Preludia - Unofficial website for Rafal Blechacz

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2012年12月28日金曜日

感謝をこめて、2012年。

English

2012年1月下旬、待ちに待ったラファウ・ブレハッチの新譜「ドビュッシー・シマノフスキ」がリリースとなり(日本での正式リリースは2月15日)、

欧州を中心に多くの、非常に好意的・高評価のレビューが次々と出されました。

例:イギリス発のレビュー
「・・・このドビュッシーとシマノフスキの組み合わせは、ブレハッチが一芸のみのピアニスト以上であることを証明している。彼は途方もなく幅広いキーボードタッチと色彩を持った、構想力と認識力に優れたアーチストである。・・・彼の演奏に、露骨さや虚飾は全くない。・・・ここでも、彼の明晰な演奏は別格だが、演奏を形成するための知性もまた人並み外れている。これは非凡なディスクである。(ガーディアン)

1月中に精力的にプロモーション用の取材を済ませたブレハッチは、2月から演奏会活動を開始。ソロ・リサイタルではバッハ、ベートーベン、シマノフスキなど、コンチェルトではベートーベンの作品で、欧州を中心に、計44回の演奏会を行いました。

春は私にとって挑戦的な時期でした。CDだけでなく演奏会に関するレビューも次から次へと出され、その分量の多さにうつ状態になるほどでした。(うれしい悲鳴というべきですね。)

この春の時期2-4月には、日本語ブログのタイムリーな更新がほぼ不可能になってしまい、このまとめ記事でもリンク先が英語のものが時々混ざっています。


グラモフォン誌の、今月のディスクに。


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Live performances, 2012

program website ☆
review ★

2月3,4,5日
ベートーベンピアノ協奏曲第4番(スペイン国立管弦楽団、指揮:ジョセップ・ポンス)@マドリード国立音楽堂 

2月25, 26, 27, 28日
ベートーベンピアノ協奏曲第4番 (サンタ・チェチーリア音楽院管弦楽団、指揮:アンドレス・オロスコ=エストラーダ)@パルコ・デル・ムシカのアウディトリウム、サラ・サンタ・チェチーリア  

3月2日 @サラ・フィラルモニカ、トレント   
3月6日 @ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院、ミラノ  fan
3月9日 @リヨン・オーディトリウム
3月14日 @パレ・デ・ボザール、ブリュッセル 
3月18日 @Nieuwe Kerk (New Church)、ハーグ fan
3月21日 @ルクセンブルク・フィルハーモニー 

4月16日 @NDR Großer Sendesaal、ハノーファー 
4月18日 @ライスハレ、ハンブルク 
4月20日 @Kongresshaus Stadthalle、ハイデルベルク
4月22日 @Stadttheater、ヴェルス  Video
4月27日 @Kultur-und Kongresszentrum Liederhalle、シュトゥットガルト  fan



5月10日 ベートーベンピアノ協奏曲第4番(チボリ交響楽団、指揮:アレクサンドル ポリアニチコ)@チボリシンフォニーホール、コペンハーゲン 

5月11日 ベートーベンピアノ協奏曲第3番(演奏:ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団、 指揮:トレヴァー・ピノック @アムステルダム・コンセルトヘボウ ☆fan インタビュー

5月22日 ベートーベンピアノ協奏曲第4番(ミラノスカラ座フィルハーモニー管弦楽団、指揮:ファビオ・ルイジ)@ミラノスカラ座 



5月25日 ベートーベンピアノ協奏曲第4番(ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団、指揮:アントニ・ヴィット)@スメタナホール、プラハ  

6月6日 Mercatorhalle im CityPalais デュイスブルク 
June 11 @ auditorium cité de la musique, ストラスブール 
June 12 @サルプレイエル、パリ  Interview

6月28日 ベートーベンピアノ協奏曲第4番(ミラノスカラ座フィルハーモニー管弦楽団、指揮:ファビオ・ルイジ)@マリインスキー劇場、サンクトペテルブルク  


7月21日 ベートーベンピアノ協奏曲第2番 (モンテカルロフィルハーモニー管弦楽団、 指揮:ロベルト・アバド)@サン・ミッシェル教会、マントン 

7月23日 ラロックダンテロン・フェスティバルでリサイタル  インタビュー

** 7月中、今年のECHO賞の受賞者が発表されました。
ラファウ・ブレハッチのアルバム「ドビュッシー・シマノフスキ」は、ドイツの音楽賞ECHO Klassik 2012のSolo Recording of the Year (ピアノ、20/21世紀作品)を受賞しました。

Best of Klassik 2012が10月に発売


9月28日 @フランクフルターホフ、マインツ 

10月10日 @ユニオン・カレッジのメモリアル・チャーチ、NY州  
10月12日 @デューク大学、NC州  インタビュー

11月7日 トーンハレ、デュッセルドルフ
11月12日 サル・ポワレル、ナンシー  
11月15日 L'Auditori、バルセロナ  
11月19日 テアトロ・プリンシパル、アリカンテ 
11月21日 バルアルテホール、パンプローナ  
11月22日 プリンシペ・フェリペ公会堂 オビエド  
11月26日 El teatro Pérez Galdós、ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア 

12月5, 6日 ベートーベンピアノ協奏曲第2番 (ルツェルン交響楽団 指揮:ジェームズ・ガフィガン)@ルツェルンコンサートホール   

12月7日 ベートーベンピアノ協奏曲第2番 (ルツェルン交響楽団 指揮:ジェームズ・ガフィガン) @ビクトリア・ホール、ジュネーブ 

12月11日 ベートーベンピアノ協奏曲第2番 (ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム管弦楽団、 指揮:ダグラス・ボイド) @Kultur-Casino、ベルン 

12月12, 13日 ベートーベンピアノ協奏曲第2番 (ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム管弦楽団、 指揮:ダグラス・ボイド) @Stadthaus ヴィンタートゥール 


*****
今年のブログ記事で、日・英共通でもっとも反響が大きかったのは、おそらくこれだと思います。

「僕は色がきこえる。」

私も共感覚の持ち主です、という声をたくさんききました。興味深いことに、皆さん、同じ音階から違う色をきいておられるのです。ブレハッチとまったく逆のきこえ方(見え方)をするフランスの方が、「にもかかわらず、音楽を同じように感じるのはおもしろい。」とおっしゃっていました。



↓ そして、こちらはむしろ、外国からの反響が大きかった記事でした。

CD「ドビュッシー・シマノフスキ」日本版に載せられた、ブレハッチによるメッセージ
(原文に忠実に訳した、私の訳です。CDに載っているユニバーサルの訳とは異なります。)

「2011年3月に貴国を襲った自然災害とその悲劇的な結果を目の当たりにし、私の心からの連帯と共感のしるしとして、このドビュッシーの《月の光》の演奏を、私のピアノを聴いてくださる日本の皆さんに特別に捧げます。」 - ラファウ・ブレハッチ

This performance of Debussy's Clair de lune is specially dedicated to my audiences in Japan as a sign of my heartfelt solidarity and compassion in the face of the natural disaster that struck your country in March 2011 and its tragic consequences. - Rafal Blechacz


しかし、日本語のブログに限って言えば、いちばん閲覧数の多かった記事は、なんといってもダントツで、来年2月の来日公演日程のお知らせです。

ラファウ・ブレハッチ来日日程

もうひとつ、日本特有の反響があったのが、ポーランド公共放送TVPによる、ブレハッチのインタビュービデオ

インタビュービデオ
この中で、ブレハッチがハノンを弾く様子が、日本の音楽ファンやピアノを弾く方々の中で話題となったようです。

今年もこのウェブサイト・ブログを読んでくださって、どうもありがとうございました。
個人的には、春にこのアーチストの生演奏を聴く機会に恵まれ、畏れと尊敬と、同時代に生まれた幸運への感謝の気持ちをあらたにいたしました。

では、2年4か月ぶりの来日リサイタルを楽しみに、
皆様にとって、来年も素晴らしい1年となりますように!

2012年12月20日木曜日

さいたま芸術劇場、追加発売

ラファウ・ブレハッチの、さいたま芸術劇場でのリサイタル、2013年2月2日は、チケット完売していますが、関係者枠の放出により、若干の枚数を、販売するそうです。(おそらく、良い席かと思います。)

12月22日午前10時より

0570-064-939まで

**12月26日夜現在、まだ若干枚のチケットがあるそうです!


*****
伊熊よし子さん著「おいしい音楽案内」(PHP新書)を読みました。スペインとフランスの作曲家や音楽が紹介されていますが、ラファウ・ブレハッチのことが、数ページ出ていました。コンクールの時の感激で、すでにいろいろな機会に書いておられる内容ですが、文脈としてちょっと意外でした。

本選の演奏直後のブレハッチの言葉を引用しておられます。
「・・・なにも考えません。自分にできることはすべて行なったつもり。あとは神が決めてくれます。」

私の印象では、彼は今でも、そんな風に生きているように見えます。

amazon.co.jp おいしい音楽案内


ガーディアン、Best classical albums of 2012

ガーディアンの評論家が、今年のベストアルバムをそれぞれ選出しました。
アンドリュー・クレメンツの選んだベストアルバムに、ラファウ・ブレハッチのドビュッシー・シマノフスキが入っています。

ガーディアン

クレメンツ氏のレビュー

**
何度も書きましたが(すいません、しつこくて)、私にとって思い出となるレビューでした。
どこで誰とどんな風に喜び合ったか、本当によく覚えています。。

Season's Greetings 2012

皆さま、楽しい幸せなクリスマスと、素晴らしい新年をお迎えください ♫


**クリックすると、アニメ・カードが開きます。♫

2012年12月17日月曜日

ポーランドラジオ2とのインタビュー、podcast

English

12月17日、Polskie Radio2で放送された、ラファウ・ブレハッチのインタビューが、podcastに入りました。12月初旬に収録。

Polskie Radio2 プログラムサイト

(以下は、ポーランドの方々に手伝っていただいて作成した訳です。私達がすでによく知っている内容など:例えば、コンクールでの優勝が自らのキャリアにどう影響したか、ステージでの演奏とCD録音との関係、など、は省いています。)

ラファウ・ブレハッチとのインタビュー、スイス・ルツェルンでの演奏の後に
きき手:Krystyna Nurczyk


(インタビューの冒頭、ブレハッチは12月から2月にかけての演奏会スケジュールについて話しました。イギリス・ドイツ・スイス・ルクセンブルクでのコンチェルトの予定に加え、日本でかなり集中的なツアーもあり、また初めてのソウルでのリサイタルも楽しみにしている、とのことです。)

Q オーケストラとのコンチェルトは、ソロリサイタルとは準備のしかたが違いますか。

そうですね。今回は指揮者もオーケストラも初顔合わせでした(ルツェルン交響楽団、 ジェームズ・ガフィガン)。しかし、もういろいろなオーケストラと数多く共演してきましたし、繰り返し共演している場合もあるので言えるのですが、優れたオーケストラと演奏するのはいつもとても楽しいことです。演奏をしながら一緒にルバートのようにテンポを揺らしたりします。指揮者とソリストが、パーソナリティや解釈、音楽そのものを一緒に調整することによって、あるフレーズを演奏するときに、「同じ空気を呼吸」できるようになることは、非常に重要です。そうすることができれば、オーケストラのメンバーも適切に反応することができ、解釈全体がとても自然になるのです。

[…]

このインタビューとは関係ない写真です
Q 演奏の仕方はどんな風に決めるのですか。

私達が音楽作品の中で何を経験するかは、まず、作品の内容によって違います。感情もとても重要です。しかし、音楽家はまず、自分自身の直感に耳を傾けるべきです。古典派の作品、例えばハイドン、モーツァルト、ベートーベンの作品ですと、ウィーン古典派の様式とは何なのかを知っておく必要があります。そのために古典派に関する本に目をとおし研究することです。さらに、自分の心に耳をすませ、それを聴衆に伝えること、それらを自然に行うことが求められます。なぜなら、解釈の中にほんの少しでもわざとらしさがあると、聴衆はそれをききとってしまいます。しかし、解釈が自分の心や魂の深いところから出てくるのであれば、それは真実のものであり、説得力がでてきます。

