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2009年2月20日金曜日

順風満帆のラファウ・ブレハッチ(2)

さて、19日の横浜みなとみらいでのリサイタル、非常に素晴らしい演奏でした。
観客はおおむねブレハッチのファンで、前日の上野とは様変わりの雰囲気。
一曲目のモーツアルトから、一音一音が美しい響きを持って聞こえました。

2曲目のベートーベンで、はやくもブラボー。たしかにブラボーな出来でした。

ザルツブルク音楽祭での自由奔放な演奏を思い出させるような、繊細だけどダイナミックなピアノ。
本当に思い通りに駒を動かしている感じでした。

シマノフスキーの最終曲を弾き終え、手を大きく上げたあと、手をおろしながら
彼にはめずらしくガッツポーズ。
弾けるように立ち上がったときのうれしそうな表情は忘れられません。

満場の暖かい拍手はとぎれることなく、
オペラシティに続いて、またアンコールを3曲ひいてくれました。
月の光も。

演奏会のごとに進化を見せるブレハッチ。
私は演奏の素晴らしさを表現する単語を使い切ってしまい、たいへん困っています(笑)。

ポーランドのファンによると、12月にベルリンでショパンコンチェルトを弾いたときも、
弾き終えた瞬間、(バンザイするみたいに)大きく両腕を上げ、その勢いで立ち上がってしまったそうです。
(オケがまだ終わっていないのに拍手がおこったと報道されていましたね。)

きっと、心から満足のいく演奏だったのでしょう。ベルリンも、今回の横浜も。

サイン会では、大勢の人が並んでいるのに、ひとりひとりと笑顔で言葉を交わしていました。
きっと、またあらたなラファウファンが生まれたことでしょう。


優秀な会議通訳者で友達のぺこちゃんが、今回初めてブレハッチの演奏会に来てくれました。
7歳のお嬢さんに、美しい音楽を聴かせたいという理由で。
これまでブレハッチのピアノは、私が無理やり聴かせたショパンコンクールの予選の演奏を聴いたことがあるのみです。
動いているラファウは初めてでした。

曰く、
「○○子さん、あなたがどんな感じ方をしているのか、よくわかったわ。
確かにピアノは美しいけど、写真だけじゃ、全然わからなかった。

この人、本物のラファエルなんじゃないの?天使よ、きっと。
私、本当に見えたもの。彼の背中に羽がはえてるの。

普通の人間じゃないのよ。だからこんなピアノの音がでるんだわ。」


*ご両親が、ラファウ(=英語名:ラファエル、三大天使のひとり)という名を決めたときのストーリーが英語ブログに載っています。  



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このサイト www.blechaczinfo.com 独自の著作物を引用なさる場合は、事前に サイト管理人 にご相談くださいますよう、お願い申し上げます。


2009年2月19日木曜日

順風満帆のラファウ・ブレハッチ

Dzień dobry. (こんにちは)
Dziękuję bardzo. (ありがとうございます。)

と、ポーランド語で挨拶することができた相手は、ラファウ・ブレハッチではなく、ポーランドの某大学の先生。
新潟で北東アジアの経済に関するセミナーがあり、このポーランド人女性教授がゲストスピーカーで参加され、
たまたま私が彼女のプレゼンの担当になりました。

プレゼン終了後、「私の話はむずかしくなかった?」と心配する教授に、
「いえ、わかりやすかったですよ(←うそ。)
皆さん、きちんと理解されたと思います(←ほんと。ちゃんと訳したよ、スライドの通りに。)」

あまり英語がお得意な方ではないので、不安をかんじられたのでしょう。
私はいきなり話題を変え、
「去年、ポーランドに行ったんですよ。私はラファウ・ブレハッチのピアノが好きなので。」
「あら、そう?!」

予想してなかったでしょうね。遠い極東の地方都市でこんな話題。しばし話して、
「コンクールは本当にphenomenal だったわ。でも、日本人も入賞してたじゃない?」
「はい、でも、ピアノの音からいって、私はブレハッチの方が断然いいと思います。」
彼女は輝く笑顔でバイバイしました。

今週はつらい仕事が続き、その暗闇の中で、唯一楽しめたひとときでありました。

かなり疲れ果てた状態で、夕べ、ブレハッチの東京文化会館でのリサイタルを観ました。
前半の古典派で爆睡するかも、と予想していたのですが、実際は、よりいっそう集中して聴くことになりました。

