Preludia - Unofficial website for Rafal Blechacz

Blog

2010年12月30日木曜日

Big thanks to Our Pianist for beautiful, soulful music in 2010 Chopin Year

English

今年2010年のラファウ・ブレハッチの演奏会記録です。1月26日のミラノに始まり、12月13日のシュトゥットガルトのリサイタルまで、普段の年よりやや多めの演奏会。かなり前もって現地入りするタイプですので、旅に出ていた日数の方が多かったかもしれませんね。
☆: 演奏会プログラムのウェブサイト
★: 演奏家レビュー(英語のものも混在しています。)

1月26日 ミラノ・ヴェルディ音楽院  
1月27日  トレヴィーゾのテアトロ・コミュナーレ
1月30、31、2月1、2日 ローマ、パルコ・デラ・ムシカのアウディトリウム:聖チェチーリアホール, ショパン協奏曲ヘ短調、ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団、指揮アンドレイ・ボレイコ  
2月22日 ワルシャワのフィルハーモニーホールにて、ショパンバースディウィーク初日、ショパン協奏曲ヘ短調、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団、指揮アントニ・ヴィット
リハーサル風景ビデオ  



「この5年間、国際的なキャリアを見事に賢く築き、同時に芸術家として人格的にも成熟した彼は、どこまでショパンの感情と彼の音楽の神髄を深く理解しうるのかを、まさに私たちに見せてくれた。」(Nasz Dziennik)

2月26日 NYメトロポリタン美術館グレース・レイニー・ロジャース・オーディトリウム  
2月27日 ケネディ・センター・テラス・シアター、ワシントンDC    

「バッハのパルティータ1番BWV825の最初の精妙で流麗な音を聞いただけで、ブレハッチがより深い意味での学生だということは明らかだ。音楽に奉仕する、音楽の深さを探求し、その意味を追求し、その可能性を試そうとする音楽家という意味での探求者だ。 
彼は謙虚さと完全な明瞭さを持って演奏する。彼のアプローチは「使命を果たそうとしている(dutiful)」と言ってもいいだろう。そのため、彼はドライで学術的すぎるとの、誤った印象を持ってしまうかもしれない。」(フィリップ・ケニコット、ワシントン・ポスト) 

3月5日  ノースカロライナ州デューク大学ブライアン・センター・インダストリーズ・シアター
3月6日  ジョージア州アトランタ、クレイトン州立大学スパイビーホール  
3月25日 ジュネーブ、ビクトリアホール 
3月29日 チューリッヒ、トーンハレ(音楽堂)  
4月20日 トルン、ニコラウス・コペルニクス大学講堂 photo1 2 3 4 5

「....もちろん、私の国では、ショパンはとても重要な作曲家ですし、特にコンクールでの優勝以降、ショパンを演奏するということは、とりわけ特別なことになりました。ポーランドのホールでポーランドの聴衆のために演奏できる時はいつも、とても幸福を感じます。」(ラファウ・ブレハッチ、ワシントンDCにて、フレッド・チャイルドのインタビューに答えて。2010年3月)

4月27日 ブリュッセル、パレデボザール 
5月9日  アムステルダム、コンセルトヘボウ   
5月14日 シュベツィンゲン、ロココシアター
5月20日 ウッチにてショパン協奏曲ヘ短調(アルトゥール・ルービンシュタイン・フィルハーモニー管弦楽団、指揮Christian Ehwald) 
5月25日 ポズナンのアダム・ミツキエビッチ大学講堂にて、ショパン協奏曲ヘ短調 (指揮Wojciech Rodek)   photos 1 2 3


「ショパンの音楽には深い苦しみや悲しみだけでなく、希望があります。
今ポーランド人が味わっている、このつらい時期にこそ、必要な希望が。」
(ラファウ・ブレハッチ、ポズナンの演奏会後の発言。)


6月12日 ドルトムント、コンツェルトハウス 
6月14日 サルプレイエル、パリ   
6月16日 ノアン   
6月27日 バード・キッシンゲンGastkonzertにて、ショパン協奏曲ヘ短調、ウィーン交響楽団(指揮:フィリップ・オーギャン)     
7月13日 シエナのロッツィ劇場にて、第27回キジアーナ音楽院国際賞受賞記念リサイタル  受賞
8月5日 シュレスヴィヒのAP メラー・スクールにて、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭のリサイタル 
8月6日 リューベックのコロッセウムホール(同上)  (上から2番目のレビュー)
8月27日 サン・セバスチアンのテアトロ・ビクトリア・エウヘニア  
8月29日 マジョルカ島ヴァルデモッサのカルトゥハの修道院