Q ブレハッチさんの場合はとても繊細で、ピアノの上に細やかな霧が漂っているかのようです。

どんな曲を演奏するかで随分違ってきますよ。たとえば、今回私が演奏したベートーベンのコンチェルト(2番)ですと、大きな音量や圧倒的なフォルテシモによるダイナミクスは必要ありません。ベートーベンの初期の作品で、この作曲家の個性的な作風が開花し始めた頃の作品です。聴衆の中にはこれをモーツァルトの曲だと思う場合もあるようです。つまり、このような繊細さが曲の特徴となっているのです。しかし、もし私が別の曲を弾くとしたら、例えばラフマニノフやブラームスのコンチェルトを弾くとしたら、全く異なった性質の音を出さなくてはなりません。実際、さまざまな作品を演奏するとき作られる雰囲気は、それぞれが独自のもので、その雰囲気はその場限りで消えてしまう・・そういうこともあります。

Q その曲に向けて「成長しよう」としているような曲はありますか。

はい、あります。いつでも心の中で次はこの曲を、と考え準備している曲はありますね。レパートリーを築いていくための戦略や、今後数年間たどっていく道筋を持っていることは、自分にとって大切です。

Q そして、その先には何があるのでしょう。

(笑いながら)そういうことは言えないことになっています。今の段階で言えるのは、次のシーズンの計画でしょうか。まもなく、ショパンのソロピアノ曲をドイツ・グラモフォンのために録音します。今回はポロネーズ全曲になると思います。マズルカを全曲録音する夢も持っていますが、もう少し先になるでしょう。しかし今は、ショパンの作品のうち、ポロネーズに焦点をあてています。[…]
(以上)

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このサイト www.blechaczinfo.com 独自の著作物を引用なさる場合は、事前に サイト管理人 にご相談くださいますよう、お願い申し上げます。


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音友から今月出た「新編ピアノ&ピアニスト」、ラファウ・ブレハッチの部分は2008年版(2007年発売)と同様、真嶋雄大氏が担当され、記述内容に大きな変化点はありません。2008年には「大きく飛躍する若き巨匠たち」に分類されていたのが、最新版では「世界の名ピアニストたち」の中に入っています。
(もう5年たつのか、と個人的にびっくりしています。。)
















旧版の表紙



2012年12月14日金曜日

ヴィンタートゥールで今年最後のコンサート


12月13日(日本時間の今日未明)、ラファウ・ブレハッチはスイス・ヴィンタートゥールで、ベートーベンピアノ協奏曲第2番を演奏しました。ブレハッチの今年最後の演奏会でした。

前日同様、聴衆から熱い喝采とブラボ、足音を受け、アンコール2曲で感謝しました。

プログラムページ

演奏:ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム管弦楽団
指揮:ダグラス・ボイド



Stadthaus Winterthur

私の記録が正しければ、ブレハッチが前回ヴィンタートゥールで演奏したのは、2008年3月のことでした。その頃は彼の演奏活動を追っていますと、”初めての”とか”XXデビュー”という言葉をよく目にしました。たとえば、コンセルトヘボウでのリサイタル・デビュー(2007年10月、コンチェルトではすでに2006年に)、ウィーンのコンツェルトハウスデビュー(2007年11月)、パリでのリサイタルデビュー(2008年1月)、初めてのイタリアツアー(2008年2月、とてもタイトなスケジュール!)、初めてのスイスツアー(2,3月)、北米デビュー(4,5月)、ザルツブルク音楽祭デビュー(8月)、ニューヨークフィルとNYデビュー(10月)、ロンドンフェスティバルホールデビュー(11月)などなど。でもすでに本当にマチュアで霊感あふれる演奏家でした。初めて演奏を聴いて以来、ずっとそのピアノを敬愛しつつ活動記録をとり続けることができたことを、有り難く感じます。

2012年12月13日木曜日

スイス、ヴィンタートゥールでのアンコール2曲


12月12日(日本時間の今日未明)、ラファウ・ブレハッチはスイス・ヴィンタートゥールで、ベートーベンピアノ協奏曲第2番を演奏しました。

演奏:ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム管弦楽団
指揮:ダグラス・ボイド

今日は、プログラムの後半がベートーベンのピアノ協奏曲第2番という曲順でした。ベートーベンの演奏後は、熱狂的な拍手、ブラボの声、足を踏み鳴らしての喝采となり、ラファウ・ブレハッチはアンコール2曲で返礼したということです。

2012年12月12日水曜日

ベルンでのベートーベン

12月11日、ラファウ・ブレハッチはスイス・ベルンのKultur-casinoで、ベートーベンピアノ協奏曲第2番を演奏しました。
演奏:ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム管弦楽団
指揮:ダグラス・ボイド

盛大な拍手とブラボの歓声に応え、彼はショパンのワルツとマズルカで感謝しました。
スイスでの演奏はあと2回。

program page

Musikkollegium Winterthur program page








2012年12月10日月曜日

ジャパンアーツのウェブサイトより、ブレハッチのインタビュー(2)

ラファウ・ブレハッチが来日を前にこたえたジャパンアーツによるインタビュー、後半部分も公開されました。
オルガン、バッハ、哲学について→

インタビューの前半

デンマークのウェブサイトより


デンマークのウェブサイト Politiken.dk/kurtur より
2012年クラッシック音楽のトップ20のイベントを選出していますが、

ラファウ・ブレハッチのアルバム「ドビュッシー・シマノフスキ」が第4位にランクしています。

「ドビュッシーのピアノのためには、新古典主義を冷静に表現し、版画は官能的でやはり冷静な優雅さを表している。また、ポーランド人シマノフスキの作品は見事な出来栄えで、26歳のブレハッチが偉大な演奏家であることを示している。」
(この訳はアバウトです。単語を見てこんな感じかな、と。)




掲載されていた写真は、おそらく今年5月10日の演奏会のものではないかと思います。(これも想像)
コペンハーゲンのシンフォニーホールにて、ベートーベンのピアノ協奏曲第4番を演奏しました。(演奏:チボリ交響楽団、指揮:アレクサンドル ポリアニチコ)。

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2012年12月8日土曜日

ビクトリアホールでの鳴り止まない拍手


ラファウ・ブレハッチは12月7日、日本時間の今日未明、ジュネーブのビクトリアホールにて演奏しました。ルツェルンと同様のプログラムですが、ルツェルン交響楽団、 ジェームズ・ガフィガンとの共演はこれが最終日です。ルツェルン同様、鳴り止まない拍手に応え、アンコールを2曲演奏しました。

Program of Le Grands Interprètes

from Luzerner Sinfonieorchester
















2012年12月7日金曜日

ルツェルンで2日目の演奏会

ラファウ・ブレハッチは12月6日、日本時間で7日の早朝、ルツェルンで2日目の演奏会にのぞみ、再び大喝采を受けました。プログラム、オーケストラ等は初日と同じです。ホールの音響、オーケストラ、指揮者、全部良かった!とのことでした。ブラボ。

2012年12月6日木曜日

止まらない大喝采~ラファウ・ブレハッチ、スイスのツアーを開始。


ラファウ・ブレハッチは、12月5日、スイスのルツェルンにて、ベートーベンのピアノ協奏曲第2番を演奏しました。日本時間の今日早朝でした。
演奏:ルツェルン交響楽団
指揮:ジェームズ・ガフィガン

「大喝采といつまでも止まらない拍手で、ラファウ(と指揮者のガフィガン)は何度もバックステージから、熱心な聴衆とルツェルン交響楽団の前に戻された。彼はショパンのマズルカで感謝を表した。」
(R.F.)
program page

今月ラファウ・ブレハッチはあと5回、スイスでこのベートーベンを演奏します。「しばらくコンチェルトに集中します」、と述べていた時期が始まりました。

ジャパンアーツwebsiteより「ラファウ・ブレハッチがプログラムについて語る(1)」

ジャパンアーツwebsiteより「ラファウ・ブレハッチがプログラムについて語る(1)」→

2012年12月4日火曜日

さいたま芸術劇場完売

ラファウ・ブレハッチのリサイタル@彩の国さいたま芸術劇場(2013年2月2日)と、京都バロックザール(2月8日)は、チケット完売しました。

↑京都、まだ少々あるそうです。(12月7日追記)

2012年11月28日水曜日

「ショパン名演集」ラファウ・ブレハッチ、ビクターより1月30日発売

「ショパン名演集」ラファウ・ブレハッチ、ビクターより1月30日発売。2枚組。

ビクターのウェブサイト

amazon.co.jp

7netshopping

ほかのオンラインショップでも、予約受け付けてます。

2005年のショパンコンクール実録CDのリニューアル版のようです。

2012年11月27日火曜日

畏怖と賞賛の拍手~ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア

11月26日、ラファウ・ブレハッチは、スペイン領ラス・パルマス・デ・グラン・カナリアの El teatro Pérez Galdósでリサイタルを開きました。(日本時間の27日早朝。)聴衆の反応は畏怖のレベルに達し、後半のショパンでは一曲ごとに喝采とブラボで大いに盛り上がったそうです。





2012年11月23日金曜日

オビエドでのリサイタル


11月22日、ラファウ・ブレハッチはスペインのオビエドにあるプリンシペ・フェリペ公会堂にてリサイタルを開きました。熱意にあふれる聴衆から大きな喝采を受け、アンコール2曲(ショパンのワルツ・マズルカ)で返礼しました。今日は通常のショパン無しプログラムでした。


「驚くべき演奏!21世紀のピアノの到来だ。」(聴衆のパブロ・アルバレスさん)

パブロさんのレビュー記事




Program booklet

Preview
Preview



もう一件、レビューが出ました。


A review posted on ocio.lne.es
titled "An exceptional Polish piano"











今、時間がとれなくて、訳せませんが高評価です。。!

2012年11月22日木曜日

スペイン・パンプローナでのリサイタル

11月21日、ラファウ・ブレハッチはスペイン・パンプローナのバルアルテホールでリサイタルを開催しました。アリカンテと同様、最近にはめずらしく、ショパン有りプログラム。熱狂的な拍手に応え、アンコールを2曲演奏しました。
SNSでも、非常に多くの聴衆の書き込み・感動の声を見ました。私が最近見た中で、最高の盛り上がりだと感じます。

(例)
"Todos los pianistas tienen técnica; alma, pocos. Pasará mucho tiempo antes de volver a ver algo así. Maravilloso". (Mariano Jiménez)

↑(訳)
「技術あるピアニストは多いが、魂あるピアニストは稀だ。このような演奏を次に聴けるまで、随分長く待たなければならないだろう。なんと素晴らしい・・!」
(マリアノ・ヒメネス、音楽家・大学教授。)

「このホールで再び演奏いただける日がすぐに来ることを願っています。最高のリサイタルでした。」
(バルアルテより)


リサイタル・プログラム・ブックレット
Baluarte Pamplona様より







ラファウ・ブレハッチは翌日(22日)はスペインのオビエドでリサイタルです。その練習を、当日(21日)にパンプローナでしたそうです。演奏会を終えて、サインを求める聴衆に応じて、そのあとに。夜中に。

2012年11月20日火曜日

アリカンテのリサイタル

11月19日、ラファウ・ブレハッチはスペイン、アリカンテのテアトロ・プリンシパルでリサイタルを開催しました。スペイン・ツアーの2番目の演奏会も観客の熱い拍手を受けました。アンコール1曲。


Preview
".....Rafał Blechacz is a prestigious Polish musician who has participated in music festivals and competitions around the world, rising as the winner in many of the most prestigious ones. The victory of 2005 in Warsaw opened the doors of the most famous concert halls. Among others, he has been at Royal Festival Hall and Wigmore Hall in London, Berlin Philharmonie, Herkulessaal in Munich, Alte Oper in Frankfurt / Main, Stuttgart Liederhalle, Vienna Konzerthaus, Zurich Tonhalle, Concertgebouw in Amsterdam, Salle Pleyel in Paris, Palais des Beaux-Arts in Brussels and Avery Fisher Hall in New York".


