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2012年7月20日金曜日

演奏会レビュー:ブレハッチが演奏した、ベートーベンピアノ協奏曲第3番@コンセルトヘボウ

English

ラファウ・ブレハッチが5月にベートーベンのピアノ協奏曲第3番を演奏したときの、聴衆の方が書いたレビューです。
彼は今後しばらくベト3の演奏予定がないので、今年の記録として書いておきます。
日本語にしにくい部分に若干の意訳があります。

演奏:ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団
指揮:トレヴァー・ピノック

Original review
当日のプログラムページ

(レビューより抜粋)
ラファウ・ブレハッチ―様式にのっとったベートーベンの演奏

ベートーベンのピアノ協奏曲を聴いている時、各協奏曲が、様式とか作曲家が実現している作曲上の諸要素だけでなく、オーケストレーションの変化を反映していることを忘れてしまうことがある。2012年5月11日、アムステルダムのコンセルトヘボウでのコンサートにて、聴衆はラファウ・ブレハッチによる素晴らしい第3番協奏曲の演奏に加え、トレヴァー・ピノック指揮、ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団による、様式にのっとった演奏を堪能することができた。

・・・トレヴァー・ピノックはハープシコードの演奏家でもある。・・・

こうした様式に沿ったタイプの演奏では、協奏曲用の楽器(=ピアノ)とチームの他の楽器との対話の均衡が確保される。この実験において、ブレハッチのピアノが卓越し浮かび上がった。

このステージの設定では様々な想像を巡らすことができる。宮廷の環境だったなら、この協奏曲はどんな風に演奏されただろうか。

高い感性を持ったピアニストは、このような楽器編成によって、音色やぺダリングを操った。アレグロコンブリオから、――彼は第1楽章をまさにコンブリオで演奏した――ラルゴ、そして軽快で煌めくようなロンドアレグロに至るまで。

いつものことながら、ブレハッチは自然な感性と、楽器から音色を抽出する方法を熟知した、その完成度の高さで、そして、ポリフォニーの要素といったニュアンスに細心の注意を払うことによって、聴衆を魅了した。この演奏は、古風なあるいはロマン派の要素を強調したものではなかった。極めてバランスのとれた、古典的な、安定した演奏で、ウィーン古典派の協奏曲作品の転換点を示しているかのようだった。

ベートーベンの演奏中、トレヴァー・ピノックがプログラムの最初に演奏し、そこから指揮も行なったハープシコードは、ステージ上のピアノの近くに置かれたままだった。ピノックがハープシコードで今しがた演奏した、無駄のないオスティナートと、今ピアノで展開されている豊かで多様な響きを、どうしても比べてしまう。

ラルゴでは時にブレハッチの音がモノクロになることもあったが、この演奏は間違いなく、ステージ上の全ての楽器の中で王者の位置づけへと発展し、キーボード楽器の新時代を開いた楽器による演奏なのだ、ピアノとの対話を聞きながら感じた。

前半の最後にブレハッチがアンコールとして演奏したマズルカ作品41の嬰ハ短調は聴衆を釘付けにし、静けさが支配した・・・


(by Marzenna Donajski, ピアノ教師・ピアニスト)

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このブログでブレハッチの演奏のレビューを扱う際、彼の実際の演奏を(放送も含めて)聴いたことがない曲は、私はこれが初めてです。どんな演奏か想像はできるのですが、想像が合っているかどうかはわかりません。。。