「今回2人のポーランド人と1人のフランス人の作曲家を選びましたが、私は3人の間の様々な関係を示したいのです。シマノフスキはショパンほど知名度はありませんが、彼の音楽が伝える多様な感情や和声は、非常に面白いのです。一方でドビュッシーのような印象主義的な側面もあります。私は演奏会で、ドビュッシーとシマノフスキとの間にある連続性、またシマノフスキとショパンとの間の連続性を明らかにしたいと考えています。」(ラファウ・ブレハッチ、スペインでのリサイタルについて)

10月3日 大阪ザ・シンフォニーホール、ショパン協奏曲ヘ短調(大阪センチュリー交響楽団、指揮:大友直人)+リサイタル 
10月6日 サントリーホール、ショパン協奏曲ヘ短調(東京交響楽団、指揮:大友直人)+リサイタル     photos1 2

10月9日 愛知芸術劇場 
10月11日 横浜フィリアホール  photo
10月15日 川口リリアホール
10月17日 大阪ザシンフォニーホール
10月19日 東京オペラシティコンサートホール 
10月21日 アクロス福岡シンフォニーホール   
10月23日 横浜みなとみらいホール

11月10日 パリ、シャンゼリゼ劇場、ショパン協奏曲ホ短調(シンフォニア・ヴァルソヴィア、指揮イェジー・セムコフ)  
11月18,21日@ハンブルグ国立歌劇場 Laeiszhalle、ショパン協奏曲ホ短調(北ドイツ放送交響楽団、指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ)
11月19日@キールKieler Schloss(同上)
11月30日 ベルリンフィルハーモニーのチェンバー・ミュージックホール

12月7日 ロンドン、クィーン・エリザベスホール 
12月10日 ウィーン、コンツェルトハウス、ショパン協奏曲ホ短調、(ウィーン放送交響楽団指揮コルネリウス・マイスター) 
12月13日 シュトゥットガルト、Kultur- und Kongresszentrum Liederhalleのベートーベンホール  受賞


「ブレハッチの演奏は、非の打ちどころのないテクニークと若々しい生命力がみなぎっている。それ以上に、創造力がこの若い演奏家には備わっている。彼の均衡のとれたルバートは美しい旋律を自制的な魔法で歌わせ、ショパン音楽を抗えないほど魅力的にする「甘美な深淵」(ハイネ)へと、私たちを沈めるのだ。」
( Lothar Prox教授、審査委員長)



ショパンイヤーの今年、ポーランドは大統領機墜落事故や洪水など悲しい事件が続き、アーチストにとっても大変な1年だったかと思います。
一方で、キジアーナ音楽院国際賞、ドイツレコード批評家賞、Grand Prix du Disque of Frédéric Chopin賞、アルバム・ショパン協奏曲がダブル・プラチナディスク獲得(ポーランド)と、数々の賞を受賞し、実力派として確かな道を歩んだ年でもありました。
来年は幸福な年であるよう、また、ぜひ健康を保っていただきたいと願っております。

こうして年間の活動を見るならば、来日公演を頻繁に行うことは持続可能ではない、ということがわかります。本物の芸術家としての活躍を続けるためにも、後世に優れた録音を残すためにも、欧州の本流でじっくりと頑張っていただきたいですし、印象派や古典派の作品など、ポスト・ショパンイヤーの取り組みをとても楽しみにしております。

2010年、ウェブサイトを読んでくださってありがとうございました。
新しい年が、皆さまにとっても素晴らしい1年となりますように!