この日の客層は、普段のブレハッチのお客さんと随分違って見えました。
都民劇場主催で、ブレハッチのリサイタルは5回分の公演(オケや、歌や)の一部ということもあり、
劇場の常連客が多かったのかな?と思いました。
2300人の文化会館はほぼ満席。ちょっと心配していたのですが、よかったです。
チケットは完売だったそうです。すごいですね。
お客さんの満足度もまずまず高いように感じました。

今回のブレハッチのツアーは、サントリーホールを除いて満席となり、興行的には成功しているし、
新しいファンの開拓という意味でも、成果をあげているように思います。
サントリーホール、狛江、オペラシティではサイン会も開催されました。
(サントリーホールは、オケの愛好者の方が多く、ブレハッチのファンはマイノリティだったと感じました。)

演奏回数を絞り、しっかりとした主催者が選ばれているような気がします。
演奏場所の順番も、非常にうまくいっていると思います。

最初の福岡のコンチェルト。
会場となったアクロス福岡のプロデューサーの方は、どうやら元ジャパンアーツの方?(書いたものを読んで、そのように想像しています。)
事前のプロモーションは徹底していたようで、チケットは完売。
ブレハッチにとって新曲披露でしたが、すでに12月に共演しているオケ・指揮者ということで入りやすかったのでは、と思いますし、
福岡という場所も、東京のように演奏会慣れしすぎていないので、聴衆は素直に純粋に心からの拍手を贈っていました。

また、狛江でのリサイタル。
ブレハッチにとって、10月30日のドルトムント以来、3ヶ月ぶりのリサイタルでしたが、
小ぶりのホールで、都心でなく、熱心なファンが集合したことで、やはりなじみやすかったのでは、と想像しています。

その二日後のオペラシティは、かなり集中度の高い、洗練された演奏だと感じました。
こちらもチケットは早々に完売。
狛江では、心と指の間にやや不整合が見られたのですが、オペラシティでは慎重にとりくんでいました。
やはり、5人のピアニストシリーズの一貫としてチケットが出されていますので、
聴く耳のある、しかし必ずしもブレハッチだけのファンではない人々も多かったような印象です。
聴衆のレベルが高いと、演奏もよくなる気がしました。
この日はアンコールの最後に「月の光」が演奏され、ブレハッチならではの美音が人々の心にじんわりと浸透しました。

そして昨日の上野。やはり新しい人々がブレハッチの世界に触れる機会となりました。

日本でのツアーは、今日(19日)の横浜と、22日の大阪を残すのみになりました。
最後まで良い演奏ができることを心からいのっております。



ポーランドでは、ブレハッチのCDソナタ集が、ショパンプレリュードに続き、10月時点でプラチナディスクとなったそうで、
やはり前年に続き、フレデリック賞にノミネートされたそうです。
まずは、順風満帆、デス。  



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2009年2月10日火曜日

ベートーベンピアノ協奏曲第4番 ブレハチック

サントリーホールで、福岡と全く同じプログラムの演奏会がありました。
この日は、よりブレハチックな演奏だった印象。
優美で端正で、ロマンチックだなと思いました。
福岡とは全然ちがう印象でした。
いろいろなポケットがあるブレハッチ。

アンコールは、ショパンプレリュードop28-4。
拍手の感じで、2曲目もいくだろう、と思ったのですが、1曲で切り上げました。

どなたかのブログで、(男性のビジネスパーソンだと思います)、
op28-4の最後の3つの和音を弾くときのブレハッチが神がかって見えた、
ということを書いておられました。
(神々しい、だったかもしれません。英訳したあと安心して、オリジナルを無くしてしまいました。)
本当に、そういう感じでした。

次回この曲を弾くのは、3月19日と20日に、ワルシャワにて。
アントニ・ヴィト指揮、ワルシャワ・フィル:天王山、というとオーバーでしょうか。

今回の東京は、ブレハッチより、オケ目当てのお客さんが多かったようですが、
ワルシャワは、もっと客席が感情的に盛り上がるのでは。
ワルシャワは06年の10月以来、ポーランド全体で見ても、07年11月のポズナン以来、初めてだと思います。(記録によれば。)


私はベルリン放送響のベートーベン5番とシューベルト未完成に感動しました。
シューベルトでは、2楽章のクラの旋律の柔らかな音色を聴いているうちに泣けました。
いいオケだなあ。。暖かくて、深くて。
とても幸せそうに演奏する楽団員の方々。
すごく好きになりました。