*****
漫画家の長江朋美さんが、また、ラファウ・ブレハッチの絵を描いてくれました。
ハンブルクのあの写真のラファウ・ブレハッチさん




2012年11月19日月曜日

バルセロナのリサイタル・レビュー

11月15日のラファウ・ブレハッチのリサイタル in バルセロナ、とても良いレビューが出ました。
英語にしただけですが、よかったらご覧ください。

2012年11月17日土曜日

ラファウ・ブレハッチのマインツでのリサイタル放送予定、11月20日早朝


ラファウ・ブレハッチのリサイタル@ Frankfurter Hof, マインツ (9月28日) が SWR 2で放送になります。

11月20日午前4:03から (日本時間)


 SWR2はこちらから聴けます。

プログラムのページ
19日、20:03 Abendkonzert (イブニング・コンサート)

 KlassikAkzenteによるプロモのページ


2012年11月16日金曜日

クリスティアン・ツィメルマンの来日公演始まる。


クリスティアン・ツィメルマンの来日公演 が昨日から始まりました。およそ1年のサバティカルの後、室内楽演奏会を除き、リサイタルを再開したのは先月からとのことです。


昨日15日、最初の京都公演があったとのこと、感動と賞賛のブログ記事やポストを見ました。10月から欧州でリサイタルが再開されていましたので、ベルリン、オランダ、ブリュッセル、パリ、それから今月始めの香港での演奏記事やレビューを時々追っていました。8月のザルツブルクや9月のスペイン公演などを全部キャンセル(またはリスケ)したと聞き、少し心配だったのと、日本ではどのプログラムになるのか興味があったからです。コンセルトヘボウでの有力5紙による大絶賛のレビュー、すごいと思いました。

今年はツィメルマンのステージ生活50周年ということで、ベルリン(10月3日)コンセルトヘボウ(10月7日)の演奏会は50周年記念をかねていました。
ジャパンアーツのサイトに、ベルリンの温かいニュースが載っていましたね。

オランダ・香港では、ショパンの曲を除いて、楽譜を置いて(or 使って、特にブラームスで、)演奏されていたそうで、少し気になるところですが、これは心配しても仕方ないこと。

ただ、昨日の京都公演に行った方のコメントによると、演奏会前にツィメルマンのメッセージという文章がアナウンスされ、演奏の録音はしないでほしい、聴衆が無断で録音した演奏がYoutubeにアップされたことが原因で、計画していた録音ができなくなり、訴訟になっている、という内容だったそうです。そういえば、パリのサル・プレイエルの演奏会でも、「演奏の録音を禁ずる」という張り紙がしてあったそうです。これは演奏家にとっても聴衆にとっても残念なことです。ブレハッチも以前、聴衆の違法録音について、「聴衆のそのような態度は受け入れられない。」と明言していました。しかし、違法ビデオをYoutube上から削除させる手続きも、なかなかむずかしいようです。




ブレハッチ、バルセロナにてスペインツアーを開始。

ラファウ・ブレハッチは、11月15日、バルセロナのL'Auditoriでリサイタルを開催、スペインでの5回の演奏会をスタートさせました。

「今夜、ラファウはバルセロナのリサイタルで再び喝采を受けた。前半は演奏し終えるや、聴衆の
拍手とブラボが爆発した。終演時の歓声と拍手はもっと大きかった。彼はアンコール2曲で返礼した。」


L'Auditoriのニュース・リリース
彼が2005年のショパンコンクールで完全優勝を果たしたこと、今年アルバム「ドビュッシー・シマノフスキ」をドイツ・グラモフォンからリリースしたことなどが紹介されています。

2012年11月14日水曜日

リサイタル・レビュー @サル・ポワレル (フランス)


English
フランス語の原文もこちらで。


ラファウ・ブレハッチのリサイタル(11月12日、フランスのナンシー、サル・ポワレル)のレビューです。 estrepublicain.fr に翌日掲載されました。

(Quote)
ピアニスト、ラファウ・ブレハッチが昨日サル・ポワレルでリサイタル

至高のアーティキュレーション

卓越した極めて美しいピアノ、サル・ポワレルでのロレーヌ室内楽協会シーズンの初回演奏会を飾る。


© Denis Mousty, estrepublicain.fr










ラファウ・ブレハッチはバッハのパルティータ第3番イ短調でリサイタルを開始した。フレージングとアーティキュレーションの非常に優れたセンスにより、この舞踏組曲で極めて優雅な解釈をした。夢想に浸ることはなく、かといって、彼の演奏に、冷淡さや硬さはまったくない。

続くベートーベンのソナタ第7番ニ長調では、ラルゴを痛切に歌い、最終章のロンドでは色彩の微妙な変化に、聴衆は心をとめた。

この若いポーランド人は、クロード・ドビュッシーの「ベルガマスク組曲」の独自の演奏で、経験豊かな演奏者も含め、ピアノを学ぶフランス人に素晴らしいレッスンを与えてくれた。適切なペダリングにより、メヌエットとパスピエを快活に展開し、最も有名な曲「月の光」で夢心地の雰囲気をつくりだした。

カロル・シマノフスキのソナタ第1番ハ短調では、さらに彼の本領が発揮された。最初のアレグロから最終章のフーガにいたるまで、音を壮大に構成したが、ヴィルトゥオーソ性を見せつけることは皆無だ。ただただ叙事詩的な特徴を際立たせたいとの強い思いが感じられた。

大喝采を受け、アンコール1曲目に、若いアーチストはショパンのスローなワルツを演奏、気高い音色が響いた。
(Unquote)


**演奏会を聴いてきた、フランスのファンの方の感想です。(英語)


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2012年11月13日火曜日

ラファウ・ブレハッチ、素晴らしいリサイタル @ナンシー、フランス

ラファウ・ブレハッチは12日夜、フランスのナンシーでリサイタルを開催しました。

「ナンシーのリサイタルも、素晴らしい成功だった。サル・ポワレルでのリサイタル、前半ですでに大喝采となった。最後には嵐のような大拍手とともに、ブラーボ、ブラーボの叫び声がかなり長く続いた。その熱意に応え、彼はショパン2曲で返礼した。」

(注:プログラムは、バッハ、ベートーベン、ドビュッシー、シマノフスキでした。)

2012年11月12日月曜日

ラファウ・ブレハッチインタビュー ( PIANiSTE、フランス)

English

ラファウ・ブレハッチのインタビュー、フランスの雑誌 PIANiSTEの5月号に掲載されたものです。

オリジナル・インタビュー


ラファウ・ブレハッチ - 対比の調和
by Stéphane Friédérich

-- 印象主義が、ドビュッシーとシマノフスキを理論的に結びつけたのですね。

実際、それがこのプログラムの最初の考えでした。しかし、結果的に随分違うものになりました。最初に考えていたのは、シマノフスキの第2期の作品、例えばメトープop.29など、ドビュッシーの印象主義に近いものでした。最終的に選んだのは、2人を対比させること、それぞれ独自の言語を生み出した2人の音楽家の、色彩や気質の違いを際立たせることでした。私が選んだ時代は、印象主義と表現主義の両方を連想させます。ポーランド人作曲家では、フランス人作曲家の「版画」の「グラナダの夕べ」と同様、転調は不意に訪れます。スタイルは違いますが、2人の作品は同じ源流から流れる、近い感覚を持っています。

-- シマノフスキにおける変調の芸術は、ショパンにその起源があるといえます。このことは若いドビュッシーにもあてはまりますか?

もちろんです。ただ、私のドビュッシーの解釈はショパンの作品の影響を受けた、と考えておられるようですが、実際は全く逆のことが起きたのです。ドビュッシーの音楽は、私の音の世界の重要な部分を占めており、だからこそショパンを異なった形で解釈できるのです。さらに過去にさかのぼってみましょう。ドビュッシーの作品の特徴は、主に古典作品を非常に敬愛していたところにあります。「ピアノのために」の「前奏曲」には、古典派の尊重が際立って表れています。この曲を演奏するには、左右の手は完全に独立させる必要があり、また、クァジ・スタッカートであることを考え、ペダルはミリメートルで使わなければなりません。さらに、バッハのパルティータのような明瞭なポリフォニーを意識する必要があります。

-- 音楽における印象主義とは何でしょう?

もちろん、絵画における印象主義の聴覚版、ではないですね。印象主義音楽というと、音色の不明確さとか、常にペダルを使うという印象があるようです。ドビュッシーの音楽は、全く逆で、それまで書かれた音楽の中でも、最も精密な音楽なのです。演奏家は実験はしません。つまり、すでに色彩についてよく考えられており、楽譜に明示していないものは弾かないのです。

-- シマノフスキのソナタop.8のメヌエットは、フランス音楽の精神が生きているようです。ラヴェルのソナチネにも非常に近いものがきこえます。

私も同じ意見です。どちらの曲も、、シンプルだけれど非常に豊かな倍音の、ポリフォニックなフラグメントから成り立っています。このソナタは古典派の様式にとても近いです。しかし、ドビュッシーの、例えば「喜びの島」を見ても、やはり非常に古典的なものを組み合わせています。ヴァトーの絵画から感化を受けた作品であることは、いうまでもないでしょう。

-- 古典派の影響に加えて、ドビュッシーやシマノフスキでは異国風の趣が含まれていますね。

アジア的な強い異国情緒については、ドビュッシーの場合、例えばガメランに魅せられたことが知られていますが、私はコンサートで初めて演奏したとき、それを理解することができました。日本で、浜松のコンクールで入賞したときのことです。そのとき、東京や北の方の寺院や塔を訪ねる機会がありました。こうした場所の雰囲気に深く感銘を受けました。その少しあと、今度はスペインのグラナダに行きました。この街では、全く別の異なった文化や音の局面がありました。前後して訪れた、この2つの場所の経験は、私の弾き方に深く影響しました。作曲家が感じていたことが、よりよく理解できました。ドビュッシーはスペインに行ったことがなかったのですが、彼の音楽には信じられないくらい本物のスペインが復元されています。一方、シマノフスキは、第一次世界大戦の前に北アフリカを旅したのですが、彼も未知の文化に大いに影響を受けました。

-- しかし、シマノフスキの場合、ポーランドの民俗音楽の影響が大きいですね。

彼がポーランドの民俗音楽に還り、マズルカを始めたのは、もっと後の、1920年代になってからです。しかし、ショパン同様、シマノフスキも古来の舞踊に感化され、現代の言語に色彩を与えたのです。彼の楽譜は舞踏的なものではありません。

-- ドビュッシーのレパートリーについて、過去のどの演奏家のものを参考にしていますか。

アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ、アルフレッド・コルトー、ヴァルター・ギーゼキング・・・コルトーの「子供の領分」は深く感動しました。彼は作品の新たな解釈を行なった巨人たちのひとりです。しかし、私が最もよく覚えているのは、この巨匠たちの、解釈上の各変数を決める、構成のセンスの素晴らしさです。彼らの芸術は広く発展し、哲学的なルールにまでなりました。アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリは、知的な探求と、純粋な感情表現を組み合わせるという意味で、確かに最も成功した演奏家といえるでしょう。

-- あなたの受けた音楽教育についておしえてください。

私の家族にはプロの音楽家はいません。しかし両親は音楽が好きで、家にはいつもピアノがありました。初めて音楽に感激したのは、ピアノではなくオルガンでした。子供の頃、教会に行き、オルガニストになりたいとあこがれました。はじめはプライベートなレッスンを受け、その後ビドゴシチの音楽学校に通いました。少し後になってから、初めてポーランドのコンクールで優勝したとき、確かにピアノが自分の楽器だと思いました。プロの音楽家になろうと思ったのはもう少し後ですが、聴衆が感激してくれることが嬉しいことだとわかった時です。オルガンをやめたことはありません。自由時間があって(教会の)オルガンの場所に行ける時には、自分で楽しむために弾いています。もっと若い頃、作曲もしていました。音楽家というものは、ひとつの楽器だけでは満足できないものです。他の芸術表現からも栄養を得る必要があります。長い目でみると、そういうことが不可欠になってきます。私の場合は、小説や音楽の哲学の本をを熱心に読みます。それから映画も大好きです!