******************************************

ショパン・ブレハッチ展@ナクウォ・ナド・ノテチョンから


English

今年の10月から11月にかけて、ラファウ・ブレハッチの生誕地ナクウォ・ナド・ノテチョンのミュージアムでショパン・ブレハッチ展が開かれていました。
同ミュージアムのウェブサイトから、ほぼ全ての展示品を見ることができます。


ミュージアムのウェブサイト
スライドショーで見ることができます。
日本の雑誌や、日本関連の展示物もあります。

このブログの関連記事1


********************************

2010年12月23日木曜日

ラファウ・ブレハッチ――最近のラジオ番組から(ポーランド、イギリス)

English

12月12日(日曜)23時(CET)、Adam Rozlachはポーランドラジオの毎週のショパン音楽の番組で、ラファウ・ブレハッチを特集しました。番組の全時間を、ラファウ・ブレハッチにあて、最近の彼の音楽家としての活躍を紹介し、2005年当時を振り返りました。番組中かけられた曲は、全て第15回ショパンコンクールにおけるブレハッチの演奏でした。Rozlachは、2005年以降、世界の音楽シーンで、ブレハッチ以上のピアニストは出現していない、と繰り返し強調しました。

**Adam Rozłachは、ポーランドラジオの番組 “Najwybitniejsi polscy chopiniści"の中で、最も素晴らしいポーランドのショパン演奏家を紹介しています。イグナツィ・パデレフスキ、ヨゼフ・ホフマン、アレクサンドル・ミハウォフスキ、ラウル・コチャルスキ、時代を下って、ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ、アダム・ハラシェヴィッチ、クリスティアン・ツィメルマン、そして、ラファウ・ブレハッチ。

**「今回は、ラファウ・ブレハッチのためのコンクールだった。」
「コンクールの期間中、ブレハッチのようにショパンを弾いた者はいなかったし、彼ほどショパンに近づいた演奏も皆無だったということを強調したい。まさに歴史的な演奏だった。私たちは偉大なる瞬間を目撃したのだ。このことには1ミリほどの疑いもない。」
(Adam Rozlach, 2005年10月22日付けGazetaより。)

  これは、全くその通りだと感じます。その瞬間、宇宙の全ての善なるエネルギーと精霊がこの音楽家を支持したような、天国への門戸が開かれ全てが許されたような感覚でした。(私はビデオでしか見ていないのですが。)09年に彼のショパン協奏曲のアルバムが出た時、プロの評論家でも、「コンクールの方が生き生きして良かった」的な子供じみたレビューを書く人がいました。でも、気持ちはわかります。
*********************
12月15日、 BBC Radio 3 が、ロンドンのクィーン・エリザベス・ホールでのラファウ・ブレハッチのリサイタル(12月7日)を放送しました。 

番組は、まず、ブレハッチのバッハ音楽に関する所感から始まりました。ブレハッチは、バッハにおけるポリフォニーの重要性と、彼が今回演奏した他の作曲家:シマノフスキー、ドビュッシー、ショパンへの影響について述べました。オルガン音楽から始めた自分にとっては、とても興味のある点だと。また、バッハやドビュッシーを演奏することがさらにショパン音楽の演奏を豊かにする、というブレハッチの発言を、トレローニーは番組中、引用していました。ハミルトンは、バッハの要素がいかに他の作曲家に入っているかを説明しました。ショパンもバッハを弾くよう推奨しており、自らも進んで練習したということと、例えば、ポロネーズ第1番の中間部で、旋律とは別に中間声部が音楽の主流の中に引き寄せられるように現れる様は、バッハに極めて似ている、と述べました。
トレローニーとハミルトンは、ブレハッチの演奏を高く評価、特に、ドビュッシーの「ピアノのために」は、「エキサイティングな演奏!」と評しました。ハミルトンは、ブレハッチのドビュッシーが鮮やかな煌めくエネルギーで満ちており、特にサラバンドについては、「彼の演奏にくぎ付けになった。」と喜んでいました。通常ひどく退屈な演奏になりがちな曲、ということで、バーミンガム大学で教鞭をとるハミルトンは、日頃から学生に、音楽で最大の罪は「退屈」な演奏をすること、これだけは絶対避けるように、と教えているそうです。

ふたりはブレハッチのショパン・ポロネーズ作品26も称賛しました。
ハミルトンによれば、陰鬱でやや凄みのある変ホ短調のポロネーズは、6個のフラットによってシャープさを増し、ショパンの深い感情を表現しています。軍隊ポロネーズなどと違い、あまり演奏されていないことから、「この魅力的だがあまり聴く機会のないポロネーズ作品26を演奏したのは、ブレハッチの大きな功績。」ということです。

