Preludia - Unofficial website for Rafal Blechacz

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2009年12月29日火曜日

アルトゥール・ルービンシュタイン国際青少年ピアノ・コンクール(2002年)での、ラファウ・ブレハッチ

Archive from Arthur Rubinstein Competition (Poland)という記事を英語のブログに書きました。その日本語です。
2002年にラファウ・ブレハッチがアルトゥール・ルービンシュタイン国際青少年ピアノ・コンクールで第2位を獲得した際の、審査員のコメントを抜粋したものです。
8年前のラファウ・ブレハッチの演奏に対するコメントですが、すでに巨大な才能を静かに発揮している様子が記述されています。
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konkursmuzyczny.plは、アルトゥール・ルービンシュタイン国際青少年ピアノ・コンクールの情報を提供している。先ごろ、ラファウ・ブレハッチが2002年、同コンクールでで第2位を受賞した際の、ヤン・ポピス氏のコメントを、同サイトのhistoryページで見た。

残念ながら、この記事はサイトから削除されてしまい(historyを始め、サイトは全般的に工事中の様子)、しかし、このポピス氏の発言は残しておこうと思う。


以下、ポピス氏のコメントを含む、上記サイトで見た、関連部分の抜粋。

(本コンクールの歴史を通じ、)疑いようのない成功例は、16歳のラファウ・ブレハッチだ。この稀にみる才能に恵まれた(ビドゴシチの)国立音楽高等学校の生徒は、ポポヴァ・ズイドロン氏に師事。2002年の本コンクールに出場し、第2位を獲得、以後、国際的なアーチストとしてのキャリアを歩むきっかけとなった。ヤン・ポピス氏が当時、この若き俊英を、次のように語っている。


「我々ポーランド人にとって、ラファウ・ブレハッチが今年のコンクールでファイナリストとなり第2位を獲得したことは、望外の喜びだ。アルトゥール・ルービンシュタイン音楽学校のディレクター、エヴァ・ポスピエフ氏が10年前にこのルービンシュタイン国際青少年ピアノ・コンクールを開始した、その努力が見事に結実したといえる。

大変はにかみやで、とても小さくて可愛らしい、しかし極めて才能あふれるラファウが、このコンクールや課題曲、受賞者のことを知り、2002年に出場し、そしてこれほどの高い賞を得た。

彼の才能は本当に特別だ。しかし、舞台に現れるや、爆発的な才能を見せつけて聴衆をひれ伏させるような、目立つタイプの才能ではないと思う。


彼はもっと内省的な、しかしとても自然で高貴な、音楽の本質に深く浸透するようなタイプで、その点では今回のコンクールで右に出る者はいなかった。

また、最近ラファウのピアニズムは確固としたものになってきた。大曲も素晴らしくこなすようになった。

ラファウはロバート・シューマンのソナタト短調を弾き、ショパンのスケルツォロ短調も素晴らしい演奏をした。

多くの参加者がシマノフスキの曲を演奏したが、変奏曲変ロ短調作品3については、ラファウほど美しく、オリジナリティと洞察力にあふれた解釈は、このコンクール期間中聴くことはなかった。

ラファウは極めて多面にわたる才能を持ち、ナチュラルで深みがあり、真の卓越性を備えたピアニストだ。

今後、彼の音楽性は飛躍的な進歩を見せることだろう。しかし現在すでに彼は聴き手を感動させ、審査員が特に高く評価するような、非常に高いレベルの芸術性に達している。」

(ヤン・ポピス、2002)


 "Pure Beauty!"

と評されるブレハッチの演奏だが、この言葉は2005年のショパンコンクールの際、ヤン・ポピス氏がまず用いた。

今回、2005年ショパンコンクールの最終日のGazeta(05年10月22日付け)に掲載されたポピス氏の寄稿文を読み直してみた。ラファウ・ブレハッチについて、私が様々な情報ソースを集めて知りえた基礎的情報、当時のレパートリー等が、すでに網羅的に書かれていたことに気付いた。なので、ブレハッチをきちんと理解したいと思う方は、この文章をもう一度読まれたるのが効率的なのではないか、と思う。