--あなたの先生、ビドゴシチの音楽学校のヤチェク・ポランスキ氏とカタジーナ・ポポヴァ=ズイドロン氏には、どんなふうに教わりましたか。

最初の先生、ヤチェク・ポランスキ先生のもとでは、主にバッハを学びました。先生の教え方はとても伝統的なやり方で、ピアノの技術に基づいていました。先生のおかげで、11歳の時に、ゴジュフのバッハコンクールで優勝することができました。チェルニー、クレメンティ、モーツァルトなど、主に古典の作品をたくさん演奏しました。「初めての」ショパン体験は、ノクターンのop.32-2でした。このメロディや和声の美しさは、かなりの衝撃で、ショパンの音楽をもっともっと弾きたいを思いました。次の衝撃は14歳の時おとずれました。シマノフスキの曲を集めたリサイタルを聴いたときです。それから、カタジーナ・ポポヴァ=ズイドロン先生は、素晴らしいショパン奏者なのですが、先生を通じてドビュッシーの作品を発見したのです。

-- キャリアの始めの時期、特にショパンコンクールの後を、どのように過ごしましたか。

最も重要なのは、演奏会と録音、そして鍵盤を離れた生活とのバランスをとることでした。音楽家にとって、自分を振り返る時間や休息、新しい曲を学ぶ時間は、ピアノに取り組む時間と同じくらい大切なものです。そのための時間が必要なので、演奏会のステージに登る回数は制限しています。大体、年に40回から45回に決めています。

-- 今はどんな曲にとりくんでいますか。

今は、いくつかのコンチェルトを練習しています。来年は、ソロリサイタルよりは、オーケストラとのコンチェルトに力を入れます。室内楽も、現在、モーツァルトとシマノフスキの作品を練習しています。2013年の6月に、ベルリンのフィルハーモニーホールで、ベルリン・フィルのソロ・バイオリニストの1人である、ダニエル・スタブラヴァと共演するためです。ピアノのソロ曲としては、タンスマンとルトスワフスキなどの曲に取り組んでいます。ショパンのマズルカを全曲録音するのがひとつの夢です。(マズルカは)2,3曲を弾く事自体は、比較的簡単です。しかし全曲を、しかもそれぞれの時代にあった最も適切な解釈を見つけるのは、もっとずっと大変です。各作品ごとに、異なった楽器や音響を選んでいくことになるでしょう。


-- 楽器の選択は特に重視なさいますか。

楽器そのものよりも、調律、特に調和の方が重要です。しかし、楽器を選ぶ可能性があるなら、ひとつのチャンスです。ドビュッシーとシマノフスキの録音では、これを行いました。とても色彩豊かであり、かつ、特にシマノフスキのために、ダイナミクスが非常に大きいですので大きなパワーのある楽器を使いたかったのです。

-- シマノフスキの音楽にとりくむ、アマチュアのピアニストにアドバイスはありますか。

質問の趣旨がはっきりしないのですが。というのは、シマノフスキの作品には、本質的な技術能力が求められます。この作曲家の第1期の作品は避けた方がいいでしょう。非常にヴィルトゥオーソ的なところが頻繁にありますから。マズルカなど成熟期の作品や、前奏曲op.1は、もう少し弾きやすいと思います。しかし、純粋にピアニスティックな側面以上に、作品の雰囲気や様式が特殊であるという事実があります。作品の2つの側面、一方に技術、もう一方に音楽の再生がありますが、この2つを切り離すことはできません。シマノフスキの作品は、解読から始まって、全てに真正面からとりくまなければなりません。この音楽を熟知した演奏家の演奏を、まずは聴くところから始めるべきですね。これが、様式を見誤らない、唯一の方法だと思います。

-- ヴィルトゥオーソと言う場合、あなたにとってはどんな意味合いがありますか。

ヴルトゥオーソ性によって、自分の手の物理的な状態を判断できます。。それだけです。私の場合は、例えば、ゴドフスキーが「編曲」したショパンのエチュードを弾いているとき、自分を確認することができます。

-- 練習はどんなふうに行っていますか。

コンサートツアーに出ている時は、普段より練習は少なめです。奇妙にきこえるかもしれませんが、心の状態をある意味新鮮に保ちたいし、リサイタルで可能な限りベストの演奏をしたいからです。また、可能な限り、演奏する場所の雰囲気に浸りたいのです。そうでない場合、普段ですと、1日6,7時間ピアノの前にいますが、何回も休憩をはさみます。1日の始めには、現在コンサートプログラムに入れている曲を弾きます。若い頃は、1日の始まりは、ゴルトベルク変奏曲の2,3曲などバッハの曲と、ショパンのエチュードでした。

-- バッハとショパンといえば、エディションには気を遣う方ですか。

ショパンは、特にワルシャワのコンクールの時は、パデレフスキ版を使いました。バッハについては、今日原典版は避けて通れないですね。私の場合は子供の頃から慣れ親しんでいたペータース版を使っています。

*****
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2012年11月11日日曜日

ウェブラジオ放送予定:ポーランドラジオ2

ラファウ・ブレハッチのリサイタル(@フリブール大学、スイス、2011年11月2日)を、ポーランドラジオ2が放送します。

11月12日午前3時より(日本時間)

ポーランドラジオ2

プログラム モーツアルト 変奏曲ハ長調
ドビュッシー 喜びの島
シマノフスキ ソナタ第1番
ショパン バラード1番他

(スイスのRTSでpodcastになっているのと同じ演奏会です。。)

2012年11月8日木曜日

京都バロックザールでのリサイタル、2013年2月8日

2013年2月8日 京都青山音楽記念館(バロックザール) でのリサイタル、まだチケットあるようです。

京都青山音楽記念館(バロックザール)
リーフレットがとても素敵です。

**さいたま芸術劇場(2月2日)、残席20です (゚O゚)(11/11夜現在)



デュッセルドルフでの喝采

ラファウ・ブレハッチは、11月7日夜、デュッセルドルフのトーンハレで、リサイタルを開催しました。

「ラファウのデュッセルドルフでの演奏会は素晴らしかった。聴衆の喝采は前半も後半も、止むことがなかった。彼はアンコールを2曲演奏した。」


WZ-newslineのプレビュー
明確な勝者
偽りの悲哀感とは無縁、氷河の水のようにクール、透明で混ぜ物が一切ないドビュッシー」


*****
(番外編 1)
今週はじめに出張で浜松へ行き、駅近くのショパンの像を見ることができました。新幹線を待つわずかな時間でしたが、初対面のノリの良い通訳者が付き合ってくれ、ショパンの丘の階段を一緒に駆けました。


ラファウ・ブレハッチが2003年の浜松のコンクールに参加した際、ホテルからこのショパン像を見て、ワルシャワのショパン像とそっくりで、びっくりし、また、心励まされた、という発言をしたのは有名ですね。


私が初めてこのショパン像のことを知ったのは、90年代の後半でした。まだ駆け出し通訳の頃、日本の国際交流団体が招待した各国の高校教師のグループに随行して浜松を訪れ、市のブリーフィングを受けたとき、浜松市とワルシャワ市が姉妹都市・音楽交流都市提携を結び、その関係から、ワルシャワのワジェンキ公園にあるショパン像のレプリカがつくられた、という説明がありました。参加者の中でひときわ若いポーランドの教師ロベルトがすぐに反応し、「ボク、昨日、ショパン像を見ましたよ!ワルシャワのと同じでびっくりしました!」と、うれしそうに発言しました。以来、仕事で当地を訪れる機会があると、可能な限りショパン様に会いにいっています。



(番外編2)
先月東京の日本橋に新装オープンした、ポーランド料理レストラン・ポルスカに、先日行ってきました。
ポーランド料理は以前ポーランドで1、2回食べた程度でしたが、とても優しい味で日本人向きだな、という印象を持っていました。
今回は、ジュレク、ゴウォンプキ(ロールキャベツ)、ピエロギ(上品な餃子風)、ポテト入りパンケーキなどをいただきました。素材の味わいが自然にすべて生かされ、優しく美味しさが広がって、なんだか上手なオーケストラみたい、と内心思いました。お店のポーランド人の方が明るくてとても親切。友人が最初に「パンケーキ」と言いかけると、「それはいけない、まずオードブルから食べなきゃ。」と強くすすめられたオードブルセット、美味しかったです~。

私達の席の横の壁に、ポーランドゆかりの写真がたくさん貼られたパネルが立てかけてあったのですが、その中に、ショパンとラファウが。。!


しかし、お料理がどれも美味しく、「このソースは何の果物ですか?」とか、「このひき肉は何のお肉?」とか、食べ物のことばかり質問してしまい、不覚にも、ショパンやラファウの写真(=2010年の来日公演のちらし)の話はしませんでした。次回は、是非、来年の来日公演のちらしを持っていこう、と静かに決意したのでした






2012年11月2日金曜日

武蔵野市民文化会館リサイタル

本日発売になったラファウ・ブレハッチ武蔵野市民文化会館リサイタル(2月1日)のチケットは、ネット販売分終了になっています。即日完売。すごいですね。

(インゴルフ・ヴンダー11月27日のリサイタル、完売していましたが、関係者枠が数枚放出されています。関係者ゆえ、良い席。ブレハッチももしかしたら直前に、福、ということがあるかも???)

** 良いコンサートを都心よりも安価で、という、主催者のいつもの方針が、なぜブレハッチのこの演奏会には反映されないのか、むしろ都心より高いのか、個人的に疑問を持っています。背後で何が起きているのか少し心配です。

*****
よく、ブレハッチのチケット価格は、キーシン、ツィメルマン、ユンディ、ランラン等と比べて安すぎる、彼の演奏価値にふさわしくないのではないか、という意見を目にします。そうかもしれませんが、しかし、日本では、欧米に比べてそもそもコンサートチケット代が高すぎます。アーチストの旅費やこの国の人件費等物価の高さを含めても、あるいは、助成やスポンサーなどのサポート体制の違いということを考えても、とうてい正当化できない価格設定だと、しばしば感じます。この秋は「ぼったくり」とも言われている巨匠の演奏会もあり、お客さんの入りがよくないようですが、そういう環境を設定してしまうこと自体、アーチストに対しても失礼だと思います。

経験された方は多いと思いますが、欧米では、チケットを購入する際、寄付をするオプションが出てくることがあります。寄付しなくてもチケットは買えるのですが、少しくらい協力しようかな、って思うときは1クリックで協力できる。あるいは、一度鑑賞すると、寄付のお願いのレターやメールがいつまでも来るところもあります。依頼と一緒に来季の予定とか情報もくっついてくるので、悪い気はしません。シーズンチケット制度も一般的ですよね。この国のコンサート提供側も、全体的に値段を下げて、かわりに聴衆の一部に自主的にサポート側にまわってもらう工夫は、いろいろあるのでは。少なくとも法外な値段のものは、なくしてほしいです。

ブレハッチが他の一流演奏家と比べて割安になっている(というより、他の演奏家が割高になっている)のも、日本特有の現象です。ブレハッチのファンとしては、差をつけられているようで気分よくないわけですが、欧州では、国によって多少の違いはあるものの、このクラスの演奏家はこの価格ライン、というのがあって、ブレハッチもツィメルマンも同等の価格設定にしている主催者が多いです。

一例ですが、今季・来季のサルプレイエルを見ると、ブレハッチとツィメルマン、キーシン、ペライア、ユンディは同じ金額、一番高い席種で100ユーロ。ポリーニ(パースペクティブ)は85ユーロと、日本の3分の1の価格となっています。(ただし、サルプレイエルは他会場、他国と比べると、高いです。ブレハッチのチケットで日本より高いのは、ここが唯一だと思います。他の演奏家は、日本よりずっと安い。)

こういうことに気づいたのは、以前、欧州のブレハッチのファンの方とメールで話していて、ブレハッチのチケットはツィメルマンの半分位の値段、という話題になったとき、大いに驚かれたためです。なんで倍もちがうの?って。


以下は、あるクラオタの方のコメント
「・・・共感してくれる方がいて良かったw 演奏会の目的なんてひとつ。演奏家が聴かせたい音楽を、一人でも多くのそれを楽しみしてる聴衆に届ける。そして演奏家も聴衆もどちらも幸せになり帰途に着く。これに尽きます。」
(以上、11/11に追記)

フランスの雑誌でのインタビュー

Pianisteの5月号に掲載された、ラファウ・ブレハッチのインタビューと、CDレビューのリンクです。

インタビューなど(フランス語)

ちら見しただけですが、魅力的な内容のようです。繁忙期につき訳す時間がとれるかわからないのですが、興味のある方はどうぞ。。

インタビュー英語にしました
11月10日追記

2012年10月31日水曜日

早期の復旧を祈って

ハリケーンSandyで被害や生活に支障を受けておられる方々に、心からお見舞い申し上げます。
心配していたニュージャージーの知り合いは無事だったものの、停電で電話すら使えず、他州に一時避難するとのこと、
ワシントンDCのファンの方は、この大変な時に、ラファウの音楽が心を励ましてくれる、とコメントをくださいました。
皆さん、どうぞご無事で!

