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2010年12月4日土曜日

ラファウ・ブレハッチのベルリンでのリサイタル――レビューなど

ラファウ・ブレハッチは、11月30日、ベルリン・フィルハーモニーのチェンバー・ミュージック・ホールでリサイタルを開きました。ベルリンでのリサイタル・デビューとなります。(協奏曲では2008年にデビュー)。チケットは完売、レベルの高い演奏に聴衆は暖かい拍手を送りました。地理的理由から、ポーランドから見に行かれた方も多かったそうです。

「一人の人格の中に、画家・彫刻家・語り手・演奏家が棲んでいるよう。ラファウは素晴らしく美しく演奏しました。本当に凄いです。毎回良くなっていく。これで完璧という限界はないのでしょうか?
アンコールは2曲、マズルカop.50-2と遺作のノクターンです。ノクターンを弾いた時、会場は絶対的な静寂に包まれました。そして、スタンディング・オベーション。
ポーランド人もたくさん来ていました。私の近くにはピワからきた二人連れがいました。ベルリンまで300キロ位あるんですよ。」(シュチェチンに住む、ダナさん)


以下は、リサイタルの翌日、Morgenpostに掲載された、レビューです。

English

憂鬱さと対極にあるショパン
ラファウ・ブレハッチは神の恩恵。全てのピアノ教師にとっての夢だろう。ブレハッチはスタインウェイの前に、ろうそくのようにまっすぐ座る。永遠の子供のような、はにかんだ笑顔を浮かべて。そして、私たちが忘れかけた、ピアニストの徳――謙虚さ、節度、精神的な深み――で、輝く。

25歳の演奏家の、これがベルリン・フィルハーモニーでのデビュー。チケットは数週間も前に売り切れた。5年前、ショパン・コンクールで静かに優勝して以来、世界は彼を、美しいピアノの哲人として見ている。ブレハッチは年に数回しかリサイタルを開かない。しかし、それぞれのリサイタルにおいて、稲妻のように心を煌めかせる。このベルリンでの演奏もそうだった。

ショパン、ショパン。ブレハッチは常にショパンと伴に歩む。嵐のようなバラードト短調op23の始めに、ピアニストは長い瞑想を捧げた。作品の合間に、白いハンカチを取り出して、自分の手の汗を鍵盤から拭き取る。気品と優雅さと俊敏な運動神経で、きらきらと光るワルツop34の1と3。スケルツォロ短調op20の、厳密に計算しつくされた激情。ブレハッチは鉄のような自己規律を働かせる。次々と新しい音の陰影を聴かせ、私たちを驚嘆させる。一番心にしみたのは――有名なワルツop34-2の、魅力あふれる、高貴なうすぎぬのようなピアニシモ。ブレハッチの弾くショパンには、熱にうかされた神経症のような、憂鬱な攻撃性はない。彼は人生の明るい側面に立つショパンを見せてくれる。

これほど繊細で、創造力溢れる、完ぺきで自由な、宝石のような演奏家はかつていただろうか。いるとすれば、それは最も重要で代表的なショパンの演奏家たち――アルトゥール・ルービンシュタイン、マルタ・アルゲリッチ、グリゴリー・ソコロフ、エフゲニー・キーシンだけだろう。そして、ブレハッチもそうした演奏家であることが、今夜の音で証明された。
(End)

もうひとつ、Isabel Herzfeldの書いたレビューも出ていました。彼女は、ショパンの暗く憂鬱な側面にも目を向けています。

English

(抜粋)
「…憂鬱、厳格さ、甘えのなさは彼独自の解釈で、とりわけマズルカop41のホ短調で痛みが始まる部分で顕著だ。また、暗く神経質なポロネーズop26は、その憂鬱げなメロディの核をすぐさま表した。全ては格調高く簡潔で的を得て、ポリフォニーに満ち溢れている。これは、偉大なるショパン演奏家の精神が、さらに洗練され輝きを増して、生き返ったと言っても過言ではない。」


(全文は英語でご覧ください。)

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