというこれら3曲の題名は、形式的な古典の題名であり、音詩の題名ではない)。彼はむしろ作品のヴィルトゥオーソ性を強調しようとしており、ドビュッシーがリストからいかに多くを学んだかを、思い出させる。

これに劣らず、別の理由で、私は彼の「版画」を心底堪能した。2年後の1903年に書かれた作品だが、全く異なった音の世界で満ちている。ここでピアノは画家となり、場所や出来事を想起させる。それゆえブレハッチも魅惑的で温かな官能性で応えるが(「グラナダの夕べ」を聴いてみるがいい)、私の耳には、ミケランジェリの冷たい客観性よりも、好ましく響く。皮肉なことに、彼はブレハッチのアイドルの1人なのだが。

「雨の庭」はまさにnet et vif (鮮明かつ素早く)であり、土砂降りの霰。「喜びの島」の燃え上がるようなエンディング、そして小休止のあと、私たちは静かに、自然に、同時代のシマノフスキの音の世界へと導かれる。


画家としてのピアノ:「版画」を演奏するブレハッチ

ブレハッチが選んだ2つの作品がコンクール絡みだったのは偶然だろう。前奏曲(1909) と4声のフーガ (1905) 嬰ハ短調は、ベルリンの音楽誌 楽壇警報(Signale für die Musikalische Welt) 主催のコンクールで第2位となった(前奏曲はこの機会に合わせて追加された)。審査員の1人ブゾーニは奇妙なことに、この作品をシェーンベルクの作品と取り違えた(その間違いは直ちにシェーンベルクによって正されたが)。私の耳には、この古典的感化を受けたテクスチャーに、スクリャービンの雰囲気やレーガーの迷路の対位法以上のものが聴こえる。シマノフスキの後期の様式のもろさや非定型なのかもしれないが、これは魅力的な小品であり、ブレハッチによって素晴らしく演奏されている。


有に20秒はある静けさの後、初期のソナタハ短調作品8が始まる。ここで、ショパン、スクリャービン、リヒャルト・シュトラウス等の影響がより顕著となる。これはシマノフスキの初めての循環形式の大曲で、ジグムント・ノスコフスキの元で学んでいた1903年から1904年の間に作曲され、1910年、リヴィウのショパン生誕100周年委員会が組織したコンクールで第1位を獲得することになる。

シマノフスキの友人アルトゥール・ルービンシュタインがかつて擁護し、その後演奏する演奏家はほとんどいなかったが、これは際立って効果的な演奏会用の作品である。4楽章から成るソナタは約25分の長さがあり、明らかにショパンを手本とするアレグロ・モデラートで始まる。感情の深まるアダージョに続いて、メヌエットで以前の時代を垣間見る。作品の進行に伴い、シマノフスキの自己確信が深まっていく、と感じる人もいるだろう。最終章は重々しい前触れのような導入部の後、印象深い3声のフーガとなり、これがぞくぞくするようなクライマックスへと続き、幾分過装飾のコーダで帰結する。

欠点があるにせよ、この作品はショパンのハ短調ソナタよりは優れており、記憶しやすいテーマは欠けているものの、シマノフスキの第2、第3ソナタよりは聴くのも弾くのも厄介ではない。作品8で入手できる他の録音は少なく、レイモンド・クラーク(Divine Art, 9/99)の評価が高いが、私が聴いたことがあるのは、マーティン・ラスコー(Naxos, 10/00) とマーティン・ジョーンズ(Nimbus, 9/94)だけだ。ブレハッチは、音楽への強烈な没頭においても、音のクオリティにおいても、先人達より優れている。


シマノフスキの第1番ソナタを
擁護する演奏家はごく少数。
シマノフスキの音楽は聴衆の人気を得ようとするものでは決してなく、彼の名も、レコードを売り上げるようなものではない。このソナタは、ブレハッチのような高い名声と様式上の権威を持った演奏家が前面に押し出し、コンサートで演奏しレパートリーの一部として確立する必要がある類の作品だ。

その意味で、若いスター演奏家を支持したDGには満点をつけたいし、 ブレハッチの演奏が、シマノフスキ没後75年の今年、彼の音楽を探求したいと願う人々にとって、入りやすく価値のある入口になることを願ってやまない。

 この素晴らしいディスクに対する私の唯一の不満は、このひどいブックレットと紹介の仕方である。作品や作曲家に関するバックグラウンドは何も書いてなく、演奏の労を取った才能ある演奏家についても、ほんの少ししか紹介されていない。これが格好よく当世風に見せようという試みであるならば、全く機能していない。演奏家と顧客に対して、失礼である。***(注)


リスニング・ポイント
このディスクの聴きどころガイド

Track 1: 「ピアノのために」の「前奏曲」 0’00”
「ブレハッチのアタックは前例がない弾き方だが、実はドビュッシーの指示に忠実に弾いている。:non legato, assez animé et très rythmé (ノン・レガートで、充分活き活きと、極めてリズミカルに。)

Track 1 :3’00” 
前奏曲は、高音部での羽のように軽い、流れるパッセージで、ほぼカデンツのように終了するが、ブレハッチは奇跡といえるほど粒のそろった、流暢な処理をしている。

Track 4: 「版画」の「塔」 
ブレハッチがピアノの音色をがらりと変え、ドビュッシーが1900年のパリ万国博覧会で聴いたジャワダンスを表現している点に注目。 1’59” から 3’10”のパッセージはとりわけ感情を呼び起こす。

Track 10: ピアノソナタ Allegro moderato
ソナタの怒涛のような始まりのあと、シマノフスキは 1’08”で第2主題を導入する。これは、ショパンがロ短調ソナタの第1楽章で行なったのと同じやり方だ。

Track 11: ピアノソナタ Adagio
ブレハッチのこの楽章の弾き方は、彼のショパンの演奏を自然に延長したかのようだ。

Track 14: ピアノソナタ Fuga
 4’14” のフーガの再現部の開始で、濃い対位法のパッセージとなり緊張が高まるが、ブレハッチは各声部を清明に、デュナーミクをつけて演奏する。
(レビュー以上)


prestoclassical.co.uk, のサイトで、受賞が報道されています。


***(注) 日本で発売されたCDのブックレットには、曲の紹介が入っていますが、欧州版にはこれがありません。ユルゲン・オッテンのエッセイのみです。筆者はこのことを批判しています。

***グラモフォン誌は今年をシマノフスキの生誕130年ではなく、没後75年として位置づけ、彼の業績を探求する記事も出しています。←

***ラファウ・ブレハッチは、プロモーションビデオでも述べているとおり、イェジー・ゴジシェフスキの演奏によって、シマノフスキに開眼しました。

イェジー・ゴジシェフスキについて(ショパン協会)

ゴジシェフスキの輸入盤CD(シマノフスキ)


*****
このウェブサイトに引用している画像・文章等は、著作権を有する所有者に属するものがあります。
このサイト www.blechaczinfo.com 独自の著作物を引用なさる場合は、事前に サイト管理人 にご相談くださいますよう、お願い申し上げます。