*****
思い出したのは、
2010年5月にポーランド南部で洪水の被害が出たとき、
丁度ポズナンで演奏したラファウ・ブレハッチが、演奏料を全て被害者のために寄付し、言ったことば。→


ショパンの音楽には深い苦しみや悲しみだけでなく、希望があります。 今ポーランド人が味わっている、このつらい時期にこそ、必要な希望が。」 (ラファウ・ブレハッチ、演奏会後の発言。)


彼は本当は、もっとポーランドで演奏したいのです。。

2012年10月27日土曜日

武蔵野市民文化会館リサイタル、チケットは11月2日から。

ラファウ・ブレハッチのリサイタル@武蔵野市民文化会館小ホール(470席)、2013年2月1日のチケット予約は、
11月2日(金曜日)午前10時からです。

電話:0422-54-2011、またはこのプログラムページから。



*****

以前「ピアノを弾くブレハッチさん」の絵をポストさせていただいた、漫画家の長江朋美さんの作品「君のために弾くショパン」第3巻が、11月5日に発売になるそうです。

「君のために弾くショパン」第3巻、横山幸雄さんの推薦のコメントがつくそうです
**推薦帯は、書店で購入分の初版にのみつくそうです。(アマゾンだとつかないそうです。)

Amazon.co.jp 「君のために弾くショパン3」

ラファウ・ブレハッチと直接の関連はありませんが、長江さんもラファウファンだし、この作品を読んで長江さんのファンになったという、ポーランドのラファウファンの学生さんがコメントしておられました。

「朋美先生のこの作品大好きです。とても才能のある漫画家で、そして楽しい方ですね。ラファウの音からインスピレーションを得られたとは知りませんでした。素敵です。日本人がショパンをとても尊敬して、自分の愛するものをいろいろな形で他の人に伝えようとするやり方は、すごいと思います。ポーランドでもショパンのことをあまり詳しく知らない若者が多いんです。こういうコミックがきっかけで、楽しく気軽に偉大な作曲家の歴史を知ることができれば素晴らしいと思う。私も高校の友達がきっかけでショパン音楽に興味を持ち、ラファウの音楽が好きになりました。この漫画、是非、ポーランド語で出して欲しいです。」(彼女は英語で読んだそうです。)



そういえば、以前インタビューでこんな発言が。

-ショパンイヤーが近づいてきました。世界中で様々なイベントが行われます。商業的な形でショパン物語とか、映画とか。どう思いますか。

いいと思いますよ。そういう方法が、普段音楽に関わりのない人たちにも接点を持たせるのであれば、いいアイディアだと思います。(ラファウ・ブレハッチ)

2012年10月21日日曜日

素晴らしいピアニストに心からの感謝を。

English

今日10月21日は、ラファウ・ブレハッチが2005年ショパンコンクールで完全優勝を果たしてから、7年目にあたります。(厳密には22日早朝)



以来彼のピアノの、言葉で表せない高貴な美しさは、多くの音楽ファンの心に感動と癒しを与え続けてきました。

Mazurka in C minor Op.56 No.3



ピアニストはこの日を、どんな風に過ごすのでしょう?
多分・・日曜なので教会に行って、その後ピアノを弾くのでは(オルガンかも)・・


「日曜の方がたくさん弾くくらいですね。・・・鳥が飛ばない日はないのとおなじで、ピアノを弾かない日はありません(笑)。」(2009年2月来日時のインタビュー by 那須田務氏、レコ芸2009年11月号)→

あるいは哲学書を読んで過ごすのでしょうか。

これからも、健康で、幸せに、ずっとピアノを弾いていかれますように。

***

「突然、音楽ホール全体がインスピレーションで満たされるのを感じた。
ブレハッチのコンチェルトホ短調は、聴衆の心を捕えた。
そして、審査員の心も。 」
(コンクールのドキュメンタリービデオより。→ ( Watch Videoをクリック).

ブレハッチは最後の方にようやく登場しますが、彼のピアノの音で突然雰囲気が変わります。

このビデオの日本語訳です。
(ちょっと拙速です。見直さなきゃと思いつつ、はや5年)




2012年10月20日土曜日

放送のお知らせ(11月20日早朝)

ラファウ・ブレハッチのマインツでのリサイタル(9月28日)が、11月20日の早朝4時3分から、SWR2で放送の予定に入っています。(現地時間で19日の20時3分)


SWR2の放送予定表
P.2の20:03を見てください。

2012年10月15日月曜日

ノースカロライナのリサイタル・レビュー

ラファウ・ブレハッチの10月12日のリサイタル@デューク大学について、
レビューが出ました。
なんだかもう、賞賛の嵐のような内容で、清々しいです。

まだ英語


*****
ところで、東京に、ポーランド料理のレストランができたそうです!
「レストラン・ポルスカ」@日本橋→

去年、渋谷にできたお店が引っ越したそうです。正直なところ・・すんごく嬉しいです!早く行かなきゃ。静岡と鹿児島にもあるそうですね。

英語ブログにもこのレストランのことをアップしたら、ポーランドのファンの方が、「そういえば、以前ラファウは日本でのインタビューで、東京にポーランド料理のお店はないか、きいてたわね。」、ドイツのファンの方が、「彼は来日の時に行くんじゃない?」とコメントをくれました。

来日スケジュールは超タイトなので、そういう時間はないだろう、と思われますが(このアーチストは、演奏会前の練習量が並々ならない)、以前のインタビューというのは、これです。→

ECHO Klassik 2012の授賞式が行われました。


10月14日、ECHO Klassik 2012の授賞式が、ベルリンのコンツェルトハウスで行われました。

すでにお伝えしているとおり、ラファウ・ブレハッチのアルバム「ドビュッシー・シマノフスキ」は、Solo Recording of the Year (ピアノ、20/21世紀作品)を受賞しました。→

ユニバーサル(ドイツ)のニュースリリース
受賞アーチストの写真が掲載されています。ブレハッチはアメリカに滞在中で、欠席でした。



Swiss Orpheum Foundationのリリース
同基金のソリスト4人が受賞、ラファウ・ブレハッチは同基金の主催で2006年に演奏会を開きました。


KD Schmid (英国) (英語)のリリース 
KD Schimid (ドイツ)のリリース
ブレハッチのドイツ・イギリスでのオフィスのリリースです。

(.....) The album was released by Deutsche Grammophon in February of 2012. Reactions from the press have been impressive: “Suddenly music sounds completely pure again, wholly authentic; the message of the music comes from its innermost parts […]” (Die Zeit, March 15, 2012).

2012年10月13日土曜日

ダーラムでのスタンディング・オベーション

10月12日、ラファウ・ブレハッチはノースカロライナ州ダーラムの、デューク大学Bryan Center Reynolds Industries Theaterにて、リサイタルを開き、少し前に終了しました。

「また素晴らしいリサイタルだった。最後にはスタンディング・オベーションに。アンコールを2曲。ショパンのワルツイ短調と、マズルカop.17ホ短調。」

この会場での演奏は、2010年3月に続き2度目。

2012年10月11日木曜日

ラファウ・ブレハッチのインタビュー、ノースカロライナでのリサイタルを前に。

English

ラファウ・ブレハッチのインタビュー、10月12日のリサイタルの主催者である、Duke Performanceのブログ、"The Thread"に掲載されました。


インタビュー・オリジナル

(.....)
アメリカに来るのは今回5回目です。アメリカの聴衆は好きですよ。初めてのコンサートは2008年、ギルモア・キーボードフェスティバルでした。著名な場でしたので、招待を受けたときは嬉しかったです。それから、2008年には、ニューヨーク・フィルハーモニックとも共演しました。ショパンの協奏曲第2番を弾いたのですが、ニューヨークで重要なオーケストラと共演できたのは、素晴らしい経験になりました。

--国によって、聴衆の違いを感じますか。例えば、ヨーロッパと日本は?

それほど大きな違いはありません。日本では、僕がショパンを演奏するとホールが満席になるようです。日本人にとってショパンはそれほど素晴らしい存在です。どの国でどんなプログラムにするか、というのは重要です。初めて日本でツアーをしたのは7年前でしたが、日本のエージェントからのリクエストで、ショパンだけのプログラムになりました。しかし、ドイツや、フランス、イギリスで演奏する時は、いろいろなスタイルや作曲家を組み合わせるのがとても良いと感じています。ですので、普通は前半にバッハやベートーベン、モーツァルトの曲を弾き、後半はロマン派の音楽をよく入れます。ショパンやシューマンなどですね。今シーズンのリサイタルではドビュッシーとシマノフスキをよく入れていますが、これはドイツ・グラモフォンから出した最新のアルバムに関係しています。シマノフスキはヨーロッパでも自国のポーランドでもあまり知名度が高くないので、もっと多く演奏していきたいと思っています。
(.....)

ギルモア・フェスティバル、2008年4月


ニューヨーク州での情熱的な演奏

English

10月10日、ラファウ・ブレハッチはニューヨーク州のスケネクタディ市、ユニオン・カレッジのメモリアルチャーチにて、リサイタルを開催しました。

「ラファウのリサイタルはとても良くて、聴衆とのラポールも素晴らしかった。明晰なバッハの演奏の後は賞賛の叫び声があがり、ベートーベンは衝撃的。ショパンの1曲目で人々は立ち上がり、とどろくような喝采を贈り、最後のシマノフスキの後は熱狂的なスタンディングオベーションとなった。満席だった。」
(R.F.)



ジョセフ・ダルトン氏による、リサイタル・レビュー、timesunion.comにアップされました。 

(.....)
"シマノフスキのソナタ第1番ハ短調作品8は、今宵、最も情熱的で、最も音楽的だったといえる。"(.....)


2012年10月10日水曜日

Zofia and Antoni Wit initiative

English

The Zofia and Antoni Wit Initiative (アントニ・ヴィット:ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団音楽監督とご夫人のイニシアチブによる基金)は、ポーランドの音楽家がリタイヤした後使えるセンターを建造します。(既にオープンしたか、あと数日でオープンになるタイミングとのこと、アーチスト情報。ました。10月1日  )。

このイニシアチブは、作曲家のヴォイチェフ・キラールやラファウ・ブレハッチなどの著名な音楽家による寄付・支援を受けています。


オリジナルの記事(ハンガリー語)


2010年2月22日ワルシャワ















ポーランドのファンの方が、ポーランド語の記事もありますよ、とリンクを教えてくれました。(10月12日、追記)

Warszawa.Gazeta.pl

ゾフィア&アントニ・ヴィットのイニシアチブは、EUの資金が使われた他、多くの音楽家が賛同。とりわけ多額の寄付をした音楽家として、ヴォイチェフ・キラールやラファウ・ブレハッチ等ポーランドの音楽家やアンネ・ゾフィー・ムターの名もあげられています。10月1日のセレモニーは、大統領夫人の臨席を得て、盛大に行われたそうです。こうした音楽家のための施設は、ヴェルディが創設した、ミラノのカサ・ヴェルディがあるのみだったとのこと。

2012年10月7日日曜日

ラファウ・ブレハッチ2012年の米国公演、まもなく。

ニューヨーク州スケネクタディを本拠とする The Daily Gazette にラファウ・ブレハッチの紹介記事が載りました。彼のインタビュー付き。

Original article by The Daily Gazette

日本のファンの方であればよく知っている内容ばかりですので、日本語は省略します。











HUDSON SOUNDS というサイトに出ていた、 " Rafał Blechacz opens Union College Season."

