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2012年2月19日日曜日

ミケランジェリとブレハッチ――インタビュー(ポーランド)


empik.comに、2月10日に掲載されました。
内容から見て、ポーランドでのアルバムリリース:2月7日の直前のインタビューのようです。
記事についていたタイトルは、「最初のインスピレーションは、ショパンではなかった。」ですが、私は他の部分、ドビュッシーの演奏とミケランジェリについて述べている部分を興味深く読みました。また、今年10月アメリカでの演奏会予定、正式アナウンスはこれからですが、ご本人が既に言及しています。

英語ブログの当該部分です。(2件あるインタビューの2つめです。)

(Quote)
新アルバムのリリースまでもう少しです。初めてではないとはいえ、ショパンの曲が入りません。でも君にはショパン弾きのラベルが張り付いてます。こういうステレオタイプ化には耐えられますか?

ショパンのおかげで、僕は世界中で演奏できるのですから、そういう意味合いのことは受け入れがたいですね。僕がどうしてショパンから離れられるでしょう?離れたいとは決して思いません。ただ、実は、僕が初めてインスピレーションを受けた作曲家は、ショパンじゃなかったんですよ。

誰だったんですか?

ショパンに出会ったのは、バッハ、ベートーベン、モーツアルト、ハイドンに出会ってずっと経ってからです。ドビュッシーやシマノフスキの作品も、ショパンなど、ロマン派の音楽作品の演奏へのアプローチの大きな助けとなりました。ウィーン古典派ソナタ集を録音した時、ドビュッシーとシマノフスキも録音して、僕がこの2人の作曲家にいかに影響を受けているかを示したい、と考えました。


いろいろなインスピレーションがリストアップされました。でも全部クラッシック音楽だ。こんなに若い男性の芸術的なセンシティビティーに、他の種類の音楽の影響は感じなかった?

もちろん、他の種類の音楽も、ラジオやテレビを通して流れてきます。でも、正直なところ、僕の生活の中の事は全部、クラッシック音楽を中心に回っているんです。ピアノ作品だけではなく、交響曲やオルガン音楽もそうですね。ヨハン・セバスチアン・バッハや、セザール・フランクなんか、特に。


君がオルガン音楽に興味があるのは皆知っています。でもオルガンをプロとしてのキャリアには入れていないでしょう。オルガンのリサイタルは開いてませんね。

ええ。でもオルガンは本当に好きです。オルガンは僕を豊かにしてくれるし、時々、ピアノ音楽の意味を理解する助けにもなっています。バッハの作品から学べることが多く、ポリフォニーとの相互作用が、ショパン音楽でのポリフォニーの発見につながることもあります。オルガンはとても魅力的ですが、音楽体験という意味では全く別のもので、いわゆる「時間外」に、近所の教会のオルガンの前に座るのが楽しみです。


新アルバムの話に戻りましょうか。ドビュッシーとシマノフスキは、君が長年親しんできた作曲家だということはわかりました。様々な作曲家の数多くの作品の中で、この2人をひとつのアルバムにまとめたいと考えるほど興味を持った、その根拠は?

この2人の作曲家を並列する上で、2種類の方法があると思います。まず、印象主義音楽としての軌跡です。これはシマノフスキにとっても、特に彼の第2期の創作活動では重要なテーマです。僕はもう1つの方法を選びました。つまり、録音の構成の主なモチーフとして、強いコントラストを示すことです。印象主義派としてのドビュッシーと、表現主義派としてのシマノフスキ。完全に異なった音楽の世界です。


ドビュッシーのピアノ音楽に手を伸ばすと、ジャーナリスト達が直ちに、君を、偉大な音楽家アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリと比較するであろうことは、予想したでしょうね。既に、ショパンコンクールの優勝者として、クリスティアン・ツィメルマンと比べられているように。

まず、ベネデッティ、ギーゼキング、リヒテル、コルトーの録音は、既にドビュッシー作品の演奏の歴史の一部を成しています。これは議論の余地がありません。比較されることも、特に言うことはありません。しかし、自分について言うなら、僕は、作品の構造の深いところまで入り込んで、その性質やロジック、意味を探し当てようとしています。他の人の演奏ではなく、作曲家自身が自分にとって最大のインスピレーションとなるような状況に自分を持っていこうとしています。ただ、ベネデッティの演奏の様式が僕に非常に近い、というのは事実としてあります。彼が感情と知性とのバランスをナチュラルにとっている点は、賞賛します。僕の演奏へのアプローチで鍵となるのは、作品と緊密に接触することです。いわば、作品との冒険体験のようなもので、これには時間がかかることがあります。「版画」の場合、何年もかかりました。この作品への自分のアプローチは、時を経て、変化してきています。


どんなふうに?

自分の解釈に対するアイディアを表現するための、自然な発展のプロセスだと言えるでしょう。異なったホール、異なった楽器、異なった聴衆、さまざまな経験。これら全てが影響します。ところで、僕は作品が自分の中で成熟する、その瞬間が好きです。すべてのプロセスが完了した時です。その時になって初めて、作品をスタジオに持ち込んで録音しようと思うのです。


そうして、いよいよ録音ができました。君と、高名なドイツ・グラモフォンとの関係は継続しており、おめでとうといいたいです。周知のように、DGは素晴らしい評判と歴史を持つレーベルです。一方、君は若い音楽家です。自分が録音したい曲を選ぶ場合の自由はありますか。レーベルからの提案もあるのでは。

これまでのところ、ドイツ・グラモフォンからレパートリーについて圧力を受けたことはありません。もちろん、よく話し合いは持ちますが、DGの方々はとてもオープンです。これは喜んでいます。というのは、創作のプロセスでは、アーチストはこういう問題から自由になって、音楽にフォーカスをあてるべきだと思いますから。


アルバムに関連して、プロモーションのツアーも計画していますか。コンサートの計画を教えてください。

まずはヨーロッパ、それから、10月にはアメリカとカナダに行きます。この大西洋の両側でのツアーは、今回のドビュッシー・シマノフスキのアルバムが出来る前から既に決まっていました。演奏会プログラムは、前半がバッハとベートーベン、後半がこの最新アルバムの作曲家の作品になります。


ということは、シマノフスキのアルバムが発売され、彼の生誕130周年である今年、ポーランドでは演奏しないのですか。

2010年のショパン年に、僕はポーランドで5回演奏しましたが、これはショパンコンクール以降の5年間にロンドンで開いた演奏会の合計と同じ回数です。ショパンコンクール後、ポーランドでは約30回演奏会で演奏しました。ヨーロッパ、アメリカ、アジアといった外国で自分の立場を固める時でもあります。

(Unquote)

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