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2009年7月25日土曜日

人生と音楽で大切にしているのは、自然であることです。―ラファウ・ブレハッチインタビュー(ポーランド)

ラファウ・ブレハッチがRMF Classic というポーランドのラジオ局のインタビューを受け、その内容が同ラジオ局のウェブサイトに7月24日に公開されました。
3枚目のCD "Chopin The Piano Concertos"の録音の状況などを話しています。


ブログのこの題名「人生と音楽で大切にしているのは自然さです。」のもとになった部分、
Zawsze stawiałem na naturalność w życiu i muzyce.

文字通りの意味は、「人生と音楽において、僕は常に自然さに立脚してきた。」or 「常に自然さを強調してきた。」
(だと思う。私はポーランド語の学習者ではないので。辞書をひいて、文法に従って並べただけです。)

あるいは、「自然さ」という言葉は日本語としてとても不自然なので、
「僕は常にナチュラルでありつづけようとしています。」「自然体を心がけてきました。」

でも、ブレハッチの雰囲気からして、もう少し「やまと言葉」で表現したいなあ、と思い、「大切にしている」としてみました。

ブログをアップしたあと、「あ、この表現は、今年ブレハッチが来日したとき雑誌に出たインタビュー記事と同じだ。」
と気づきました。

雑誌の表現をまねしたわけではないし、雑誌の方でブレハッチが原語で何と言っていたかももちろん知らないし、たまたまです。
でも彼の基本的な考え方はこういうことなのだと思います。


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人生と音楽においては、自然さを大切にしています。2つのコンチェルトの録音では、正直に、僕の心からまっすぐ流れ出るように演奏しました。
傑出したポーランド人ピアニストは、また勤勉な夏を過ごしている。ラファウ・ブレハッチはドイツ・グラモフォンからの3枚目のアルバム、ショパンの2つのコンチェルトの録音を終えた。録音セッションの裏話やショパン、今後の計画について、マグダ・ミシュカが話を聞いた。


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-7月の始めにアムステルダムのコンセルトヘボウで演奏なさいました。世界でも屈指のホールですが、このような場所での演奏は、あなたにとって重要ですか。

もちろん重要です。このコンサートはドイツ・グラモフォンが録音しましたから、僕は幸運です。コンセルトヘボウでの演奏会は今回が4回目、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)との共演は2回目で、僕にとっては素晴らしい経験となりました。アムステルダムの聴衆を前にすると僕はいつも幸福な気持ちになります。


-アムステルダムの聴衆は率直ですか、それともあまり感情をあらわに表さないのでしょうか。

聴衆は熱意に満ちていますが、同時に洗練され音楽に精通しています。このホールではとても幅広いレパートリーが演奏されており、偉大な芸術家達が演奏を重ねてきました。このような聴衆に、今回も喜んでいただき、うれしいです。


-スタンディング・オベーションでしたね。

アムステルダムの聴衆は、僕が去年サンサーンスのピアノコンチェルトト短調を演奏したことを覚えていて、今回はショパンを心から歓迎してくれました。前半のコンチェルトヘ短調で既にスタンディング・オベーションでした。僕はオーケストラの団員がポーランドの民謡風の部分を演奏する様子を見て、とてもうれしくて楽しかったです。オケにとっても素晴らしい経験だったのでしょう。


-このホールは音響が良いことで有名ですが、ご自身でも感じましたか。

はい。音響はリハーサルの時も素晴らしかったです。聴衆がいないリハーサルの時と、音を聴衆に届ける本番と、両方録音しました。


-この会場のスピリットを感じましたか。巨匠が数多く演奏していますが。

歴史のあるホールではどこでもそういった雰囲気を常に感じます。
会場の魅力が僕の感情を盛り上げ(nastrajać、~の気分にさせる、楽器を調律する)、演奏や美しい解釈の発見を助けてくれます。ですから、こういう会場で録音することが大切だと思います。


-演奏会の後もアムステルダムに留まり、コンセルトヘボウで最新アルバムの録音を続けました。次のアルバムに向け、夏の間に取り組まれましたね。

そうですね。演奏シーズンは普通6月半ばに終わりますので、夏は演奏会活動は休みになります。オーケストラもこの時期空いていましたので、7月第一週に録音をするよう計画できたのです。僕は夏が好きです。新たなレパートリーに向けて取り組むように促されます。


-今度のアルバムはショパンの2つのコンチェルトです。これは欠くことのできない大切なステップですか。

アーチストの仕事は常に開拓し改善を目指すことです。確かにこのアルバムはショパンに関連した更なる一歩です。ショパンコンクール後の数年間、僕は2つのコンチェルトを、様々なオーケストラや指揮者と共演してきました。この経験は解釈・演奏に影響しています。今最も重要なのは、このプロジェクトの準備のために最善の方法を選ぶことです。僕とドイツ・グラモフォンは、僕が気持ちよく演奏できるオーケストラを選びました。僕にとってもDGにとっても、これはとても重要なことでした。


-コンクール以降、どんな風にショパン音楽へのアプローチが変わりましたか。

言葉で言うのはむずかしいのですが、アーチストとして成熟していく、自然なプロセスだと思っています。特定の作品をさまざまな異なった場で提示することで、その作品が、指だけではなく心と知性によって凝縮されていくのです。大きな変化というのはありません。僕は解釈上論議をかもすようなアイディアを支持したことは一度もありません。僕は常に人生と音楽において自然さを大切にしています。2つのコンチェルトの録音では、正直に、僕の心からまっすぐ流れ出るように演奏しました。僕はフレデリック・ショパンが寄り添うような感情を求めています。ショパンの様々な感情に入り込み、僕の経験のプリズムを通じてそれらを表現したいのです。