この大学のコンサートシリーズのディレクターの方のインタビュー、最近就任した42歳の若手とのこと →


週末から米国入りしているラファウ・ブレハッチ、水曜日にスケネクタディのユニオン・カレッジのメモリアル・チャペルにてリサイタルを行います。

インタビューで少し触れている、次のアルバム「ショパンポロネーズ集」は、春頃から欧州各国のインタビューでも話題になり始め、来年秋頃のリリースをめどにしているようですが、アルバムの内容やリリースのタイミングは、常にマーケットの状況に影響されますね。最新アルバム「ドビュッシー・シマノフスキ」も、録音からリリースまで1年以上かかりました。Can't wait! という声をどれだけきいたことでしょう。結果的には、非常に良いタイミングだったのですが。

2012年10月6日土曜日

Best of Klassik 2012

English
ドイツの音楽賞ECHO Klassik 2012の受賞作品を集めた、Best of Klassik 2012がドイツで10月12日に発売されます。ラファウ・ブレハッチのアルバム「ドビュッシー・シマノフスキ」はECHO Solo Recording of the Year(ピアノ、20/21世紀作品)を受賞しましたが、このアルバムからも、サラバンド(ピアノのために、ドビュッシー)が入っています。Best of Klassik は、日本でも例年、輸入盤が入手できるようです。

Amazon.deウェブサイト
これはMP3のサイトですが、ディスクも出ます。
















なお、ECHO Klassk 2012の授賞式は、10月14日、ベルリンのコンツェルトハウスで行われます。→


Happy Birthday Karol Szymanowski

English

今日10月6日は、カロル・シマノフスキの130回目の誕生日です。


 シマノフスキのピアノソナタ第1番から、第3楽章メヌエット



「シマノフスキ音楽との関わりは比較的早い時期に、11歳か12歳の頃に始まりました。ポーランドのピアニスト、イェジー・ゴジシェフスキ** の演奏会で聴いたのですが、シマノフスキの音楽に本当に喜びを感じたのを覚えています。全てが美しく、心が痛むほど美しく響きました。特に、和音、素晴らしい転調、旋律・・・シマノフスキを必ず弾きたいと思いました。・・・今回は、”前奏曲とフーガ嬰ハ短調”、そして、”ピアノソナタ第1番作品8”を選びました。・・・」

「(この2曲を書いた頃)シマノフスキはとても若く、スクリャービンのような表現主義音楽に非常に魅了されていました。表現主義の典型的な雰囲気を聴くことができます。・・・ソナタ第1番の第3楽章は1種のメヌエットですが、彼が古典音楽の考え方やアプローチにとても接近していたことがわかります。・・・また、この曲はとても明るくて、特にメヌエットの中間部は多様なポリフォニーが使われていて興味深いですね。・・・」
(ラファウ・ブレハッチ)


シマノフスキに関する総合ウェブサイト



Violin Sonata in D minor, Op. 9: I. Allegro moderato (Patetico) Written in 1904.
David Oistrakh, violin
Vladimir Yampolsky, piano
Recorded in 1954.






2012年10月3日水曜日

ラファウ・ブレハッチのジュネーブ ビクトリアホールでのリサイタル(2010年3月)(podcast)

ラファウ・ブレハッチのジュネーブ ビクトリアホールでのリサイタル(2010年3月25日)を、スイスのRTS.chのウェブサイトで、オンデマンドで聴くことができます。
ブレハッチの大好きなホールでの演奏です。


RTS.ch のウェブサイト
"Ecouter" をクリックすると別ウィンドウが開きます。16:30から、第1曲目が始まります。


(Program)
バッハ:パルティータ第1番BWV825
モーツァルト:ソナタ第16(17)番 k570
ドビュッシー:「ピアノのために」
ショパン: バラード3番 op.47、スケルツォop.20、マズルカop.50、幻想ポロネーズop.61
アンコール:ショパンの遺作のノクターン


Le Temps に掲載された、このリサイタルのレビュー by ジュリアン・サイクス(英語・仏語)
サイクスは、長年にわたりブレハッチをウオッチ・評価しています。


@ドイツのバーデン・バーデン、2009年10月


*****
このバッハがまた聴けるウレシイ、と聴き始め、やはりショパンで陥落・・しました。

2012年10月2日火曜日

ラファウ・ブレハッチインタビュー、ドビュッシー・シマノフスキの音楽との出会い(ポーランド)

English

ポーランドの雑誌 Muzyka21, 2012年2月号に掲載された、ラファウ・ブレハッチのインタビューの一部です。

オリジナル・インタビュー
画面の真ん中あたりからです。

(Quote)
ラファウ・ブレハッチ:ドビュッシーとシマノフスキの音楽の色彩
ウカシュ・カチマレク


ラファウ・ブレハッチの新譜がリリースされた。今回はドビュッシーとシマノフスキのソロ作品。印象主義と表現主義:この2つの際立った音楽様式の作品を併置することがアルバム全体の特徴を決めている。明確な対照を成すことが、ピアニストの音楽的目的のひとつだった。この最新アルバムにおさめられているドビュッシーの作品のほとんどは、およそ10年間ブレハッチのレパートリーだった。かつ、ドビュッシー・シマノフスキ両方の曲が、彼のディスコグラフィーに既に入っている。記念すべき2005年のショパンコンクールより以前に録音された、アーチストの最初のアルバムのことだ。

このデビューアルバムについての質問から、私はピアニストとのインタビューを始めた。

「あれは本当に最初のアルバムでした。ドビュッシーのベルガマスク組曲とシマノフスキの変奏曲ロ短調を録音したこと、はっきりと覚えています。もう6年前になります。・・その間、これら作曲家への僕のアプローチの仕方は、確かに少し変わったと思います。今回は別の曲を録音しました。ドビュッシーの「ピアノのために」「版画」そして「喜びの島」、それから、シマノフスキは大曲ですがソナタ1番ハ短調です。ですので、こういった作品に対して、6年前とは違ったアプローチが必要でした。

シマノフスキとドビュッシーの解釈にどれくらいの違いが生じたのか、自分でこうだと言うのは簡単ではないですね。自分はその間、そのプロセスに浸っていたわけですから。おそらく、聴き手にきいた方がいいでしょう。僕の演奏を頻繁に聴けるわけではなく、毎日僕のピアノに触れるわけでもない。だから聴衆は6年前の録音と、現在の、重要なステージや録音の経験を経た後の演奏を比べることができるでしょう。きっと聴衆は変化を感じ取っているのでしょう。といっても物議をかもすような変化ではないでしょうね。解釈上の、あるいはもっと一般的に音楽で物議をかもす、というのは、僕の領域ではないし、やってみたいことでもありません。

しかし、ある作品を、特に録音すると決めた作品を、異なった場所、異なった音響、異なった楽器で演奏し続ける経験から、何かを得て、スタイルをつくっていけるのだと思います。もちろん、今、作曲家のスタイルのことを言っていますが、ある特定の作曲家による構造全体を保ちながら、そのスタイルの範囲内で、自分のアイディアや音楽の解釈を出していくことができます。」


スタイルといえば、ドビュッシーやシマノフスキの音楽に対する自分のビジョンに関し、ラファウ・ブレハッチは偉大な音楽的インスピレーションをどこから得たか教えてくれた。シマノフスキの場合、イェジー・ゴジシェフスキという演奏家がいる。10数年前にこのポーランド人作曲家の全作品を録音した演奏家で、彼を通じて、非常に若い時代のブレハッチが、何年も前に、前述の作品を聴く機会を得た。

ドビュッシーについては、彼はミケランジェリ、アルフレッド・コルトー、ヴァルター・ギーゼキングの演奏という、3つの主なモデルを明示している。私は、ラファウ・ブレハッチに、ドビュッシーやシマノフスキの作品に関する彼の最初の体験は何だったのか、またその他の音楽的インスピレーションについても質問してみた。

ゴジシェフスキ先生は、実際、先生のリサイタルが、僕のシマノフスキの音楽との最初の出会いだったのです。ビドゴシチの音楽アカデミーでのコンサートのこと、覚えています。先生はメトープと仮面、それからソナタの2番だったと思いますが演奏されました。とても素晴らしい演奏会でした!イェジー・ゴジュシェフスキがシマノフスキの全ピアノ作品のアルバムをリリースしたのも、ちょうどこの頃でした。当時僕は先生の解釈を聴き、そういうふうにしてシマノフスキの作品を勉強しました。初めて聴いた時から、この音楽に魅了されました。特に和声、それに、感情の鋭い対比と高みに夢中になりました。もちろん自分もシマノフスキの作品に手を広げたいと思い、前奏曲を何曲かと、変奏曲op.3を弾いてみました。それで後者をレパートリーに入れて、こんなふうにシマノフスキ体験が始まりました。

ドビュッシーについては、13歳か14歳の頃、ドミニク・メルレのリサイタルで聴いたのを覚えています。「版画」の演奏に非常に魅せられました。ドビュッシーの作品は、スヴャトスラフ・リヒテルなどの録音をいくつか既に聴いていました。少し前にドイツグラモフォンからリヒテルの録音が出ていて、ドビュッシーの前奏曲を何曲か、それからまさに「版画」、さらに、スクリャービンのソナタと、プロコフィエフの曲も入っていました。ライブ録音でした。その時から既に、自分の中で、ドビュッシーのブームがどんどん広がっていました。その頃、「版画」と「ベルガマスク組曲」の練習を始めました。少したってから、「ピアノのために」も弾き始めました。インスピレーションを受けた録音はとてもたくさんありましたよ。例えば、アルフレッド・コルトーの「子供の領分」の録音で素晴らしいものがあります。こうした録音を参考にインスピレーションを受けるのは、自分にとってもとても大切なことです。

しかし、もっと重要なのは作品を読み取るために深く入り込み、作品と一人で向かい合うことです。作品の再発見のようなものですね。これまで発見されなかったところとか、強く打ち出されてこなかったところを探求していく。僕の目的は、その流れを追って、どこか際立った解釈とか、既に存在するとわかっているのとは異なった解釈を作れるように、音楽を探求することです。」


インスピレーションの話題を深めるため、ラファウ・ブレハッチに、音楽以外からの影響についてきいてみた。

「最近、音楽の哲学がインスピレーションの元になっています。この課題には高校の頃からもう何年も惹かれてきたのですが、以前は明らかな理由があって、当然ながら、コンクールや演奏会といったやるべきことがあって、集中して取り組む時間がとれませんでした。しかし、この3年ほど、トルンのニコラウス・コペルニクス大学の博士課程のゼミに参加して、音楽に関わるようなテーマ、音楽の哲学にフォーカスをあてています。

具体的には、音楽作品のアイデンティティに関するロマン・インガルデンの書籍や、演奏への近位感覚についてのゾフィア・リッサの文献が、インスピレーションの元になっています。インガルデンによる芸術的経験についてのテキストは、僕の人生にとってとても重要な役割を果たしています。これによって、新しい視野が開かれ、、ピアノ芸術や、聴衆を前にしての演奏がどうあるべきか、を考える際にも、少し違ったやり方で、より大きな認識と理解と、より大きな理論的・知的背景をもって見られるようになりました。そうした全てのことが、あとになって、演奏そのものにある意味反映されていくのです。 (...)」
(Unquote)

*****
ある日本のファンの方が、このインタビューを読みたいということで、Muzyka21を購入されたそうですが、3ページにわたって文字がびっしりだったそうです。このオンラインバージョンでは始めの3分の1程度がアップされています。この時期、本誌以外にも山のようにインタビューにこたえていたアーチストの寛容さに、頭が下がります。日本での演奏会について、招聘元からの依頼で、日本では後半は全部ショパンの曲にあてることになるだろう、ということも述べているそうです。


*****
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2012年10月1日月曜日

彩の国さいたま芸術劇場

おとといから発売になった、2月2日のさいたま芸術劇場のチケットの売れ行きがとても早いときいたので、ちょっとサイトをのぞいたところ、あと80席弱しか残席がないような。(見間違えてなければ)。ほんとに早いですね。
迷っている方は、はやめに決められた方がいいようです。→

2012年9月29日土曜日

新シーズンの幕開け

9月28日、ラファウ・ブレハッチはマインツのフランクフルターホフリサイタルを開き、新シーズンの演奏活動を開始しました。バッハ、ベートーベン、ドビュッシー、シマノフスキのプログラム。

「今晩ラファウは、マインツのフランクフルターホフで新シーズンを開始した。素晴らしいリサイタルだった。聴衆からとても温かく受け入れられ、最後には爆発的で熱烈な喝采と叫び声が起きた。ラファウはアンコールを2曲演奏した。」
(R.F.)

*****
さて、リサイタルの翌日9月29日は(日本ではもう今日!)、ポーランドでは大天使ラファエル、ラファウの守護聖人のお祝いの日、いわゆる名前の日です。

Alles Gute zum Namenstag!! = All the Best on Name Day! = 名前の日、おめでとうございます。
(ドイツの演奏会なのでドイツ語 :D)


clickで封筒が開きます。


2012年9月26日水曜日

CD ドビュッシー・シマノフスキ、ようやくアメリカで9月25日発売

米国の公共放送NPRのウェブサイトに公開されたCDレビュー
フーガの音源付き。
by Tom Huizenga

Another solid album from Polish pianist Rafał Blechacz shows he's an artist of distinction.