福岡できりんの目をひいた、セカンドバイオリンのトップの方は、今回はトップサイドでした。
どうしてもきらきらした目の彼を見てしまう。別に恋に落ちたわけではないのですが。

アンコールの1曲目、ベートーベンの8番の、2楽章(だったと思う)、久しぶりに聴きました。
よかったです。すごく元気がでました。
ロザムンデもよかった。


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これまで、ブレハッチマターについては「圏外」にいた夫が、はじめてコンサートに行きました。
コンサートは、サントリーホール以外行かない、ワガママな人ですが、
ブレハッチの音が気に入ったようで、
「18日の上野のリサイタルに行かない?」と聞いたら、
「うん、これなら行く。」
ようやく圏内に入って、しかも旗3本、って感じ。
18日あたりは仕事も大変なので、パスしようと思っていたきりんも、気合入れなおし、です。

夫は、
「日本人はこういうの好きだよね。特に女性。彼は日本でどんどんもうけるといいよ。
スタジオにこもるタイプじゃないね。コンサートいっぱい開いて、サインしてあげてさ。
日本人と結婚すればいいんじゃないの。」
などと申しておりました。

「でもこの人、哲学の勉強とか、やりたいことがあって、演奏会はもっと減らすらしいよ。
きっと前世は聖職者なんじゃないかしら。」
「そう?もったいないと思うけど。」

というような周囲の誘惑の声が多いのでしょうねえ。
それらをわきにおいて、自分の道を歩んでおられるようで、
最近のツィメルマン氏のインタビューで、
「ラファウは今のところ mistake をおかしていない。」
という発言を見ました。

(これも英語ブログにはオリジナル記事とか載せてます。ご興味のある方はどうぞ。)

(英語ブログで、あと、2006年1月にポーランドで放送されたルポルタージュの映像で、
ブレハッチのお母様、妹さんがインタビューに答えておられ、
ブレハッチの自宅、通った学校の映像など、見ることができます。) 

2009年2月7日土曜日

素晴らしかった、ラファウ・ブレハッチの弾く、ベートーベンピアノ協奏曲第4番

福岡でのベルリン放送交響楽団・指揮マレク・ヤノフスキ + ラファウ・ブレハッチの演奏会に行ってきました。
英語ブログ一応感想と報告を書いたので、こちらはやめておこうかとも思ったのですが、
かなりいい演奏でしたので、記録しておくことにします。
(英語ブログに、リハーサル風景の写真のリンクをつけておきました。)


ブレハッチが春の雰囲気と呼ぶコンチェルトを弾く日、福岡はまさに春の到来。
ぽかぽかゆったりしていました。
にこやかに軽やかに舞台に登場したブレハッチ、大柄なドイツ人の中にあっては失礼ながら子供のように見えます。
着席した瞬間に、ぱっとベートーベンの世界へと心のベクトルを切り替えたように見えました。

1楽章の最初のピアノからオケが静かに受け継ぐ部分、むずかしい箇所だろうけれど、
美しくブリッジされた後オケがのびやかに広がり、
交響曲6番田園を彷彿とさせました。
ああ、ベートーベンだなあ。。

オケとピアノは絶妙にメッシュしていて、ピアノがオケの一部のように1楽章では感じました。
ピアノがひきたたない、という意味でなく、マエストロの棒のもと、
あたかもオケの楽器のひとつであるかのごとくテンポもニュアンスも強弱もぴたりとはまっている感じ。
(ずれる場合も、そうと感じない、というか。。)

オケとピアノが一緒に鳴っているのです。
相当リハを重ねたのか、あるいはソリストのセンスがいいのか。

ピアノが主役のショパン協奏曲とは異なり、オケとの調和が本当にむずかしい曲ではないかと思うのですが、
見事にそれぞれの役割を果たしていた気がします。

ブレハッチのピアノは、正統派のベートーベン、という印象でした。
前から2番目の近距離で観察できたのですが、指の付け根を支点に発音する時の角度が、
特殊なプログラミングを施したように自在に調整され、
指と鍵盤との出会い方もショパンの場合と違い、
姿勢や腕の使い方も違うと思いました。
確固とした部分、優美な流れがある部分、いろんな表情を多様に弾きわけます。

2楽章は、ブレハッチがインタビューで述べているとおり、オケとピアノの「断片的な対話」がすばらしく、
ここの弱音やニュアンスは他のピアニストにはできないブレハッチならではの美しさだと思いました。

