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2010年8月9日月曜日

ブレハッチのインタビュー ”僕のショパン音楽の探究は、11歳のときに始まりました”

English

ラファウ・ブレハッチは2月21日にポーランドラジオのアナ・スクルスカのインタビューを受けました。ショパンバースディウィークの演奏会の前日で、英語のブログではすでに紹介しています。

2月21日のインタビューの概要、ポーランドのダナさんがまとめてくれたものの英訳。(ブレハッチのインタビューもpodcastで聴けます。)

そのインタビューをもとに、アナ・スクルスカがショパンに関するブレハッチの発言をまとめて記事にしたものが、7月27日にonetで公開されました。
カロリーナさん(ポーランドのファンの方)が記事を見つけて、英訳も手伝ってくださいました。

7月27日にonet.plにアップされたインタビュー記事(ポーランド語)


この音楽に誇りを感じる。
”僕のフレデリック・ショパンの音楽の探究は、11歳のときに始まりました。”


ゴジュフのバッハコンクールの際、ショパンの曲も弾かなくてはならず、僕はノクターンロ長調op32-1を演奏しました。美しい旋律や興味深い変調に魅せられました。僕はまだ小さくてペダルに足が届かず、立って演奏しました。

その後参加したいくつかのコンクールは国際コンクールで、ロマン派のレパートリーを広げることになりました。たとえば、2003年の浜松では、スケルツォのロ短調op20や選択したノクターン、マズルカを演奏し、ショパン音楽がもっと近くに感じられるようになりました。徐々にショパンコンクールという考えが芽生え始めました。若いころの僕にとって、ショパンは独特のクリエーターでした。ショパンの音楽を演奏すると誇りを感じました。この音楽に存在する「誇り」と感じられる何かが、僕にははとりわけ伝わってくる感じがしました。ショパンは「僕たちの」作曲家なのだという感覚が、僕はとても好きでした。

.1995年と2000年のショパンコンクールのことははっきりを覚えています。僕の家では祭りのようでした。僕は全ての演奏を見て、僕なりの評価をつけました。このコンクールにすごく参加したくなりました。それが動機づけとなって練習しました。こうした子供の頃の夢が早々に実現するとは思っていませんでしたが、実際、素晴らしい結果を得ることになりました。

なぜ、ショパンの音楽はこんなに偉大なのでしょう?なぜ新しい世代の人びとに影響を与えるのでしょう?答えはたぶん単純です。全ての感情が―喜び、悲しみ、平和、そしてドラマがこめられた音楽なのです。加えて、ショパンは僕たち演奏家に、自分の感情を伝えることを許し、その感情は毎回いつも異なるのです。

そのおかげで、解釈は深く、本物になります。もちろん、僕のショパン音楽の解釈は常に変化しています。これは、僕がいろいろなオーケストラや指揮者と共演することで得た経験も影響しています。指揮者のピアノコンチェルトに関する考え方はそれぞれ異なります。ヴァレリー・ゲルギエフと演奏したときも違ったし、ミハイル・プレトニョフの棒で演奏したときは、彼の独自の楽器編成がおこなわれました。僕のパートが大きく変わったわけではありませんが、より完成された、よりロシア的なオーケストラのサウンドとなり、僕にとっては異なったオーラを放つコンチェルトになりました。


一方、アントニ・ヴィットと演奏するときは、コンクールの感激がよみがえってきて、僕の演奏するショパンは若いエネルギーでいっぱいになります。
イェジー・セムコフの指揮で、ロイヤル・コンセルトヘボウとアムステルダムで2つのコンチェルトを録音したのは面白い体験でした。このカリスマ的なマエストロは威厳があり、それが音楽にも浸透していて、コンチェルトの始まりの導入部分に表れていました。マエストロは他の指揮者よりもショパンコンチェルトをシンフォニックにとらえていましたが、これはショパンのスタイルに沿っていると思います。
こうした背景(伴奏)のおかげで、ロンドはとても明瞭に効果的に演奏することができました。
イェジー・セムコフと演奏して、ずっと夢見てきたサウンドを実現することができました!


2010年2月22日
リハーサル風景@ワルシャワ
 フレデリック・ショパンの作品は、どれも、僕にとってはチャレンジです。この作曲家の音楽はどれも神秘的で、多様な雰囲気をもつ数多くのコンテキストが含まれているといっていいでしょう。つまりは、アーチストの経験を反映した音楽なのです。これを解釈する、というのは、こうした経験を演奏の中で作り出して、それを聴衆に伝える、ということです。


幻想ポロネーズ変イ長調op61への取り組みは、とても貴重な体験となりました。僕はこの作品を、「ショパンの遺言」と呼びたい。全てが含まれているのです。ポロネーズの要素、自己観照、即興的なフラグメント、あらゆる範囲の多様な感情、哀しみ、圧倒的な絶望感、そして偉大なる勝利に至るまで。。


この曲を書いた時、ショパンは何を感じ、考えていたのだろうといつも思います。この作品のフォルムを理解するのは困難です。一見したところ、あるいは最初に聴くときには、これらの多様な要素を結びつけるのは不可能なように思えます。しかし、それは錯覚なのです。この曲を細部までつきつめていくと、1つめの要素が2つ目の結果の原因となっているのがわかる。だから、ほんとうのチャレンジはその構造をきちんと示すことなのです。さらに、このポロネーズの最後の部分は、信じられないくらい素晴らしくて、毎回演奏する度に、深い感動を味わいます。


幻想ポロネーズの最後の部分 「究極の成就」:Ultimate fulfillment




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