Preludia - Unofficial website for Rafal Blechacz

Blog

2009年9月1日火曜日

ラファウ・ブレハッチ、ポーランドラジオとのインタビュー、CDショパン協奏曲について

2009年8月9日にポーランドラジオ2で放送された、ラファウ・ブレハッチのインタビューです。
インタビューは、7月の上旬か中旬に行われたようで、録音を終えたばかりの新CDについて、将来について、語っています。
ポーランドの、ラファウ大好きなダナさんとオラさんが英語にしてくださったものを、今日、ちょっと時間ができたので、記録としてアップします。
それ以前のインタビュー等と重複する部分はカットされています。

ブレハッチは今後、少なくとも2年位は新CDを録音する予定がないと予想されるので、記念です。

インタビューの英語 人物等のリンクがつけてありますので、参考にどうぞご覧ください。




RB: Rafał Blechacz
JH: Jacek Hawryluk (interviewer)


RB:オーケストラについては、1年前ロイヤル・コンセルトヘボウ(RCO)との共演の後、自分で決めました。イェジー・セムコフの名が心に浮かんだのも、ちょうどその時です。うれしいことに、僕の選択は受け入れられました。ショパンのコンチェルトの特別な雰囲気を考えると、どうしてもポーランド人の指揮者が良いと思いました。また、指揮者には僕の解釈を受け入れてほしい、とも思いました。

RCOは、短いフラグメントでも木管楽器を明瞭に聴かせるというセムコフの提案を喜んで受け入れました。

録音セッションは午前10時に始まり、午後1時か1時半まで毎日行われ、間にピアノや楽器のチューニングのため15分の休憩がとられました。1週間にわたって取り組みました。午後はマエストロ・セムコフや、コンマス、ピアノの調律士といろいろ相談しました。

マエストロ・セムコフとは、アムステルダムでの最終レコーディングに先だって、ポーランドで何度かお会いしました。僕たちはピアノの傍で、2つのコンチェルトの解釈についてかなり時間をかけて話し合いました。マエストロは、アゴーギクや色彩、ダイナミクスの変化についての僕の提案を注意深く聞いてくださいました。

僕はRCOの音色の質に魅せられました。また、演奏中、RCOが常に僕についてきてくれたのでとても心地よく感じました。2つのコンチェルトの特に第2楽章では、RCOととても美しく対話することができました。


JH: RCOは、ポーランドの舞踊をうまく表現できた?

RB: (笑いながら)RCOは第3楽章の演奏をとても楽しんでいましたよ。ポーランドの踊りをいい雰囲気で演奏するために、僕たちはたくさん時間をかけました。特にテンポとリズムに注意を払いました。録音されたこの部分を試聴したときは、RCOはうまく演奏したなあ、と感心しました。
RCOの素晴らしい楽団員たちは、僕たちの―僕とセムコフのアイディアを、何の問題もなくすぐに理解しました。

マエストロ・セムコフは、オケにあらゆる可能性を表現するよう、特に2つのコンチェルトの出だし部分では、何度も弾かせてくれました。ホールの完璧な音響も深いインスピレーションを与えました。

僕にとっても、2つのコンチェルトの最初のオケの部分はとても重要です。これによって、コンチェルトがこれからどう展開するのか決まりますから。この最初のオーケストラの美しい音色と、それが持つ可能性を聴かないとすれば、大きな損失だと思いますよ。

(同感です。視聴の1番目がほとんどオケだけでがっかりした、という声も聴きましたが、コンセルトヘボウの端正な演奏を楽しんだ方が得ですよ。きりん)



JH:君はクリスティアン・ツィメルマンが好きだけど、今回の演奏はツィメルマンのものとは随分違うね。ツィメルマンの演奏の、何を参考にしたの?

RB:1999年のツィメルマンの解釈は、彼独自のものですが、今日伝説のように考えられています。多くの指揮者やソリストに感化を与えています。
チューリッヒのトーンハレでコンチェルトを演奏したとき、マエストロのディビッド・ジンマンがツィメルマンのこのCDを聴くよう、オケに指示しました。僕はツィメルマンのそれ以前の演奏も聴いたことがあります。ピアニストが年月をかけ熟成していく証しだと思っています。

僕の解釈は良い意味でもっと若々しいものです。自分自身を表現したかったんですね。ツィメルマンの演奏のどこが影響したか、ちょっと特定できません。ただ、2曲とも、3楽章はルービンシュタインの解釈の影響を確かに受けています。他のピアニストでは、アルゲリッチや、アラウの演奏を聴きました。