(quote)
2005年のショパンコンクールで全ての賞を独占した時、ポーランド人のラファウ・ブレハッチはまだ20歳だった。彼の優位性が余りにも明らかだったため、審査員は第2位の授与を拒否した。

しかし、ピアノコンクールでは、セレモニーが終わり騒動が落ち着くと、偉大さで語られるような立場になる者は少数で、多くは、比較的無名な位置に転落していく。ヴァン・クライバーン、ラドゥ・ルプー、ウラディーミル・アシュケナージ、彼らは皆大きなコンクールで名誉を手に入れた。しかし、ラルフ・ヴォタペク、シモーネ・ペドローニ、ウラジミール・クライネフもそうだったのだ――有名人とは必ずしもいえまい。

ドビュッシーとカロル・シマノフスキの曲から成る、心を揺さぶるようなアルバムを出したブレハッチは、真に記憶に残るピアニストとなる道を歩んでいるように見える。そして彼はまだ27歳なのだ。

20世紀の最初の10年の間に、ブレハッチと同年代だったポーランド人作曲家シマノフスキは、「前奏曲とフーガ嬰ハ短調」と「ピアノソナタ第1番ハ短調作品8」を書いた。

3声から成るフーガ(試聴)

このソナタ、素晴らしい25分の作品は、私にとっては目をみはるような発見であり、もっと知られるべき作品だと思う。ブレハッチが恍惚とさせるほどの正確さで打鍵する大胆な始まりのアレグロは、ショパンのロ短調ソナタの始まりを彷彿とさせる。続くアダージョは抑えた感情を美しく込め、荒々しい中間部へと受け継がれる。軽やかで古典的風合いのメヌエットは、壮大な最終章への意外なバッファとして働き、最終章では予感的な導入にヴィルトゥオーソ的3声のフーガが間髪を入れず続く。

ブレハッチはこれら全てを、確信と奔放さを神秘的に組み合わせて演奏する。これまでのショパンの録音でそうだったように、音楽は自然に湧き出し、わざとらしさが少しもない手際のよい演奏だ。

後半のシマノフスキの作品と同様、アルバムの前半におさめられたドビュッシーの3作品は20世紀初頭に書かれた。明瞭で流暢なアーティキュレーションで、ブレハッチは「ピアノのために」に織り込まれた全音の和声を過大に演奏することはない。ブレハッチはまれな気迫で「前奏曲」に飛びかかり、「サラバンド」はこれとは対照的に薄い覆いがかけられている。作曲されたのはわずか2年後だが、「版画」は全く別の世界に存在する。ここにエキゾチックなドビュッシーがいる。「塔」ではインドネシアのガムランの趣を、「グラナダの夕べ」では煙とカスタネットの気配添えて。この演奏はペダルを使いすぎたり過度に香料を放つドビュッシーではなく、まことに清々しい。力みのない、示唆にとむ演奏だ。「喜びの島」は好奇心に満ちたトリルで始まり、花火の閃光で終わる。

この20世紀初頭のピアノ作品を賢くプログラムし、才気あふれる演奏をすることで、ブレハッチは再び、ワルシャワでの賞の独占にふさわしい音楽家であることを証明した。
(unquote)

********
ラファウ・ブレハッチのアメリカ公演を前に、ようやくCD「ドビュッシー・シマノフスキ」がリリースされました。ファンの方は、すでに欧州や日本から入手されているようですが。これはアメリカで書かれた、初めてのきちんとしたレビューで、多くのラジオ曲やメデイアで引用されています。これまでのCDもアメリカ公演に合わせての発売で、他市場より遅れることが多かったです。


過去記事アーカイブ

19歳のラファウ・ブレハッチがモーツァルトの協奏曲23番を弾いた時(指揮イェジー・マクシミウク、演奏シンフォニア・ヴァルソヴィア、2005年4月)、マエストロが言いました。「この2楽章は人間には書けない。神が書いたのだ。神がモーツァルトの手を使って。」

「僕は叙情的な第2楽章を弾いたとき、本当にそうだと感じました。」(ラファウ・ブレハッチ)。

彼がハノンを弾いた例のビデオの18分位のところで、モーツァルト23番の第1楽章のさわりを少しだけ聴くことができます。

・・・というようなことを、最近時々ツィートしています。

2012年9月25日火曜日

青山音楽記念館

京都の青山音楽記念館(バロックザール)は音響が素晴らしい、といろんな方が述べておられるのを目にします。少しググってみたら、音響の専門家の方が書かれた文章がありました。

「永田音響設計」のウェブサイトより

(引用)
バロックザール(青山音楽記念館)

・・・200席の小ホールとは聞いていたが、ロビーから入ったところが最後列、後ろにもう少し客席が欲しくなる。しかし、ステージをみている限り天井も高く、中ホールを思わせるコンサート空間である。音響的な仕掛けとしては、壁が僅か内側に傾斜していることと、残響調整用のカーテンが慎ましくおさめられているくらいで、ごたごたした細工がないのが心地よかった。気になったのは天井の換気口である。  私は上手の最後列に近い席をとった。歌とピアノという、どちらかといえば明瞭さが求められるプログラムであったが、感心したのはその響きとクリアーさのバランスの良さであった。音の輪郭も明確であり、しかも刺激的でなく、低音域から高音域にかけてのバランスのとれた明るい響きであった。



 最近、各地に小ホールが誕生しているが、小ホールでは大ホールで苦心する初期反射音の確保の問題はない。しかし、客席の大部分が音源に近い領域に位置するという別の課題がある。また、楽器の種類も編成の規模も、したがって、音量や音色の範囲も広く、響きの設計の焦点をどこにおくべきかは大きな課題である。最近では古楽器から邦楽まで登場してきた。小ホールの音響設計では大ホールとは違ったアプローチが必要なのである。  小ホールの設計ではとくに音場の拡散が気になってくるが、拡散と音響効果との関係は実のところ明らかではない。このバロックザールの拡散対策は5°という僅かな壁の傾斜と天井のゆるやかな曲面くらいでしかない。しかし、刺激的な響きはまったくなかった。私の席が最後部に近い位置であったこと、また、今回は弦楽器の音を確認できなかったことなど、一回のコンサートで断定はできないとしても、このホールの響きのバランスは見事である。それに演奏もこのホールの響きを心得たものであったように思う。

 後日談になるが、ほぼ、同じ時期にこのホールで行われたワイセンベルグのピアノリサイタルの印象をあるプロジエクト仲間から聞いたが、わんわんでディテールがまったく分からなかったとのこと、当然だと思う。実はサントリーホールでもザ・シンフォニーホールでも今回のこの巨匠の演奏は同じ印象であったから、あの弾き方ではこのホールには合わないことは確実である。音量に対して許容の間口が狭いことは響きの豊かな小ホールの宿命であり、この点は演奏者に考慮して頂きたい事項である。ともかく、この小ホールはいろいろな点を示唆してくれるホールであった。
(以上引用)


**小さなホールは音源に近いから、大ホールよりディテイルを聴けるのだ、と単純に思っていましたが、専門的にはいろいろな観点があるのですね。また、ホールだけでなく弾き方も影響する、というところもなるほど、でした。ラファウ・ブレハッチひとりをとっても、私は30回ほど大小様々なホールで聴いているのですが、過去、このホールは音響がよい、よくない、と結論づけていたことも、実はいろいろな要因が重なっていたのだな、と思いました。



2012年9月17日月曜日

Non plus ultra! (至高のアルバム!) ~CDレビュー(ポーランド)

English

ラファウ・ブレハッチのCD「ドビュッシー・シマノフスキ」のレビュー、ウカシュ・カチマレク氏が書き、 Muzyka 21に、2月に掲載されました。
ドイツやイギリスでのレビューがドビュッシーの曲に焦点を当てがちなのに対し、ポーランド発のレビューはやはりシマノフスキ中心のものもあります。私にとっては、最も参考になるレビューのひとつでしたが、2-4月にかけて、このアルバムのレビューの数がなにしろ多くて、日本語にまで全く手が回らなかったのです。

Original review (かなり下の方になります)。

 (Quote)

ラファウ・ブレハッチの最新アルバム

ラファウ・ブレハッチの最新アルバムは、クロード・ドビュッシーとカロル・シマノフスキの音楽、印象主義と表現主義を組み合わせている。同時期に作曲された作品だが、2つの全く異なった世界を示している。この大きな対比を示すことが、アーチストの主な目的だ。

このCDに入っている作品の中には、ブレハッチが長年にわたってレパートリーとして演奏してきたものもある。両作曲家ともに、あまり演奏機会のない作品だ。ドビュッシーの「ピアノのために」「版画」「喜びの島」は、ギーゼキングやリヒターをはじめ、比較的多くの録音が存在するが、カロル・シマノフスキの前奏曲とフーガ嬰ハ短調と、ト短調ソナタ作品8は、イェジー・ゴジシェフスキによるポーランド・ラジオの録音を除いて、一般的に他国のレコード業界では入手できない。ラファウ・ブレハッチの手によって、この初期の素晴らしい作品が、幅広い音楽愛好家の元に届くのだから、彼にはより大きな賛辞を贈りたい。

今、私は、自らの責任において、意見を表明したいと思う:カロル・シマノフスキのピアノ・ソナタは傑作だ!この古典的なソナタの構造の第1楽章アレグロにおいて、当時の表現主義のエッセンスを構成することが可能だ。極めて動揺した、多種多様な、しばしば合矛盾する感情が積み重なっている。この危険な作品は、弾き手にも聴き手にも息つく間を与えない。この楽章の展開でのセンセーションを通じて(多くのダイナミクスの変化があり)、常に集中し注目する必要がある。そしてブレハッチの演奏によって、この作品はなんとワイルドになることか!第2楽章ロンド形式で、中間部にとてもドラマチックなパラグラフがある。美しいメロディラインを保つことで、ブレハッチはここにショパンの系譜を巧みに示している。第3楽章(テンポ・ディ・メヌエット)は一転して抗えない魅力にあふれている。ブレハッチの弾き方はは心の琴線に触れるようだ。

ソナタの第4楽章は最後の盛り上がりを示すフーガだ。3声の力強い、スケールの大きなフーガで、2つのテーマから成る。ここにおいて、和声の熟達した技能が示される。皆様方に特に注目いただきたい瞬間がある。612小節。無謀なスピードのオクターブが続いた後の、これは啓示のように響く。

フーガ全体が、若いシマノフスキによる感動的で才気あふれる最終楽章となっている。この傑作が、ラファウ・ブレハッチの卓越した演奏によってさらに強調されている。第4楽章では、アーチストは本物のヴィルトゥオーソ性を見せただけでなく、優れた空間的、ポリフォニックと構造への思考を示している。ここに、全ての要素が完璧にバランスをとっている。


非常に感動的な612小節
このアルバムには、シマノフスキの曲がもうひとつ入っている。「前奏曲とフーガ嬰ハ短調」だ。「前奏曲」では、協奏交響曲(交響曲第4番)の要素が明確にきこえる。真の意味での表現主義音楽であり、揺れ動き、ダイナミクスの強い対比がある。ピアニシモで始まり、フォルテシモは突然終わる。

「フーガ」では、シマノフスキは素晴らしい魅力と繊細さというテーマに専心し、非常に優れた対位法を付加している。これもダイナミクスという意味では強い対比を出しているが(pppからfffまで)、表現としてはずっと穏やかだ。作品全体が複雑な感情の起伏を見せるが、ラファウ・ブレハッチによって、様式上の規律を失うことなく正確に捉えられている。とりわけ興味深いと思われるのは、作曲家が楽譜に書き残した原則的な内容を、このアーチストは完璧に認識し、その範囲外へ行ったりしないことだ。では、ブレハッチの場合、彼の聡明な読譜は何を意味するのか?