「非常に成熟した演奏だった。」とトレローニーは言い、ブレハッチがまだ25歳であることを忘れてはならない、とし、ハミルトンも同意しました。

プログラムの最後に、トレローニーは、ブレハッチの恩師の言葉を引用しました。
ショパン・コンクールを彼の成長のための1つの段階ととらえた、ということ、そして、
「コンクールには全部失敗するかもしれない、でも、一番大切なのは音楽への愛を失わないことです。」と。


(リサイタルのプログラム)

BACH: Partita No.1 in B flat for keyboard, BWV.825
SZYMANOWSKI: Prelude & fugue in C sharp minor
DEBUSSY: Pour le piano
CHOPIN: Ballade No.2 in F, Op.38
3 Waltzes, Op.34
2 Polonaises, Op.26
Scherzo No.1 in B minor, Op.20



*********************

English

アメリカの公共放送NPRは、ラファウ・ブレハッチのアルバム「ショパンピアノ協奏曲」を、2010年のショパン・シューマン・トップ5アルバムの1つにに選びました。
選んだのは、WGUCの番組担当バイス・プレジデントのRobin Gehl。このアルバムがポーランドで、ダブル・プラチナ・ディスクを獲得したこと、ドイツのレコード評論家賞を獲得したことなどを紹介し、「成熟した情感あふれる第1番コンチェルトは、あらゆる称賛を受ける価値がある。」と述べています。

NPRのサイト

*************************
ラファウ・ブレハッチとは直接関係がない話題ですが、英語ブログに、音楽の友誌12月号に載っていた、ツィメルマンの2010年ショパンコンクールに関するインタビューの論点を載せました。特にポーランドの方々からのリクエストが強かったためです。今回の結果に納得できないという感情が強かったようです。しかし、ツィメルマンが言っている通り、「我々はそれぞれ、より積極的に自らの役割を果たすべき。」「聴き手は、自ら演奏会に足を運び、自分の耳でそれぞれの才能に対する評価を行うべき。」ということが実行されていけば、自ずと解が導き出されるのでは、などと思いました。


*************************************



2010年12月14日火曜日

シュトゥットガルトで素晴らしいショパンイヤーの終わりーーラファウ・ブレハッチの2010年

季節のご挨拶デス♪

ラファウ・ブレハッチは12月13日、シュトゥットガルトで今年最後のリサイタルを開きました。演奏後、ドイツレコード批評家賞が授与されました。

「ドイツレコード批評家賞が、シュトゥットガルトのKongreshaus Liederhalleのベートーベンホールにてラファウに授与された。ラファウは受賞をとても喜んだ。何よりも、聴衆が彼の演奏を歓迎し、第一部の後、そして演奏終了後に熱い拍手を贈ってくれたのが嬉しかった。批評家賞が贈られた後、ラファウはアンコールを演奏した。(遺作のノクターン)。また、楽器がとても良く、調整もきっちりとなされ、ホールの音響も素晴らしかったこと、聴き手の反応がとても良く、聴衆と深く共感できたことで、とてもとても嬉しく感じていた。」
(ロマン・フラツコフスキ氏)

********
今年、日本でもたくさんの素晴らしい演奏会を聴かせてくれたラファウ・ブレハッチ。ショパンイヤーも終わろうとしています。
演奏会ごとに、評論家やファンが好き勝手なことを言って、終わりのない課題があって、アーチストは本当に大変!クリスマスまでの期間、ゆっくり静かに過ごしていただきたいですね。

*************************************

2010年12月12日日曜日

ラファウ・ブレハッチ in シュトゥットガルト- - 今年最後のリサイタルと受賞

English

ラファウ・ブレハッチは、12月13日シュトゥットガルトのKultur- und Kongresszentrum Liederhalleのベートーベンホールにて、リサイタルを開きます。今年2010年の、最後のコンサートとなります。

演奏会に際し、ドイツレコード批評家賞が授与される旨、報道されています。


ラファウ・ブレハッチは12月10日、ウィーンのコンツェルトハウスにて、ショパンの協奏曲ホ短調を演奏しました。(演奏:ウィーン放送交響楽団、指揮:コルネリウス・マイスター)
「久しぶりに良いピアノを堪能しました。」と、在ウィーンの知人が言っていました。
ほぼ満席の大ホールの聴衆は、ブレハッチの繊細なテンポ感と躍動感あふれる演奏に大喝采し、拍手が止まらず、ブレハッチはアンコール2曲で返礼しました。