マエストロ・セムコフは僕のアイディアを受け入れ、ご自分の考え方に固執しませんでした。僕についてきてくれました。マエストロはオケのパートではご自分のアイディアを実行しましたが、ピアノ部分では僕の演奏に美しい伴奏をつけてくれました。

ドイツ・グラモフォンとの最初の契約が順調に終了し、うれしく思っています。10日ほどしたら、僕はハンブルグへ行き、録音を全部聴きなおして、最良のものを選びます。編集作業にも最後まで立ち会います。

(きりん注:ハンブルグでの作業は、8月中旬にめでたく終了した、と報道されています。)

グラモフォンとは、3枚のアルバムを対象とした、新たな契約にサインしました。次のアルバムはショパンではありません。ポーランドの別の作曲家の作品その他が含まれます。こうした作品は、まもなく自分のコンサートで演奏する予定です。新CDののための、それ以外のマテリアルもすでに用意しましたが、今は、新CDについては話したくありません。


JH: 今はどんな風に勉強しているの?先生についているの?それとも独学?

RB:今は1人でやっています。常時見てくれる先生はいません。しかし、どのピアニストもそうでしょうが、「第2の耳」で確認したり、インスピレーションを得る、ということは必要です。なので、ツィメルマンやポリーニといった偉大なアーチストとお会いすることを重視しています。今度、コンサートでイタリアに行く際、マリア・ティーポと会うことになっています。自分が取り組んでいる作品に十分時間をかけ、作品への自分の見解を持ち、その上でその作品についてディスカッションすることは重要だと思います。


JH: 哲学の勉強を始めたと聞いたけど、勉強時間はとれるの?

RB:哲学の勉強は僕にとって、ピアノを離れてリラックスするとても良い方法です。1年目の課程は修了しました。ツアーの際本を持ち歩いて読む、というのが、僕の勉強方法です。僕は音楽の哲学に夢中で、哲学が僕の音楽学を支えているわけです。ロマン・インガルデンとヴワディスワフ・ストゥルジェフスキを読みました。ストゥルジェフスキ先生の「創造に関する弁証法」(Dialektyka twórczości)は、様々な芸術の解釈の考え方に関するものですが、非常に興味深かったです。

もしかすると、将来書くことになる学位論文は、特定の音楽作品の正しい解釈、という問題を扱うことになるかもしれません。


(きりん注:このストゥルジェフスキ先生とのインタビューが、新CDのライナーノーツに入るということです。日本版はどうなのか知りませんが。)


JH:ショパン年の2010ですが、将来の計画は?

RB:そのためにショパンの2つのコンチェルトは先に録音を済ませておきたかったのです。2010年は多くの演奏会で弾きますので、レコーディングの時間がとれませんから。3つの大陸を回ることになります。

しかし、僕は2011年の準備も、始めています。2011年は何回か、アメリカで演奏する予定で、フィラデルフィア管弦楽団とリストの2つのコンチェルトで共演します。指揮は、シャルル・デュトワです。デュトワとは、すでにショパンコンチェルト第1番で共演しており、素晴らしい経験でした。


JH:来年はワルシャワのショパンコンクールもあるれど、コンクールのことはよく思い出す?それとも君の光り輝くキャリアや将来の方が関心があるのだろうか?

RB: 僕はどちらかというと未来を見ています。でも時々、僕の人生を変えることになった瞬間のことも思い出します。今でもホ短調のコンチェルトを弾いていて最後の2ページになると、意識の深いところでコンクールの記憶がよみがえってきます。特にあの嵐のような拍手は忘れられません。.


JH: コンクールの時の演奏と、今回のアムステルダムでの演奏は、全く違う世界のもの、という印象を持ったよ。

RB: それは、僕の音楽家として、また人間としての成長の結果だと思います。様々な多くのピアノ作品やコンチェルトを、世界中のいろいろなオーケストラや指揮者と演奏してきた、その結果であることは、間違いありません。そのお陰で、自分の演奏する音楽が、「手や指と共に成長し」、心の中で成熟し、ゆっくりと、自然に変化してきているのでしょう。


JH:どうもありがとう。ポーランドラジオ2は、君の成功を祈ります。
RB:ありがとうございました。

********************

このウェブサイトに引用している画像・文章等は、著作権を有する所有者に属するものがあります。
このサイト www.blechaczinfo.com 独自の著作物を引用なさる場合は、事前に サイト管理人 にご相談くださいますよう、お願い申し上げます。