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2011年7月9日土曜日

ビドゴシチの市民の質問に答える、ラファウ・ブレハッチ(インタビュー)


ラファウ・ブレハッチが6・30にビドゴシチの音楽アカデミーを訪問した際のQ&Aのサマリー記事です。そのまま引用します。


(引用)
ブレハッチ:飛行機の旅は大変
Written by Joanna Lach

彼はガソリンスタンドで食事をし、運転しながら音楽を愉しむのが好き。2013年が待ちきれない理由とは?

6年前のショパンコンクールの勝者ラファウ・ブレハッチが、26歳の誕生日の6月30日、ビドゴシチの音楽アカデミーで1時間余り、集まった音楽ファンの質問に答えた。以下、彼の発言の抜粋。

マリア・ムラフスカ学長が花束で歓迎
(from bydgoszcz gazeta.pl)

コンクール後の6年間を、どのように過ごしましたか?

- 1年目が最も重要で、大変でした。自分のスケジュールを自由に決められなかったからです。常に新しい演奏会のリクエストが入ってきて、全部弾かなければならないような気がしていました。


断るべきなのでしょうか。

- 選ぶべきなのです。当時余りに多くのオファーがあったため、率直に言って、それらを全部は受けないように、アドバイスすると思います。それがわかったのは、(2006年に)まず1月に日本で演奏し、2月にヨーロッパに戻ってツアー、3月にはアメリカへ演奏のため飛ばなければならなかった時です(原文通り。)また、リサイタルや演奏会のプログラムを、かなり前もって連絡しなければならないのも大変でした。今はコンサートスケジュールも違う形で計画できますし、数年前から計画する、ということも分かっています。

最新アルバムを、イェジー・セムコフと共演して録音なさいました。演奏の解釈について、論争になることはありましたか。

- ありません。録音の6ヵ月ほど前から、彼と何度かミーティングをしました。ピアノを使ってです。コンチェルトの共通の解釈について、詳細まで話し合いました。マエストロは理想的な伴奏者になるだろうと予想していましたが、間違いではありませんでした。アムステルダムのコンセルトヘボウ管弦楽団との録音も、共通の音楽作りに通じるような雰囲気の中で行われました。私はショパンの2つのコンチェルトを演奏し、それぞれ数十分の長さがありましたので、心の安定が是非とも必要でした。結局、イェジー・セムコフは、完全に自由な演奏の機会を私に与えてくれ、このことは、ショパン音楽を演奏するソリストにとって特に重要だったと言えます。


(from bydgoszcz gazeta.pl)
数日前、コペンハーゲンで、カロル・シマノフスキーの作品を演奏なさいました。聴衆の反応はいかがでしたか?

- 聴衆は気に入ってくれました。特に、日本から見えた私のファンクラブのメンバーは、世界中で私のリサイタルを追ってくれますが、喜んでくれました。スタンディング・オベーションが起きました。私はシマノフスキーの音楽と一緒にいる時、とても気持ちよく感じます。そこで、コペンハーゲンではソナタ第1番を演奏しましたし、今後、もう少し彼の作品の演奏頻度を増やそうと考えています。



あなたの演奏会では、ドビュッシーの曲もよく聴くことができます。

- このレパートリーは、新しいアルバムに関係しています。新アルバムには、この2人の作曲家の作品が入る予定です。アルバムの準備は整い、すでに、ドイツ・グラモフォンのレーベルで録音を終了しています。来年の2月に発売の予定です。


 レパートリーを選ぶ時、誰に相談しますか。

- ショパンコンクールの結果によって、私は傑出した演奏家と会う機会を得ました。彼らと話すことで、非常に大きな影響を受けています。クリスティアン・ツィメルマンは、私にとって、本当に大切な人物です。私たちはよく電話で話しますが、彼はいつも親身になってアドバイスをくれ、支えてくれます。お互いのツアーの合間に会ったこともあります。また、マウリツィオ・ポリーニにもお会いしましたし、イタリアのピアニスト、マリア・ティーポにも、お目にかかりました。ティーポと会った時、私は、バッハやドビュッシーの作品を集中して演奏しました。彼らとの対話から、大きな感化を受けました。キャリアの最初の段階に立つアーチストにとって、こうした支援を時として得られるのは、とても価値あることだと思っています。 