まず、ブレハッチは分析をしない。つまり作品から主要な要素を分け剥がすことをしない。彼は聴き手と共に学ぶようなことはせず、彼が聴き手に語りかけ、伝える。きっちりと設計し熟考したやり方で作品を演奏するタイプのアーチストだ。このことは、この聴き手があまり知らない2つの曲にも、またクロード・ドビュッシーの曲にもあてはまる。

ここで、ブレハッチの音色はガラスプレート上の水のように純粋だが、実験室でこのような音は決して作れない。彼の演奏は極めてピアニスティック。伝統から逸脱することは決してない。ドビュッシーの作品を演奏する際の重要な伝統からも、そして、つまるところショパンやロマン派に由来する、ドビュッシー音楽の伝統からも。

「ピアノのために」では、ブレハッチの音は澄み渡り、明瞭だが温かい。彼の解釈は幾分控えめでとても温和、深い感性に裏打ちされている。ラファウ・ブレハッチは、自分の指から来る全ての音を聴いている。。「喜びの島」の解釈でも同じことが言える。「版画」の演奏は、さらに感慨深い。「塔」のペースは完璧にバランスがとれ、ちょうど5分。(ギーゼキングは濃縮した4分10秒、分析的なリヒターは6分10秒)。そして、なんて美しいソフトなトリルなんだろう!「グラナダの夕べ」で、アーチストは巧みにハバネラのリズムを強調し、これがとてもシャープになることもある(7小節からの左手)。
一方、「雨の庭」は、ブレハッチの指によって、雨は激しく打つ。十六分音符は短く弾かれ、この作品は厳密だがポリフォニックに響く。とても興味深いコンセプトと示唆に富む解釈だ。

Non plus ultra! (これ以上は不可、頂点の意味)


(Unquote)

*****
来年の来日公演で、(現在発表されている曲目を前提として)、バッハもシマノフスキも聴きたいと、2ヶ所へ行こうと考えている方も多いようです。シマノフスキが(今のところ)予定されている3つの会場のうち、さいたま芸術劇場は、席数が604と比較的小規模で、この曲を聴くには一番迫力があるかもしれませんね。ラファウ・ブレハッチは小さな会場でもあまり音量を落とさない方ではないかと思いますし、音が平準化される傾向のある大ホールより、1音もらさずきける(ような気がします。)




2012年9月14日金曜日

ラファウ・ブレハッチのメッセージ(さいたま芸術劇場のフライヤー)

彩の国さいたま芸術劇場・音楽ホールでのリサイタル(2月2日)のフライヤーに、ラファウ・ブレハッチのメッセージが載っています。(画像をクリックすると、表・裏をトグルします。)


「今回で3度目の公演となりますが、彩の国さいたま芸術劇場で演奏できることを私はいつもとても幸せに思います。初めての公演は2004年7月、ドビュシー、リスト、ショパンの作品を演奏したのを覚えています。2度目は2007年6月に、ショパンの前奏曲を初めてレコーディングする頃でした。このリサイタルでは、<前奏曲>作品28を全曲演奏しました。そして2013年2月に再び皆さんの元へ戻れることを、嬉しく思います。ラファウ・ブレハッチ」










**2004年については、月刊ショパン(2004年10月号)に、いずみホールでの演奏会のレビューがありました。「それにしても冷静な演奏。・・当事者として音楽に没入するのではなく、・・出てくる音の効果を確認・観察しているように見える。リスト:リゴレット・パラフレーズが盛り上がりつつ下品にならないのは、この距離感のおかげだろう。」


**少女漫画家の長江朋美さんが描いた、「ラフな格好でピアノを弾くブレハッチさん」の絵です。
長江さんの作品「君のために弾くショパン」では、主人公の和音(カズネ)が弾くピアノの音がとても美しい、というところから物語が展開するのですが、その音色を、ラファウ・ブレハッチの音からイメージしたそうです。2月の演奏会には、ご自宅のある北海道から通うとのこと。なんと、ポーランドのあるラファウファンが、長江さんのこの作品のファンであることが最近わかりました。It's a small world. 音楽と文化のチカラは海をも越える。

2012年9月7日金曜日

カタジーナ・ボボヴァ=ズィドロン先生とのインタビュー(ポーランド、2005年11月)

English

ラファウ・ブレハッチの来日公演は5ヶ月も先ですが、音楽ファンの方の、期待感あふれるさまざまな声をきくようになってきました。大阪のチケットを予約するのに数時間電話をし続けたというファンの方々もいらっしゃるようで、アーチストに伝えたいです、この熱意。

さて、今回は、フェリクス・ノヴォヴィエイスキ音楽大学のカタジーナ・ボボヴァ=ズィドロン教授(ラファウ・ブレハッチに、15歳~22歳まで教えた)へのインタビュー記事。2005年11月19日、Gazeta Wyborcza紙に掲載されました。
ポーランドのファンの方が英訳してくださって、2009年の始めに英語ブログに出したものです。
全編に、ラファウの才能への、尊敬と愛が流れています。

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ブレハッチにくしゃみをするな。

ラファウはいつも、お父さんと一緒に来ました。小柄で、細い子でした。
今は随分変わりましたね。立派な若者になりました。

おかしいんですけど、最初の何ヶ月かは、私は彼の演奏に感心しませんでした。
いかにも、セカンダリースクールの優等生君の演奏、という感じでした。

それが、突然に!

私達は長時間にわたって、ノクターンに取り組んでいました。ラファウがコンクールで弾いた、あの曲です。
私はかなり熱中して、もう毎秒ごとに、何度も何度も止めました
「いいえ、私、絶対にあきらめない。」と思っていました。

何度も何度も、繰り返して、その音符が何を意味していて、音符の間には何があるのか、彼に言っていました。
ふと気づいて時計を見たら、もう2時間も過ぎている。でもノクターンは半分しか進んでいない。

急に心配になりました。
「お父さんが待ってらっしゃるわ。あなたを連れて帰らなきゃいけないから。あなたも疲れたでしょう?」
彼は私を見ました。驚いたように、
「いいえ、疲れていません。」

彼はピアノを弾くのが好きなのです。私達はレッスンを続けました。

1週間後、さあ、今はどんなふうに弾けるの、とききました。
でも、まだだめでした。

しかし、さらに2週間後、彼の演奏に、私は座り込んでしまいました。ほとんど、泣きそうになりました。
わずか2週間のうちに、 ラファウは私の指摘したことを全部消化し、自分の感情も組み入れて、 信じられないような演奏をしたのです。 神の御業のようでした。

(注:ラファウが学んだ頃の学校制度
   1 エレメンタリースクール 初等教育 7-15歳 
   2 セカンダリースクール 中等教育 15-19歳
   3 高等教育 およそ5年、終了すると、修士号が与えられる。カタジーナ・ボボヴァ=ズィドロン教授は、ラファウが15歳の時から教え始めた。)


私は、ショパンコンクールの前に、重要な事柄のリストを作りました。
ホテルには滞在しない、ジャーナリストと話さず、名声もインタビューもなし。
集中して、健康に注意。
ラファウも周囲の人も、風邪やインフルエンザにかからないこと。
近くの人がくしゃみをしたら、その場を離れること。

私のコンクールの時(注:1975年のショパンコンクールで10位)は、母が温暖なブルガリアからやってきて風邪をひき、私もうつりました。

ラファウがそう望めば、きっとコンクールでは優勝できるだろうと思っていました。でも、彼はそんなことは考えていませんでした。
どんな風に彼に伝えようか、考えました。優勝しようという決意が必要なのだと。

コンクールの第一次審査の時に、彼は優勝できる、と言おうと決めました。
そして言いました。
「あなたがそう決意すれば、このコンクールで優勝できるわ。」

彼は少し驚きました。私の言葉が意外だったようです。
多分、彼は、そういう考えを恐れていたのだと思います。意識して考えないようにしていたのではないでしょうか。
彼は私の言葉を、お父さんに伝えました。
「先生が、僕は優勝できるって言うんだ。」

私は常々、言っていました。
「勝利しようって思わないで。そういう考えはよくない。だって、それは他の人が負けるように祈ることでしょ。
他の人に対抗して演奏するんじゃない。自分の中から出てくる演奏に、全身全霊をかけなさい。
あなたがコンクールの入賞者であっても、子供たちのために演奏会を開くのであっても、違いはない。ショパンを差別して弾いてはいけない。」

(インタビュアー:なぜですか。ショパンが見ているからですか?)

そうです。ショパンは見ています。特にラファウを見ています。彼にほほ笑みかけているのよ。




ラファウは自分のの子のように、精神的な子供のように思います。

ラファウがノクターンを本当に素晴らしく、天界の音楽のように奏でたのを聴いて、私は彼に言いました。
「私から言うことは何もないわ。もしこういうことが何度も起きるようだったら、あなたは新しい先生を探した方がいいと思う。」

私は怖かったのです。こんなに才能ある子を教えるというのは、大変な責任だからです。
彼の中にあるものを自然に育てて、私からも何かを与えたいけど、私の感性に従わせるようなことがあってはならない。彼の感性や知性の成長に合ったレパートリーを用意する必要があります。

彼がセカンダリースクールを終えた時、お父さんに、教師を変えてはどうか、と提案しました。よろしければ、一緒に新しい先生を探しましょう、と。
お父さんは、賛成しませんでした。私は何度か、機会を見ては提案しました。とうとう、ラファウのお父さんは言いました。
「今のままが良いのです。私たちは、先生を変えたくありません。あなたに教わりたいのです。」

ラファウと私は、週に1回、一緒に座って練習しました。
(何時間くらいですか?)時間は数えてなかったけど、私が過度に演奏に介入しないように努めました。教育的なものではありません。
私がラファウを愛していることを知ってほしいけど、私は他の生徒たちも愛しています。
これほどの才能を神様から与えられなかったけれども、他の生徒たちも音楽を愛し、熱意を持って音楽に取り組んでいました。

また、彼に優勝してほしいという私の熱意を、彼に押し付けてはならないと思いました。

私の先生は、私に、ショパンコンクールで最高位に入って欲しいと望んでいました。先生の生徒でコンクールに出たのは、私が初めてだったのです。あらゆる努力をはらってくれ、私を圧倒してしまったのです。
その結果:私は自分らしさを出すことができませんでした。

私はラファウに何度も尋ねました。

a) 私に会いたいですか?
b) あるいは、会いたくないですか ?
c) どちらでもかまわないですか?
そして、どの答であっても、気分を害することはないから、と言いました。

ラファウの答は、
d) 考えてみます。

One, two kicks
ショパンコンクールの半年前、私はヤシンスキ教授(審査委員長)に会い、助けを求めました。
教授のご経験をいかしたかったのです。
ラファウはその場にいませんでした。

ヤシンスキ先生は、あなたはラファウとうまくやっていくだろうし、自分は特に手伝わない、といいました。私は、たくさん問題を抱えたまま捨てられた人のように感じ、氷のリンクに1人で立たされた気分になりました。
多分私は、責任を誰かと分担したかったのでしょう。
もしラファウが持てる才能をフルに発揮できなかったとしたら、私は罪悪感を感じることになるでしょう。やるべきことで見落としはなかったのか、あるいは過度にやりすぎたことはなかったのか。
私はそういった責任を、ヤシンスキ先生と分かち合いたかったのです。

しかし、先生は、どう対応するべきか、すべてご存知でした。
複数の教師が手伝おうとすると、ラファウのためにならないでしょう。
異なった解釈が混ざり合った大きなものが、彼の頭を占領してしまう。
それに、私も、自分の持っているものは全部彼に与えたつもりです。それによって、彼の独自性がつくられたとも思います。

(彼がステージに出て行くとき、何を話しましたか?)
私のひざで、彼のおしりをキックしました。
1回目は1次予選の前に、2回目は2次予選の前に。

本選の直前、彼の楽屋に行くと、彼は回れ右をしてキックを待っていました。
でも私は彼を振り向かせて、とても真剣に言いました。

「美しく弾きなさい。」
「はい。」とラファウは答えました。
「あなたの魔法をかけなさい。」
「はい。」

本選の後、私は自分に問いかけました。
「まあ、カシゥ、この道をどうやって前に進むのか、わかったところで、また別の知らない道が目の前に現れたわ。」

その後、ラファウのお母さんと私は入賞者演奏会を聴きました。廊下の端のところで、2人とも泣いていました。他には誰もいませんでした。
ラファウのお母さんは泣いていました。私も泣いていました。

(注:おしりをひざでキックするのは、幸運を祈る意味があり、ポーランドの若者がよく行うそうです。)


月刊ショパン2005年12月の特別号からお借りしました。

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