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2012年9月25日火曜日

青山音楽記念館

京都の青山音楽記念館(バロックザール)は音響が素晴らしい、といろんな方が述べておられるのを目にします。少しググってみたら、音響の専門家の方が書かれた文章がありました。

「永田音響設計」のウェブサイトより

(引用)
バロックザール(青山音楽記念館)

・・・200席の小ホールとは聞いていたが、ロビーから入ったところが最後列、後ろにもう少し客席が欲しくなる。しかし、ステージをみている限り天井も高く、中ホールを思わせるコンサート空間である。音響的な仕掛けとしては、壁が僅か内側に傾斜していることと、残響調整用のカーテンが慎ましくおさめられているくらいで、ごたごたした細工がないのが心地よかった。気になったのは天井の換気口である。  私は上手の最後列に近い席をとった。歌とピアノという、どちらかといえば明瞭さが求められるプログラムであったが、感心したのはその響きとクリアーさのバランスの良さであった。音の輪郭も明確であり、しかも刺激的でなく、低音域から高音域にかけてのバランスのとれた明るい響きであった。



 最近、各地に小ホールが誕生しているが、小ホールでは大ホールで苦心する初期反射音の確保の問題はない。しかし、客席の大部分が音源に近い領域に位置するという別の課題がある。また、楽器の種類も編成の規模も、したがって、音量や音色の範囲も広く、響きの設計の焦点をどこにおくべきかは大きな課題である。最近では古楽器から邦楽まで登場してきた。小ホールの音響設計では大ホールとは違ったアプローチが必要なのである。  小ホールの設計ではとくに音場の拡散が気になってくるが、拡散と音響効果との関係は実のところ明らかではない。このバロックザールの拡散対策は5°という僅かな壁の傾斜と天井のゆるやかな曲面くらいでしかない。しかし、刺激的な響きはまったくなかった。私の席が最後部に近い位置であったこと、また、今回は弦楽器の音を確認できなかったことなど、一回のコンサートで断定はできないとしても、このホールの響きのバランスは見事である。それに演奏もこのホールの響きを心得たものであったように思う。

 後日談になるが、ほぼ、同じ時期にこのホールで行われたワイセンベルグのピアノリサイタルの印象をあるプロジエクト仲間から聞いたが、わんわんでディテールがまったく分からなかったとのこと、当然だと思う。実はサントリーホールでもザ・シンフォニーホールでも今回のこの巨匠の演奏は同じ印象であったから、あの弾き方ではこのホールには合わないことは確実である。音量に対して許容の間口が狭いことは響きの豊かな小ホールの宿命であり、この点は演奏者に考慮して頂きたい事項である。ともかく、この小ホールはいろいろな点を示唆してくれるホールであった。
(以上引用)


**小さなホールは音源に近いから、大ホールよりディテイルを聴けるのだ、と単純に思っていましたが、専門的にはいろいろな観点があるのですね。また、ホールだけでなく弾き方も影響する、というところもなるほど、でした。ラファウ・ブレハッチひとりをとっても、私は30回ほど大小様々なホールで聴いているのですが、過去、このホールは音響がよい、よくない、と結論づけていたことも、実はいろいろな要因が重なっていたのだな、と思いました。