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2012年7月27日金曜日

ブレハッチ、選りすぐりのタッチ――演奏会プレビューとインタビュー(フランス)

English

7月23日の、ラ・ロック・ダンテロンでの演奏会に関するプレビュー記事です。ブレハッチへのインタビューが少し含まれています。

プレビュー記事

(Quote)

ブレハッチ、選りすぐりのタッチ

洗練されたスタイルを持つ有望なポーランド人ピアニストが、今夜ラ・ロック・ダンテロン音楽祭で演奏する。

by Eric Dahan

6月の半ばパリのサル・プレイエルにて、ラファウ・ブレハッチは今夜と同じプログラムで演奏した。5年前、彼のショパン前奏曲集のアルバムは、強い印象を与えた。前奏曲第3番ト長調での彼の左手は、速度で他の巨匠達より勝ることはないが、重要な表現描写に注意を払っているのがわかる。ブレハッチは楽譜の隅々まで吟味しつくしたらしく、各前奏曲において、アタックやダイナミクスの変化、光の陰影を、極めて洗練された形で展開している。この若者は、2005年10月のワルシャワのショパンコンクールで優勝して以来、音楽愛好家の間では無名ではない。この賞は5年に1回授与され、マルタ・アルゲリッチやマウリツィオ・ポリーニを輩出した。最近見出された天才に感激し、ブレハッチを75年に優勝した同国のツィメルマンと比較する人もいる。ベートーベン、ハイドン、モーツァルトのソナタ集のCDをリリース後、ブレハッチはショパンの2つの協奏曲をコンセルトヘボウと録音した。優れた録音だが、最新ニュースとして言及されることはなくなってきた。

誠実さ:今年、ブレハッチは、ドビュッシー・シマノフスキのアルバムで顕著な注目を集めたが、このアルバムは彼の才能とともに限界も示している。彼は色彩感覚と描写に優れ、美しく明瞭な音を持つが、ドビュッシーでは、自然な表出や響き以上の音色を出そうとの意図が聴こえるし、ピアニシモを弾くときのタッチは固くドライで、深みに欠ける。シマノフスキでは、長時間にわたる音楽的対話のメリハリをつけるのに苦労したようだ。

そうは言っても、彼は楽器を操る技術においても、音楽的詩情においても、誠実さあふれる音楽家であり続けており、これは、ユジャ・ワンやヤン・リシエツキといった、昨今の耳目を集める若手演奏家達にもいずれ要求されることになる、優れた資質だ。


1985年6月30日、ポーランドのナクウォ・ナド・ノテチョンに生まれたブレハッチが初めて音楽に魅せられたのは、オルガンからだった。


「毎週日曜日に家族と教会に行っていました。10歳頃初めてピアノコンクールで優勝するまでは、オルガンを学び、ミサでオルガンを弾いていました。」と彼は言う。ピアノに関しては、ビドゴシチの音楽アカデミーで研鑽を積むことになる。彼が2002年のアルトゥール・ルービンシュタイン(国際青少年)コンクールで2位を獲得した街だ。

賞を独占:「子供の頃、世界でモーツアルトやショパンを演奏するのが夢でした。18歳の時に日本のコンクールに出たことで、さらに刺激を受けました。」と言う彼は、その2年後、ワルシャワのコンクールで全ての賞を独占した。金賞・銀賞に加え、3つの特別賞(マズルカ・ポロネーズ・コンチェルトの最優秀賞)も。

影響を受けた演奏家について尋ねたところ、彼は答えた。

「そうですね、ルービンシュタインは、心から流れ出る、とても自然なルバートがあるから、ミケランジェリは、ベートーベン、スカルラッティ、ドビュッシーの前奏曲で、知性と感情の理想的なバランスを示してくれたから、そして、パデレフスキはその音色ととても自然なフレージングのために。現役の演奏家ですと、マウリツィオ・ポリーニやアンドラス・シフとも会いました。このクラスの演奏家とディスカッションできるのはとても有意義なことです。」

オルガンを弾くことが、ショパンの前奏曲の録音の価値を成す声部、色彩、音色の描写に役立つかどうか、ブレハッチは示唆した。

「ショパンは、バッハの平均律クラヴィーア曲をたくさん演奏したので、後期の作品ではポリフォニーが深まっていますから。でも、一番大切なのは良い楽器で弾くことです。リサイタルの度に、僕はチューナーの方と、音の調整やホールの音響について話し合います。最新のCDのために、僕はドビュッシーの音色が正しく出せるような多様な色彩を持ち、またシマノフスキのソナタの大音量と全ての広がりを表現できるようなピアノを探しました。そして理想的な楽器をハンブルクで見つけることができました。

今夜、ラ・ロック・ダンテロンでの3回目の演奏会のために、ブレハッチは、バッハ・ベートーベン・ショパン・シマノフスキのプログラムを選んだ。

準備はどうしているのか尋ねたところ、彼はこう答えた。

「神を信じていることが、芸術でも助けとなっています。例えば日本にいる時でさえ、僕はインターネットで、ミサの時間を調べます。他に、ジョギングはよくやります。飛行機は非人間的で、避けるようにしています。コンサート間を移動するのは、車を自分で運転して行くのが好きですね。フッサールの現象学に非常に興味を持っており、音楽解釈の限界と自由に関するゼミに参加しています。アーチストは、作曲家の意図を尊重した上で、自分の感性を表現できるスペースを見つけるべきだと思います。演奏は、その時々の雰囲気によって、常に変化します。しかし、作曲家のスタイルは保たなければなりません。さもなければ、自分で作曲するのと同じになってしまいます。」

(Unquote)