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このサイト www.blechaczinfo.com 独自の著作物を引用なさる場合は、事前に サイト管理人 にご相談くださいますよう、お願い申し上げます。

2009年12月28日月曜日

CDショパン協奏曲プロモーションビデオでの、ラファウ・ブレハッチの発言



このビデオでのラファウ・ブレハッチの発言は、こんな感じです。

「このアルバムで、大切な記念の年を祝福したいと考えました。
よく知られているように、2010年はフレデリック・ショパンのとても大切な生誕記念の年ですので、
僕は何かショパンの曲を献呈したいと考え、2つのピアノ協奏曲を録音しようと決めました。


ショパンの音楽―彼の各作品にこめられているショパンのさまざまな感情や情緒的側面は、
僕の心に、パーソナリティに、とても似ています。
人は生きていく上で、いろいろな感情を体験します。
そうした感情を音楽で表現できることを、僕はいつもとてもうれしく思います。


ショパンは18歳か19歳のときに2つの協奏曲を作曲しました。ショパンにとってはとても喜びに満ちた時期でした。
まだ祖国に暮らし、家族―両親や妹たちに囲まれ、友達も大勢いました。
恋もしていました。それが協奏曲の中で、とりわけ第2楽章で聴こえてきます。
本当に信じられないくらい美しい楽章です。

僕の役割は、ピアニストとしての役割は、ショパンの感情、ショパンの心に自らを同化させて、
彼の感情を新たに再現することなのだと思っています。


協奏曲の第3楽章は特別です。というのは、ポーランドの民族音楽に鼓舞された音楽になっています。
例えばヘ短調協奏曲ではマズルカが、ホ短調協奏曲では、ポーランドの典型的なクラコーヴィアクのリズムが聴こえてきます。
独特のリズムを聴くことができますよ。」

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2009年12月26日土曜日

ラファウ・ブレハッチがパラグライダーでグランド・キャニオンを飛ぶ・・(インタビュー、ドイツ)

ドイツの雑誌KlassikAkzenteに、2008年の始めに掲載されたインタビュー、
時期的には、CDショパン前奏曲がリリースされた直後くらいの頃です。
Preludiaに去年の9月ごろアップしました。
ドイツのファンの方が紹介してくださって、英訳もつくってくださいました。

読んでいただければわかりますが、一風変わったインタビューで、とても面白いです。この雑誌ではいろいろなアーチストに同じ質問でインタビューを行っているそうです。

紹介してくれたドイツの方は、この記事を最初読んだ時、ラファウ・ブレハッチを知らなかったそうです。読んでみて、「若いのに、なんて洗練された、成熟した答え方をするのだろう!」と興味を持ち、Youtubeで彼の演奏を探して、一挙に好きになったのだそうです。

これをPreludiaで読んだポーランドの少なくとも2人が、ラファウが言及していたポーランドの作曲家ロマン・マチエイェフスキのレクイエムのCDを購入したそうです。
「あなたにも、ほしかったら送ってあげる」、と言われたのですが、忙しくて返事しそびれていたのを1年もたって思い出しました(笑)。







KA:KlassikAkzent
RB:Rafal Blechacz


KA:音楽は聖なる芸術ですか。
RB:全くその通りだと思います。
音楽は天界と地上との間に架け橋をかけるものだと、常に確信しています。

KA:自分で選べるとしたら、どの時代に生きたいですか。
RB:僕はヨハン・セバスティアン・バッハのちょうど300年後に生まれました。(注:バッハは1685年生まれ)その機会がいいと思います。

KA:過去の作曲家に、自分のための作曲を依頼できるとしたら、誰にしますか。
RB:疑いなく、バッハです。

KA:音楽以外に冒険できるとしたら、何をしますか。
RB:いつか、バラクライダーでグランド・キャニオンの上空を飛んでみたい。
ちょっとばかげてますか?

