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2012年10月2日火曜日

ラファウ・ブレハッチインタビュー、ドビュッシー・シマノフスキの音楽との出会い(ポーランド)

English

ポーランドの雑誌 Muzyka21, 2012年2月号に掲載された、ラファウ・ブレハッチのインタビューの一部です。

オリジナル・インタビュー
画面の真ん中あたりからです。

(Quote)
ラファウ・ブレハッチ:ドビュッシーとシマノフスキの音楽の色彩
ウカシュ・カチマレク


ラファウ・ブレハッチの新譜がリリースされた。今回はドビュッシーとシマノフスキのソロ作品。印象主義と表現主義:この2つの際立った音楽様式の作品を併置することがアルバム全体の特徴を決めている。明確な対照を成すことが、ピアニストの音楽的目的のひとつだった。この最新アルバムにおさめられているドビュッシーの作品のほとんどは、およそ10年間ブレハッチのレパートリーだった。かつ、ドビュッシー・シマノフスキ両方の曲が、彼のディスコグラフィーに既に入っている。記念すべき2005年のショパンコンクールより以前に録音された、アーチストの最初のアルバムのことだ。

このデビューアルバムについての質問から、私はピアニストとのインタビューを始めた。

「あれは本当に最初のアルバムでした。ドビュッシーのベルガマスク組曲とシマノフスキの変奏曲ロ短調を録音したこと、はっきりと覚えています。もう6年前になります。・・その間、これら作曲家への僕のアプローチの仕方は、確かに少し変わったと思います。今回は別の曲を録音しました。ドビュッシーの「ピアノのために」「版画」そして「喜びの島」、それから、シマノフスキは大曲ですがソナタ1番ハ短調です。ですので、こういった作品に対して、6年前とは違ったアプローチが必要でした。

シマノフスキとドビュッシーの解釈にどれくらいの違いが生じたのか、自分でこうだと言うのは簡単ではないですね。自分はその間、そのプロセスに浸っていたわけですから。おそらく、聴き手にきいた方がいいでしょう。僕の演奏を頻繁に聴けるわけではなく、毎日僕のピアノに触れるわけでもない。だから聴衆は6年前の録音と、現在の、重要なステージや録音の経験を経た後の演奏を比べることができるでしょう。きっと聴衆は変化を感じ取っているのでしょう。といっても物議をかもすような変化ではないでしょうね。解釈上の、あるいはもっと一般的に音楽で物議をかもす、というのは、僕の領域ではないし、やってみたいことでもありません。

しかし、ある作品を、特に録音すると決めた作品を、異なった場所、異なった音響、異なった楽器で演奏し続ける経験から、何かを得て、スタイルをつくっていけるのだと思います。もちろん、今、作曲家のスタイルのことを言っていますが、ある特定の作曲家による構造全体を保ちながら、そのスタイルの範囲内で、自分のアイディアや音楽の解釈を出していくことができます。」


スタイルといえば、ドビュッシーやシマノフスキの音楽に対する自分のビジョンに関し、ラファウ・ブレハッチは偉大な音楽的インスピレーションをどこから得たか教えてくれた。シマノフスキの場合、イェジー・ゴジシェフスキという演奏家がいる。10数年前にこのポーランド人作曲家の全作品を録音した演奏家で、彼を通じて、非常に若い時代のブレハッチが、何年も前に、前述の作品を聴く機会を得た。

ドビュッシーについては、彼はミケランジェリ、アルフレッド・コルトー、ヴァルター・ギーゼキングの演奏という、3つの主なモデルを明示している。私は、ラファウ・ブレハッチに、ドビュッシーやシマノフスキの作品に関する彼の最初の体験は何だったのか、またその他の音楽的インスピレーションについても質問してみた。

ゴジシェフスキ先生は、実際、先生のリサイタルが、僕のシマノフスキの音楽との最初の出会いだったのです。ビドゴシチの音楽アカデミーでのコンサートのこと、覚えています。先生はメトープと仮面、それからソナタの2番だったと思いますが演奏されました。とても素晴らしい演奏会でした!イェジー・ゴジュシェフスキがシマノフスキの全ピアノ作品のアルバムをリリースしたのも、ちょうどこの頃でした。当時僕は先生の解釈を聴き、そういうふうにしてシマノフスキの作品を勉強しました。初めて聴いた時から、この音楽に魅了されました。特に和声、それに、感情の鋭い対比と高みに夢中になりました。もちろん自分もシマノフスキの作品に手を広げたいと思い、前奏曲を何曲かと、変奏曲op.3を弾いてみました。それで後者をレパートリーに入れて、こんなふうにシマノフスキ体験が始まりました。

ドビュッシーについては、13歳か14歳の頃、ドミニク・メルレのリサイタルで聴いたのを覚えています。「版画」の演奏に非常に魅せられました。ドビュッシーの作品は、スヴャトスラフ・リヒテルなどの録音をいくつか既に聴いていました。少し前にドイツグラモフォンからリヒテルの録音が出ていて、ドビュッシーの前奏曲を何曲か、それからまさに「版画」、さらに、スクリャービンのソナタと、プロコフィエフの曲も入っていました。ライブ録音でした。その時から既に、自分の中で、ドビュッシーのブームがどんどん広がっていました。その頃、「版画」と「ベルガマスク組曲」の練習を始めました。少したってから、「ピアノのために」も弾き始めました。インスピレーションを受けた録音はとてもたくさんありましたよ。例えば、アルフレッド・コルトーの「子供の領分」の録音で素晴らしいものがあります。こうした録音を参考にインスピレーションを受けるのは、自分にとってもとても大切なことです。

しかし、もっと重要なのは作品を読み取るために深く入り込み、作品と一人で向かい合うことです。作品の再発見のようなものですね。これまで発見されなかったところとか、強く打ち出されてこなかったところを探求していく。僕の目的は、その流れを追って、どこか際立った解釈とか、既に存在するとわかっているのとは異なった解釈を作れるように、音楽を探求することです。」


インスピレーションの話題を深めるため、ラファウ・ブレハッチに、音楽以外からの影響についてきいてみた。

「最近、音楽の哲学がインスピレーションの元になっています。この課題には高校の頃からもう何年も惹かれてきたのですが、以前は明らかな理由があって、当然ながら、コンクールや演奏会といったやるべきことがあって、集中して取り組む時間がとれませんでした。しかし、この3年ほど、トルンのニコラウス・コペルニクス大学の博士課程のゼミに参加して、音楽に関わるようなテーマ、音楽の哲学にフォーカスをあてています。

具体的には、音楽作品のアイデンティティに関するロマン・インガルデンの書籍や、演奏への近位感覚についてのゾフィア・リッサの文献が、インスピレーションの元になっています。インガルデンによる芸術的経験についてのテキストは、僕の人生にとってとても重要な役割を果たしています。これによって、新しい視野が開かれ、、ピアノ芸術や、聴衆を前にしての演奏がどうあるべきか、を考える際にも、少し違ったやり方で、より大きな認識と理解と、より大きな理論的・知的背景をもって見られるようになりました。そうした全てのことが、あとになって、演奏そのものにある意味反映されていくのです。 (...)」
(Unquote)

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ある日本のファンの方が、このインタビューを読みたいということで、Muzyka21を購入されたそうですが、3ページにわたって文字がびっしりだったそうです。このオンラインバージョンでは始めの3分の1程度がアップされています。この時期、本誌以外にも山のようにインタビューにこたえていたアーチストの寛容さに、頭が下がります。日本での演奏会について、招聘元からの依頼で、日本では後半は全部ショパンの曲にあてることになるだろう、ということも述べているそうです。


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