ブレハッチの知名度はオーストリアではまだ高いとは言えないそうですが、こうして演奏の機会があるごとに、彼の美しいピアノが聴く人の心に残っていってほしいと思います。

プログラムブックのブレハッチ部分を入手しましたが、ブレハッチの詳しいバイオが掲載され、DGから3枚の録音が出ていること、デビューアルバムのプレリュードは2008年のECHO賞を受賞したこと、今回のコンツェルトハウスは、2007年のデビューリサイタルに続き2回目であること、などが書かれていました。


*********************************




2010年12月10日金曜日

ラファウ・ブレハッチ in ウイーン

English

12月10日、19時半より、ラファウ・ブレハッチは ウィーンのコンツェルトハウスにて、ショパンのコンチェルトを演奏します。演奏: ウィーン(オーストリア)放送交響楽団、指揮:コルネリウス・マイスター。
ウィーンにおける、ショパンイヤーの締めくくりの演奏会となります。




ラファウ・ブレハッチのロンドン・クィーン・エリザベス・ホールでのリサイタルは大変好評だったそうです。ロンドンのピアニスト/作曲家が書いたブログによると、数多くのポーランド人と、少なからぬ日本人が聴衆にいた、とのこと。私の知っているスペイン人や、知り合いの友達のフィリピン系の方も行っていました。イタリア語を話している人もいたそうで、ロンドンだからなのか、ブレハッチだからなのか。ロシア語のtwitterも見ました。

プログラムブックに掲載されていた、ラファウ・ブレハッチの言葉を入手できました。

「ロンドンのリサイタルのために、私の心に近いと感じられる作曲家の作品を選びました。バッハは最初に魅了された作曲家で、子供の頃教会へ行って、バッハのオルガン音楽を聴くのがとても好きだった、その思い出がこめられています。今日でも、故郷に滞在する際は、教会へ行ってオルガンを弾いています。ミサのために弾くこともあります。初めてピアノコンクールに参加したのは1996年、ゴジュフで開かれた、ポーランド全国バッハコンクールでした。そのプログラムにドビュッシーの作品も入れたのですが、そのことで、演奏にとても重要な音の色彩や陰影に、とても敏感になりました。

2010年のショパン生誕200周年は、ショパンを冠した賞を持つ私にとって、特別な時間となりました。この機会に、ショパンの音楽を世界中に伝えたいと思いました。そこで、ロンドンのリサイタルも、後半は全てショパンの音楽に奉げることにしました。また、シマノフスキの曲も1曲選びました。シマノフスキの音楽はとても素晴らしく、美しいのですが、残念なことに、この国ではあまり知られていません。今回ロンドンで紹介できる機会が持てて、とてもうれしく思っています。」


**英語ブログに、11月30日のベルリンでのリサイタルを鑑賞した、ポーランドのファンの方のエッセイを載せています。10月の来日プログラムと同じ曲目だったので、演奏会に行かれた方は、内容がvisualizeできるのでは、と思います。会場のベルリン・フィルハーモニーの小ホールの写真もあります。大ホールととても似ていて、従ってサントリーホールととても似ている、と思いました。
大変音響がよく、「もしかすると、コンセルトヘボウよりも音響がいいかもしれない」、という感想もききました。


*************************************


2010年12月6日月曜日

ラファウ・ブレハッチ in ロンドン

ラファウ・ブレハッチは、12月7日19時半より、ロンドンのサウスバンク・センター、クィーン・エリザベス・ホールにてリサイタルを開きます。

サウスバンク・センターのプログラム・サイト

Polish Cultural Institute. UKも、リサイタルを紹介しています。


既に2008年の11月、サウスバンク・センターのロイヤルフェスティバルホールにて、ショパンの協奏曲で演奏しています。(ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、指揮:シャルル・デュトワ)
ガーディアンに掲載されたレビュー
レビューを書いたアンドリュー・クレメンツは、ブレハッチが今年受賞した、キジアーナ音楽院国際賞の選考委員の一人です。

