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2010年12月23日木曜日

ラファウ・ブレハッチ――最近のラジオ番組から(ポーランド、イギリス)

English

12月12日(日曜)23時(CET)、Adam Rozlachはポーランドラジオの毎週のショパン音楽の番組で、ラファウ・ブレハッチを特集しました。番組の全時間を、ラファウ・ブレハッチにあて、最近の彼の音楽家としての活躍を紹介し、2005年当時を振り返りました。番組中かけられた曲は、全て第15回ショパンコンクールにおけるブレハッチの演奏でした。Rozlachは、2005年以降、世界の音楽シーンで、ブレハッチ以上のピアニストは出現していない、と繰り返し強調しました。

**Adam Rozłachは、ポーランドラジオの番組 “Najwybitniejsi polscy chopiniści"の中で、最も素晴らしいポーランドのショパン演奏家を紹介しています。イグナツィ・パデレフスキ、ヨゼフ・ホフマン、アレクサンドル・ミハウォフスキ、ラウル・コチャルスキ、時代を下って、ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ、アダム・ハラシェヴィッチ、クリスティアン・ツィメルマン、そして、ラファウ・ブレハッチ。

**「今回は、ラファウ・ブレハッチのためのコンクールだった。」
「コンクールの期間中、ブレハッチのようにショパンを弾いた者はいなかったし、彼ほどショパンに近づいた演奏も皆無だったということを強調したい。まさに歴史的な演奏だった。私たちは偉大なる瞬間を目撃したのだ。このことには1ミリほどの疑いもない。」
(Adam Rozlach, 2005年10月22日付けGazetaより。)

  これは、全くその通りだと感じます。その瞬間、宇宙の全ての善なるエネルギーと精霊がこの音楽家を支持したような、天国への門戸が開かれ全てが許されたような感覚でした。(私はビデオでしか見ていないのですが。)09年に彼のショパン協奏曲のアルバムが出た時、プロの評論家でも、「コンクールの方が生き生きして良かった」的な子供じみたレビューを書く人がいました。でも、気持ちはわかります。
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12月15日、 BBC Radio 3 が、ロンドンのクィーン・エリザベス・ホールでのラファウ・ブレハッチのリサイタル(12月7日)を放送しました。 

番組は、まず、ブレハッチのバッハ音楽に関する所感から始まりました。ブレハッチは、バッハにおけるポリフォニーの重要性と、彼が今回演奏した他の作曲家:シマノフスキー、ドビュッシー、ショパンへの影響について述べました。オルガン音楽から始めた自分にとっては、とても興味のある点だと。また、バッハやドビュッシーを演奏することがさらにショパン音楽の演奏を豊かにする、というブレハッチの発言を、トレローニーは番組中、引用していました。ハミルトンは、バッハの要素がいかに他の作曲家に入っているかを説明しました。ショパンもバッハを弾くよう推奨しており、自らも進んで練習したということと、例えば、ポロネーズ第1番の中間部で、旋律とは別に中間声部が音楽の主流の中に引き寄せられるように現れる様は、バッハに極めて似ている、と述べました。
トレローニーとハミルトンは、ブレハッチの演奏を高く評価、特に、ドビュッシーの「ピアノのために」は、「エキサイティングな演奏!」と評しました。ハミルトンは、ブレハッチのドビュッシーが鮮やかな煌めくエネルギーで満ちており、特にサラバンドについては、「彼の演奏にくぎ付けになった。」と喜んでいました。通常ひどく退屈な演奏になりがちな曲、ということで、バーミンガム大学で教鞭をとるハミルトンは、日頃から学生に、音楽で最大の罪は「退屈」な演奏をすること、これだけは絶対避けるように、と教えているそうです。

ふたりはブレハッチのショパン・ポロネーズ作品26も称賛しました。
ハミルトンによれば、陰鬱でやや凄みのある変ホ短調のポロネーズは、6個のフラットによってシャープさを増し、ショパンの深い感情を表現しています。軍隊ポロネーズなどと違い、あまり演奏されていないことから、「この魅力的だがあまり聴く機会のないポロネーズ作品26を演奏したのは、ブレハッチの大きな功績。」ということです。

「非常に成熟した演奏だった。」とトレローニーは言い、ブレハッチがまだ25歳であることを忘れてはならない、とし、ハミルトンも同意しました。

プログラムの最後に、トレローニーは、ブレハッチの恩師の言葉を引用しました。
ショパン・コンクールを彼の成長のための1つの段階ととらえた、ということ、そして、
「コンクールには全部失敗するかもしれない、でも、一番大切なのは音楽への愛を失わないことです。」と。


(リサイタルのプログラム)

BACH: Partita No.1 in B flat for keyboard, BWV.825
SZYMANOWSKI: Prelude & fugue in C sharp minor
DEBUSSY: Pour le piano
CHOPIN: Ballade No.2 in F, Op.38
3 Waltzes, Op.34
2 Polonaises, Op.26
Scherzo No.1 in B minor, Op.20



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English

アメリカの公共放送NPRは、ラファウ・ブレハッチのアルバム「ショパンピアノ協奏曲」を、2010年のショパン・シューマン・トップ5アルバムの1つにに選びました。
選んだのは、WGUCの番組担当バイス・プレジデントのRobin Gehl。このアルバムがポーランドで、ダブル・プラチナ・ディスクを獲得したこと、ドイツのレコード評論家賞を獲得したことなどを紹介し、「成熟した情感あふれる第1番コンチェルトは、あらゆる称賛を受ける価値がある。」と述べています。

NPRのサイト

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ラファウ・ブレハッチとは直接関係がない話題ですが、英語ブログに、音楽の友誌12月号に載っていた、ツィメルマンの2010年ショパンコンクールに関するインタビューの論点を載せました。特にポーランドの方々からのリクエストが強かったためです。今回の結果に納得できないという感情が強かったようです。しかし、ツィメルマンが言っている通り、「我々はそれぞれ、より積極的に自らの役割を果たすべき。」「聴き手は、自ら演奏会に足を運び、自分の耳でそれぞれの才能に対する評価を行うべき。」ということが実行されていけば、自ずと解が導き出されるのでは、などと思いました。


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