KA:理想的な聴衆とは?
RB:演奏中咳をせず、携帯の電源は切り、お菓子の袋を開かず、寝ない聴衆。
つまり音楽をちゃんと聴く聴衆。
でも、これは無理だって知ってますけど。

KA:どの画家だったらモデルになってもいいですか。もう亡くなった画家でもいいです。
(注:どの画家なら、長時間彼のために座ってあげてもいいですか?というのが直訳です。)

RB:最近、アムステルダムでリサイタルのあとヴァン・ゴッホ美術館に行きました。これまで見たことのないような作品をたくさん見て、とても感動しました。ゴッホだったらモデルになってもいいかな。でも、彼が耳を切れって要求しなければですが。


KA:音楽におけるあなたの信条とは?
RB:FLFです!つまり、freedom, love, friendship(自由、愛、友情)。

KA:音楽における出会いでもっともわくわくしたのは?
RB:クリスティアン・ツィメルマンと1週間一緒に音楽する機会があったんです。すごい特権でしょう?一緒にいろいろな作品を演奏して、実験もしてみました。これは本当にありえない体験だったと思います。

KA:この人に出会ってみたい、というのを想像でアレンジしてみてください。
RB:いつか法王ベネディクト16世のために演奏できるなら、とても幸運だと思います。

KA:あなたの考えで、現在過小評価されている作曲家もしくは作品はありますか。
RB:そうですね、概ね過小評価されているのはポーランド人の作曲家、ロマン・マチエイェフスキと、彼のレクイエムだと思います。僕がこれまで聴くことができた音楽作品の中で、最も胸躍る曲のひとつです。

KA:次の4種類の気質のうち、あなたに当てはまるのはどれですか。
楽観的、憂鬱、きむずかしい、鈍重。

RB:ヒッポクラテスの分類に従えば、僕は憂鬱かつ鈍重ということになります。でも、どれが僕に一番近いかを特定するのはむずかしいですね。今日の僕は鈍重かもしれません。たくさんの質問に答えるのが億劫になっていますから。

KA:あなたとスポーツのスタジアムで出会うことはありえますか。
RB:スポーツは見るだけです。なので、スポーツイベントの時僕に会うとしたら、テレビで面白いスポーツ番組を見ているときですよ。

KA:あなたの音叉のそばにある本とベッドサイド・テーブルに置いてある本を教えてください。
RB:仕事のために、作曲家のすべての伝記ですね。彼らの作品をよりよく理解するためです。
自分の楽しみのためには、最近20世紀のポーランド人哲学者の重要な本を何冊か読んでいます。
例えば、タタルキェヴィチとかコタルビンスキです。

KA:あなたの食卓に決してのらない食べ物は?
RB:消化に悪いものや脂っこいものは摂らないようにしています。これまで食べなかったし、今後も決して食べないであろうものはポークナックル(ドイツの肉料理)です。ごめんなさい!

KA:どの曲を弾くと汗をかきますか(弾くのが大変ですか)。
RB:真夏にエアコンが故障したコンサートホールで弾かなければいけない時です。
真面目な話、どの曲を弾くかではなく、どんな風に弾くか、だと思います。
素晴らしく演奏されたラフマニノフのピアノコンチェルト第2番を聞いて、何度も何度も泣いたことがあります。

KA: 演奏に対する評価で、これだけは聞きたくない、というのはありますか。
RB: ああ、ラファウ、素敵!人生で聴いた中で最高の演奏だったわ!

KA:おとぎ話の人物で、自分に似ていると思うのは?
RB: 星の王子様かな?

KA:オスカー・ワイルドは、「誘惑から逃れる唯一の方法、それは誘惑に屈することだ。」と言いました。コメントを。

RB: オスカー・ワイルドの警句は称賛しますし、それが誘惑を克服する一番簡単な方法だと僕も思います。
例えばポーランドでは、禁断の木の実は一層甘いと言われています。
でも、ある程度の誘惑や禁断の部分は触れないままにしておいた方が、人生はより面白く、
人はより創造的に想像力豊かになると思います。


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オスカー・ワイルドの質問への答えなど、酸いも甘いも嚙み分けた人生の達人が話しているかのようですね。
脱帽です。 


ヒッポクラテスの四体液説による人間の4種類の気質:
血液が多い人は楽天的 sanguineous、
粘液が多い人は鈍重 phlegmatic、
黒胆汁が多い人は憂鬱 melancholic、
黄胆汁が多い人は気むずかしい choleric
という気質の分類になるそうです。
ラファウは自分のことを、憂鬱かつ鈍重と言ってます。わかるような、わからないような。。