-あなたにとって2つのコンチェルトは、ショパン作品の中で最も重要ですか。

コンチェルトだけが最も重要ということはありません。ショパンの全ての作品はとても豊かです。全作品を全部取り出しても、20時間を超えません。せいぜい22時間程度です。しかし、どの曲も全て、本当に美しいのです。ショパンのコンチェルトは、オーケストラとともに演奏する曲という意味で価値があります。ドイツ・グラモフォンとショパンプロジェクトについて考え、議論したとき、ショパンのコンチェルトを取り上げよう、というアイディアを思いつきました。僕もグラモフォンも、2010年という年を強調したいと思いました。コンチェルトは僕の長年のレパートリーですので、僕はこれを演奏することに決めました。ステージで演奏を重ね経験をつんできた作品を録音することは意味があると思います。様々なディテールを追求し、深めて、解釈の核心をつかむことができますから。


-ほんの2,3ヶ月前、あなたは、新アルバムで共演するオケはサプライズですよ、でも最高の音楽家達です、とおっしゃっていました。RCOとの共演はどんな風に実現したのですか。

僕は1年前このオケと出会い、これはショパンのコンチェルトを演奏するにはドリーム・チームだと思いました。ベルベットのような音色や、気高い至高の響きに魅せられました。第一楽章を録音したとき、バスーンやフルート、ホルンの小さなソロ部分は、本物の若手による傑作でした。このような音楽家達と共演でき、録音された演奏を聴いていると、もう、本当にうれしくなります。


-オケはどんな人たちでしたか。

すごく暖かくて。1回目の録音セッションは6月30日、ちょうど僕の誕生日だったのですが、オケは僕を勝利のファンファーレで歓迎してくれました。若手の音楽家もたくさんいます。彼らはポーランド特有のリズム、例えばヘ短調コンチェルトのマズルカのようなリズムを演奏する喜びを引き出していました。すごく柔軟で、僕の意図を全部感じ取ってくれました。ソリスト、指揮者、オーケストラの絆はとても大切です。


-録音セッションはどんな感じで行われたのですか。

僕は朝8時にはコンセルトヘボウ入りしていました。もっと早い日もありました。セッションは朝10時に始まります。まずピアノが準備されました。録音開始の数日前に調律士と話す機会がありました。彼と良い関係ができて、おかげで、僕が望むようにそれぞれの曲に適切な形で調律してもらいました。


-ピアノはどうでしたか。

スタインウェイのコンサート用グランドピアノです。僕は本当に素晴らしい楽器に出会えて、アムステルダムで毎回このピアノで演奏してきました。4年近くになりますが、本当に素晴らしいピアノです。


-録音セッションの話に戻りましょう。

まずホ短調から始めて、次にヘ短調を行いました。休憩は25分、セッション全体の時間は3時間半、このような録音セッションを合計6回行いました。これには、演奏会前のゲネプロと演奏会も含まれます。相当、十分な時間がありましたので、プレッシャーを感じることなく実験することができました。例えば、ヘ短調コンチェルト2楽章の有名なレチタティーヴォは、3種類のバージョンを録音しました。3回とも、それぞれ少しずつ違います。いろいろなバージョンを録音して、自分たちに最も合ったものを選ぶ、というのはマエストロ、イェジー・セムコフのアイディアでした。


-ドイツ・グラモフォンとの数年間の協力で、どんな学びがありましたか。

録音プロセス全体をコントロールすることが重要だ、ということです。ポーランドに戻って録音したものから距離をしばらくおきました。その後、マテリアルを聴き、最良のものを選ぶためにハンブルクへ行きました。(注:この部分は、1,2枚目のCDの時のことと思われます。今回ハンブルクに行くのは、このインタビューの後になるでしょう。)同様に重要だったのは、ドイツ・グラモフォンの人々と、プロジェクトやレパートリーについて話し合うことでした。DGはドイツ、フランスといった市場や聴衆の趣向を熟知しています。このような指揮者やチームを選ぶ、ということも素晴らしいことでした。


-アムステルダムを観る時間はありましたか。

今回はありませんでした。以前は少し時間がとれました。アムステルダムは美術館も多く、とても面白い町です。今回は残念ながら時間がとれませんでした。録音セッションの時間は限られているので、終わるとピアノに戻って練習しました。音に取り組み、調律士と話し、午前中録音した部分について質問をしました。ただ、今回は両親と妹が一緒だったので、家族はアムステルダムの魅力を満喫することができました。


-ショパンイヤーが近づいてきました。世界中で様々なイベントが行われます。商業的な形でショパン物語とか、映画とか。どう思いますか。

いいと思いますよ。そういう方法が、普段音楽に関わりのない人たちにも接点を持たせるのであれば、いいアイディアだと思います。


-CDのプレミアは9月18日。今後の計画を聞かせてください。

2010年はコンサートを集中的に行います。ヨーロッパでも一連の演奏会を計画していますし、アメリカ、日本でも本格的なツアーを行います。CDの録音は2009年の後半に終わらせたかったのです。そうすれば2010年はコンサートに集中できますから。


-お時間、ありがとうございました。

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