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2009年7月18日土曜日

「ピアノとのかかわりは捨てません」―ラファウ・ブレハッチ、インタビュー(ポーランド)

「Wprost Light」09年7月12日号に掲載の、ラファウ・ブレハッチのインタビューです。

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「ピアノとの関わりは棄てません。」

2005年ショパンコンクールの覇者ラファウ・ブレハッチ、音楽への愛、コンサートの魔法、将来のプランを語る。


ラファウ・ブレハッチはこれまで一度も――幼いころからずっと――音楽への気持ちがくじけたことはないと言う。しかもそれは、両親から強制的にピアノを弾かされた、というのとは全然違う。子供の頃からすでに将来何をしたいのかわかっていた、と彼は言う。長時間連続してピアノの練習を続ける能力は、周囲を心から驚かせた。

だからと言って、彼がピアノのみに若い時間を費やしていたわけではない。普通に成長したんです、と彼は強調する。ボール遊びもしたし、自転車も乗り回した。

しかし、ある時点で、音楽の重要度が増し、彼にとって必要不可欠な要素となった。
ひとつの単純な事実が、将来の道を決めるのに最大の役割を果たした。この若い音楽家は、他の人々のために演奏することを、心から愛したのだ。

かつて演奏会を開き楽しんだ日々を、この若いピアニストは思い出す。ミサのような式典で伴奏をしたとき、わくわくするような雰囲気が湧き上がるのを感じた。

「演奏を始める前の、部屋に満ちわたる静けさに魅せられました。最初に鍵盤に触れる直前の静けさは、これから具体的な感情を伝えるのだ、という徴候であり、
鍵盤に触れた瞬間、僕は部屋の中の聴衆と交流していると感じます。
そして、最後には人々の拍手で報われるのです。」とブレハッチは語る。

この点は、今もかつてとあまり変わらない。
聴き手が満足すること、これが、この音楽家にとって最高の賞であり、さらに技術を磨くための動機付けとなる。

家族には昔からアマチュア音楽の伝統が続いていた、と、この音楽家は述懐する。祖父は音楽隊に属し地元の祝典で伴奏していたし、父とおじもピアノを弾いた。ラファウが生まれたとき、家にあったピアノが彼を迎えた。

幼いラファウはピアノによじ登ってはメロディを探り、両親はすぐに察した。5歳のとき、彼をナクウォの音楽センターにまず入れ、その後、ビドゴシチの音楽学校へ送った。

おそらく、この音楽家の子供たちも、同じ道を歩むことになるのかも知れない。
しかし、家庭を持つ予定は、今はない、と言う。

音楽に加え、彼は学問も吸収している―2008年より、トルンのニコラス・コペルニクス大学の哲学科博士課程で勉強している。

ラファウ・ブレハッチは友情について語ってくれた。彼と、クリスティアン・ツィメルマンをつなぐ友情である。
ショパンコンクールでの勝利の後、二人は7日間を共に過ごした。その間、多くの時間をショパン、ドビュッシー、ベートーベンを弾いて過ごした。そして、ツィメルマンはきっちりと勉強すべき音楽として、CD30枚をブレハッチのために探してくれた。

こうした親しい関係は、クラッシック音楽の世界では主流となっている。例えば、ツィメルマンが成功した直後、アルトゥール・ルービンシュタインと1週間滞在した、と言えば十分だろう。
むろん、プロの演奏家の環境では、友情もあれば、競争・ライバル関係も存在する。
しかし、この若いピアニストは特に気にしていない。

「様々な音楽解釈があるわけですから、いいことだと思います。絵画のギャラリーと同じように、聴き手は自分で好きな音楽を選べます。どの演奏家もそれぞれ聴衆がいるわけです。」と言う。

しかし、この音楽家は、ある一定の限界線を越えないことが重要だ、と指摘する。
自分は聴衆のために演奏するが、聴衆に支配されて弾かされるのではない、と。
また、大きなコンサートホールを離れ、ひとり自分自身のために弾くのも楽しみにしている、とこのピアニストは強調する。

もしコンサートをやめなければならないとしたら、それはとてもつらいことだろうが、自分は耐えられる。
しかし、ピアノとの触れ合いは、決して棄てることはないだろう、と。

ピアノ。ブレハッチは人生でピアノをとても愛しているが、それだけが音楽への関心の全てではない。彼はツィメルマンやバレンボイムのように、指揮棒を持ちたいとの誘惑にかられると言う。指揮についての知識をもつことで、音楽の解釈の助けになるし、協奏曲の際、ソリストからの要求をオーケストラに伝えやすくなるのでは、と彼は考える。

ブレハッチはオルガンの演奏も好きだと強調するが、ショパンコンクールの後はそのための時間が減ったとも言う。オルガンの音色や教会での演奏は、魂の輝きと平和な静けさを醸成すると考える。

クリスティアン・ツィメルマンは、ブレハッチが自分に続いてピアニストとしてのバトンを受け取ってくれるだろうと、以前、語った。ブレハッチは喜びを隠すことはなく、こう言った。

「とてもうれしい言葉です。僕の芸術家としてのあり方が適切だということの証明ですから。」
さらに、これはとても大きな決意と約束を伴うものだ、とも。

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