やはり、アーチストは普段、孤独の中にあるからでしょうか。

- おそらく、孤独は音楽家の人生に織り込まれています。新しいレパートリーを準備している時、私は一人きりで、楽器と、作曲家と、作曲家の思いと一緒にすごします。他のアーチストの助言同様、これは、解釈を形成する上で、どうしても必要なことです。孤独については、ツアーの間に埋め合わせができますよ。大勢の面白い人たちに出会えますから。


(from polskalokalna.pl)
旅をする時、飛行機と車と、どちらがお好きですか。

飛行機の旅は、面倒なものです。荷物がなくなることも、何度かありました。騒音や、空港の人ごみも好きではありません。運転をしていると、もっと自立した気分になります。実際、運転がとても好きなんですね。道中、大抵は音楽を聴くか、自分でCDに焼いた哲学の講演を聞くこともあります。自分を制約するものは何もなく、いつでも好きな時に休憩できます。例えばガソリンスタンドでは、車だけでなく、自分にも食べさせなければなりません。


訪れた街を散策することはありますか。

- 残念ながら、一か所に2日以上滞在することは稀です。でも、サンフランシスコではちょっと機会がありました。前回の演奏会に来てくれた人たちから、街を案内するという申し出があったのです。こうした機会は注意深く対応することになりますが、とても良い思い出で、よく思い出します。


トルンのニコラウス・コペルニクス大学での哲学の勉強と、忙しいコンサートスケジュールを、どんなふうに調整していますか。 

- 勉強は個人ベースで行なっているので、なんとかやっていけます。


(from bydgoszcz gazeta.pl)
そもそも、どうして、哲学に興味をもったのですか。

- まだ高校生だった頃、国語の先生が各時代の哲学の特徴について教えてくれたことがあり、非常に興味が湧きました。ショパンコンクール後の喧騒が一段落した時、自分の興味を追求していこう、と決めました。自分の、哲学の知識を体系化したかったのです。まず興味をもったのは、音楽の哲学について、でした。バッハをロマン派的に演奏することは可能でしょうか。音楽作品の解釈の限界はどこにあるのでしょう。聴衆の前で演奏することは、哲学的理解からすると、どんな意味があるのでしょう。こうした問題を分析することは、解釈者(演奏家)としての私を深め、豊かにします。また、哲学者である、アンジェイ・ショステク神父・教授、ヴワディスワフ・ストゥルジェフスキ教授、音楽学者・音楽ジャーナリストのアダム・ロズラフといった方々とディスカッションする機会もありました。


勉強や演奏会活動の合間に、前回のショパンコンクールをフォローする時間はありましたか。

- 正直言って、ありませんでした。ちょうど日本ツアーで10回の演奏会で弾かなければならず、忙しかったからです。また、時差があるので、コンクールをいつもフォローすることはできませんでした。でも、もちろん、誰が優勝したかは知っていますよ!情報は入ってきていましたが、各ピアニストの奮闘をじっくり見る時間はありませんでした。



ダニエル・スタブラヴァ
ベルリン・フィル第1コンサートマスター
(from Berlin Philharmonic website)
今、どんなレパートリーを準備していますか。

- 室内楽です。とてもやりたいことの1つだったのですが、今まで機会がありませんでした。今は2013年を楽しみにしています。何といっても、ベルリン・フィルのコンサートマスターである、ダニエル・スタブラヴァと共演を予定しているからです。モーツアルトやシマノフスキーの作品を演奏する予定です。また、来シーズンはリスト年にあたりますので、9月にブリュッセルで、リストのピアノ協奏曲を演奏します。
(引用終わり)






***そういえば、2月のサンフランシスコの演奏会の前日、支援者の方々と楽しそうにオフ時間を過ごす様子を、当時FBで見ることができました。来日中などには見られないような、くつろいだ雰囲気や大きな笑顔が印象的でした。

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