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2012年9月26日水曜日

CD ドビュッシー・シマノフスキ、ようやくアメリカで9月25日発売

米国の公共放送NPRのウェブサイトに公開されたCDレビュー
フーガの音源付き。
by Tom Huizenga

Another solid album from Polish pianist Rafał Blechacz shows he's an artist of distinction.

(quote)
2005年のショパンコンクールで全ての賞を独占した時、ポーランド人のラファウ・ブレハッチはまだ20歳だった。彼の優位性が余りにも明らかだったため、審査員は第2位の授与を拒否した。

しかし、ピアノコンクールでは、セレモニーが終わり騒動が落ち着くと、偉大さで語られるような立場になる者は少数で、多くは、比較的無名な位置に転落していく。ヴァン・クライバーン、ラドゥ・ルプー、ウラディーミル・アシュケナージ、彼らは皆大きなコンクールで名誉を手に入れた。しかし、ラルフ・ヴォタペク、シモーネ・ペドローニ、ウラジミール・クライネフもそうだったのだ――有名人とは必ずしもいえまい。

ドビュッシーとカロル・シマノフスキの曲から成る、心を揺さぶるようなアルバムを出したブレハッチは、真に記憶に残るピアニストとなる道を歩んでいるように見える。そして彼はまだ27歳なのだ。

20世紀の最初の10年の間に、ブレハッチと同年代だったポーランド人作曲家シマノフスキは、「前奏曲とフーガ嬰ハ短調」と「ピアノソナタ第1番ハ短調作品8」を書いた。

3声から成るフーガ(試聴)

このソナタ、素晴らしい25分の作品は、私にとっては目をみはるような発見であり、もっと知られるべき作品だと思う。ブレハッチが恍惚とさせるほどの正確さで打鍵する大胆な始まりのアレグロは、ショパンのロ短調ソナタの始まりを彷彿とさせる。続くアダージョは抑えた感情を美しく込め、荒々しい中間部へと受け継がれる。軽やかで古典的風合いのメヌエットは、壮大な最終章への意外なバッファとして働き、最終章では予感的な導入にヴィルトゥオーソ的3声のフーガが間髪を入れず続く。

ブレハッチはこれら全てを、確信と奔放さを神秘的に組み合わせて演奏する。これまでのショパンの録音でそうだったように、音楽は自然に湧き出し、わざとらしさが少しもない手際のよい演奏だ。

後半のシマノフスキの作品と同様、アルバムの前半におさめられたドビュッシーの3作品は20世紀初頭に書かれた。明瞭で流暢なアーティキュレーションで、ブレハッチは「ピアノのために」に織り込まれた全音の和声を過大に演奏することはない。ブレハッチはまれな気迫で「前奏曲」に飛びかかり、「サラバンド」はこれとは対照的に薄い覆いがかけられている。作曲されたのはわずか2年後だが、「版画」は全く別の世界に存在する。ここにエキゾチックなドビュッシーがいる。「塔」ではインドネシアのガムランの趣を、「グラナダの夕べ」では煙とカスタネットの気配添えて。この演奏はペダルを使いすぎたり過度に香料を放つドビュッシーではなく、まことに清々しい。力みのない、示唆にとむ演奏だ。「喜びの島」は好奇心に満ちたトリルで始まり、花火の閃光で終わる。

この20世紀初頭のピアノ作品を賢くプログラムし、才気あふれる演奏をすることで、ブレハッチは再び、ワルシャワでの賞の独占にふさわしい音楽家であることを証明した。
(unquote)

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ラファウ・ブレハッチのアメリカ公演を前に、ようやくCD「ドビュッシー・シマノフスキ」がリリースされました。ファンの方は、すでに欧州や日本から入手されているようですが。これはアメリカで書かれた、初めてのきちんとしたレビューで、多くのラジオ曲やメデイアで引用されています。これまでのCDもアメリカ公演に合わせての発売で、他市場より遅れることが多かったです。