ロンドンでは、このほか、2007年と2009年にウィグモア・ホールでリサイタルを弾いています。

今年の演奏会も、ロンドンを入れてあと3回となりました。
今年は、正式の演奏会は全部で44回でした。

**********************************

2010年12月4日土曜日

ラファウ・ブレハッチのベルリンでのリサイタル――レビューなど

ラファウ・ブレハッチは、11月30日、ベルリン・フィルハーモニーのチェンバー・ミュージック・ホールでリサイタルを開きました。ベルリンでのリサイタル・デビューとなります。(協奏曲では2008年にデビュー)。チケットは完売、レベルの高い演奏に聴衆は暖かい拍手を送りました。地理的理由から、ポーランドから見に行かれた方も多かったそうです。

「一人の人格の中に、画家・彫刻家・語り手・演奏家が棲んでいるよう。ラファウは素晴らしく美しく演奏しました。本当に凄いです。毎回良くなっていく。これで完璧という限界はないのでしょうか?
アンコールは2曲、マズルカop.50-2と遺作のノクターンです。ノクターンを弾いた時、会場は絶対的な静寂に包まれました。そして、スタンディング・オベーション。
ポーランド人もたくさん来ていました。私の近くにはピワからきた二人連れがいました。ベルリンまで300キロ位あるんですよ。」(シュチェチンに住む、ダナさん)


以下は、リサイタルの翌日、Morgenpostに掲載された、レビューです。

English

憂鬱さと対極にあるショパン
ラファウ・ブレハッチは神の恩恵。全てのピアノ教師にとっての夢だろう。ブレハッチはスタインウェイの前に、ろうそくのようにまっすぐ座る。永遠の子供のような、はにかんだ笑顔を浮かべて。そして、私たちが忘れかけた、ピアニストの徳――謙虚さ、節度、精神的な深み――で、輝く。

25歳の演奏家の、これがベルリン・フィルハーモニーでのデビュー。チケットは数週間も前に売り切れた。5年前、ショパン・コンクールで静かに優勝して以来、世界は彼を、美しいピアノの哲人として見ている。ブレハッチは年に数回しかリサイタルを開かない。しかし、それぞれのリサイタルにおいて、稲妻のように心を煌めかせる。このベルリンでの演奏もそうだった。

ショパン、ショパン。ブレハッチは常にショパンと伴に歩む。嵐のようなバラードト短調op23の始めに、ピアニストは長い瞑想を捧げた。作品の合間に、白いハンカチを取り出して、自分の手の汗を鍵盤から拭き取る。気品と優雅さと俊敏な運動神経で、きらきらと光るワルツop34の1と3。スケルツォロ短調op20の、厳密に計算しつくされた激情。ブレハッチは鉄のような自己規律を働かせる。次々と新しい音の陰影を聴かせ、私たちを驚嘆させる。一番心にしみたのは――有名なワルツop34-2の、魅力あふれる、高貴なうすぎぬのようなピアニシモ。ブレハッチの弾くショパンには、熱にうかされた神経症のような、憂鬱な攻撃性はない。彼は人生の明るい側面に立つショパンを見せてくれる。

これほど繊細で、創造力溢れる、完ぺきで自由な、宝石のような演奏家はかつていただろうか。いるとすれば、それは最も重要で代表的なショパンの演奏家たち――アルトゥール・ルービンシュタイン、マルタ・アルゲリッチ、グリゴリー・ソコロフ、エフゲニー・キーシンだけだろう。そして、ブレハッチもそうした演奏家であることが、今夜の音で証明された。
(End)

もうひとつ、Isabel Herzfeldの書いたレビューも出ていました。彼女は、ショパンの暗く憂鬱な側面にも目を向けています。

English

(抜粋)
「…憂鬱、厳格さ、甘えのなさは彼独自の解釈で、とりわけマズルカop41のホ短調で痛みが始まる部分で顕著だ。また、暗く神経質なポロネーズop26は、その憂鬱げなメロディの核をすぐさま表した。全ては格調高く簡潔で的を得て、ポリフォニーに満ち溢れている。これは、偉大なるショパン演奏家の精神が、さらに洗練され輝きを増して、生き返ったと言っても過言ではない。」


(全文は英語でご覧ください。)

**************************************