ラファウ・ブレハッチが哲学の本を読んでいる、と初めて見たのは07年の来日パンフでした。(っていうか、私はその直前に彼のことを知ったので、それ以前のことはあまり知りません。)
Preludiaを書き始めてから彼のインタビューに登場した哲学者をざっと見てみますと、

プラトン・ソクラテスは中学高校時代に勉強済み(らしい)。

「音楽の哲学」としての美学を学んでいます、と頻繁に発言。例えば、
ヴワディスワフ・ストゥルジェフスキ教授 Władysław Stróżewskiの個人教授を長く受けてきた。ラファウの最新CDに解説を書かれた先生。この先生の著書「創造に関する弁証法」(Dialektyka twórczości)を愛読している。

フッサール(1859年-1938年)Husserl, the phenomenologistオーストリア生まれのドイツ人哲学者の現象学
ロマン・インガルデン(1893年-1970年)Roman Witold Ingarden ポーランドの、哲学・現象学・美学者。

axiology 価値学 の本も読んでいる。

今回のインタビューに登場したのは、ともにポーランドの哲学者。
タタルキェヴィチ(1886-1980)Władysław Tatarkiewicz 哲学史、美術史、倫理学
コタルビンスキ (1886-1981)Tadeusz Kotarbiński 「具体主義」ConcretismまたはReism の創始者。

タタルキェヴィチについては、07年の来日パンフでも「最近読みました。」と言及していました。(パンフではタタールキエヴィッツと表記されています。)


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2009年12月14日月曜日

ブレハッチCDショパン協奏曲のライナーノーツの幻の部分

以前、ショパン・コンチェルトのCDのライナーノーツで、まとめの部分のパラグラフ、ラファウ・ブレハッチの人となりが書かれた一番大切な部分が、まるまるカットされてしまったので、カットされた「まぼろしの部分」をアップします。。。と書きながら、
忘れていました。。。

遅ればせながら、アップします。


・・さらに特筆すべきは、ショパンの2つのコンチェルトを演奏した別の機会のことだ。ラファウの異なった顔を示すこの演奏会は、国立フィルハーモニー管弦楽団、アントニ・ヴィットの指揮により、ピアニストの地元ナクウォ・ナド・ノテチョンで開かれた。当地では適当なコンサートホールがないため、演奏会は教会で行われた。このピアニストの、生まれ故郷に対するとびきりの感謝の印であり、小さな町の住民達にとって、類まれなる経験となった。
(たしかここまではCDに入っていますね。)



ナクウォの教区教会にて、2006年9月2日



ラファウ・ブレハッチは世界で最も素晴らしい若手ピアニストの1人である。類まれなる才能に加え、彼の卓越した知性は、演奏する音楽の深部の理解を助け、彼の高い認識力は、解釈する音楽作品の美的・精神的な局面を確実に把握させる。彼はショパンと同質の感受性を具えていると言われ、おそらくそれゆえにブレハッチは、この同国の作曲家の作品を解釈するよう運命付けられているのだろう。さらにショパンを演奏することで、その前後に生きた作曲家への門戸も開かれた。ブレハッチが古典派やロマン派のレパートリーに加え、ドビュッシーやシマノフスキに注力するのも、従って当然の流れなのだ。彼の才能や人格の特徴は、芸術家的側面と形而上学的・宗教的な側面も併せ持った、深い精神性に根ざしている。彼の多岐に渡る関心の対象には哲学も含まれ、音楽的努力はオルガン音楽のレパートリーにも及ぶ。ラファウ・ブレハッチを個人的に知る人々は、彼の魅力と、何よりも、名声を得てもそこなわれることのない彼の謙虚さに心うたれる。

ヴワディスワフ・ストゥルジェフスキ




マエストロ・セムコフと。


原文(英語、ドイツ語、フランス語)
左のINSIGHTSをクリックしてください。

原文(ポーランド語)


日本版のCDを人にあげてしまったので手元になく、CDに入っていた訳との連続性がとれていません。ちょっと堅すぎるかも知れません。。



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