(この「断片的」って、城所さんのインタビューにあった言葉ですが、
ブレハッチはどんな英語の単語を使ったのだろうと、すごく興味があります。
たぶん、fragmentaryではなく、もっと劇的な感じだと想像します。
記事用に和訳されてしまうと、意味合いが丸まっちゃって、個性がなくなる気がします。)

3楽章はますますベートーベンで、堂々たる演奏。私はカデンツァの出だしにしびれました。
純朴で力強いベートーベンらしい、だけどやはりブレハッチ的な清涼なフォルテの響き。
小さな体で(失敬!)よくこんな音がだせるなあ、と。
一楽章の優美なカデンツァより印象深かったです。
そしてマエストロはぐんぐん快速(はやいという意味ではありません。)に音楽を引っ張っていくのですが、
やはり絶妙なソロオケコンビネーションで、気持ちよく階段を駆け上がったら、そこは青空だった、みたいな。

ブレハッチの音色もよかったですが、私はオケも感銘を受けました。
暖かでエネルギーにみちた音が、ホール全体にじわーっと広がって、
ホールの音響ともマッチしていると思いました。
マエストロの棒もぐいぐいリードするのだけど強権的じゃなく、すごく魅力的。
私は一曲目の未完成から見とれてしまいました。

そうそう、私の席からは指揮者、ソリスト、コンマスのコミュニケーションのトライアングルがよく見えました。
指揮者のリーダーシップに従いつつ、お互いを尊重しあいアンサンブルしてるように思いました。
さらに、セカンドバイオリンのトップの方が、折々にコンマスとアイコンタクトをとるのですが、
立派な体格のこの方が真剣な目でブレハッチを見つめる、その誠実な面持ちに何だか感激してしまいました。

満席の会場からのブラボと、なりやまない暖かい拍手にこたえ、アンコール2曲。
ショパンプレリュードop28-4と、マズルカop56-2(なつかしか!!)

ブレハッチのベートーベン聴きたさに福岡まで飛んだのですが、オケも指揮も会場もよく、すごーく得した気分です。

私の昔の上司が、予定より仕事がはやくかたづいたので、ではやはり行こう、と問い合わせたら、完売だったそうです。
でも彼はこれを機会にブレハッチを好きになってくれました。
プレリュードのCDを買って、「こんな音のピアニストは聴いたことがない。いいピアニストを紹介してくれてありがとう。」と言って。
ほかにも、昔の同僚が来てくれてたはずです。(会えなくて残念)
むろん、東京その他からいーっぱいファンの方がみえてました。
とおくアメリカからも。 





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↓ こちら、ファンの方からいただいたコンチェルトの印象。(感謝!)
加工せずにそのまま載せさせていただきます。その方が伝わると思って。
ピアノの先生でいらっしゃいます。


「ベートーベンの感想は帰りの飛行機の中でずっと思い出してたんですが、
私は2階の左側のバルコニーにいたのでホールの全体がみわたせたんですが、
ほとんど満席・・一杯でした。

そして本当に超一流のベートーベンだと思いました。
垢抜けしてた・・分ります?この表現・・
ホール全体に、細かい音もすべてはっきり聞こえ、そしてダイナミックな音の厚みも
ちゃんとベートーベンの音、そして全部、意味のある音楽になっていました。

うっまいねー。どう思い返してもあのラファウさんの顔と結びつかないような
巨匠の演奏でした。

今までできいた4番のコンチェルトの中で一番感心?感激した演奏でした。

話はちょっとそれますが、かのアルゲリッチはこのコンチェルトだけはあまりに大切すぎて
弾けないと言っています。あらゆる点で難しいのだと思います。」

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↓ やはり、東京から観にいかれたファンの方の感想です。
ご姉妹3人でご覧になりました。

お姉さんの感想
「ブレハッチさんも、ピアノの音色も、何て気品があるのでしょう!
この様なピアニストはなかなか居ないわね~ 。」ととても感動してくれました。

妹さんの感想
(以前わたしが妹に何度もブレハッチさんのピアノの音色の美しさは際立っているなど話していたのを覚えていたらしく・・)
「私も今日の演奏を聴いて、こんなに美しいピアノの音は聴いたことがないわ~。
そしてブレハッチさんとてもお上品だし、なんてきれいな手なんでしょう~。」
とこちらも感激していました。

・・・とのことです。
お姉さまとご本人はかつて一緒にピアノを習い、
妹さんはコーラスの会で活躍なさっている、音楽好きの3姉妹、ということです。

ありがとうございました。 





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