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2009年5月9日土曜日

バレンシアのある聴衆が見た、リサイタルでのブレハッチ

英語ブログに載せた記事、そのまんまの和訳です。
今回のスペインツアーでは、プロが書くレビューに加え、いくつかのブログ記事が目をひきました。
きちんとしたレビューになっており、プロが、「21世紀の星!」とか「グローバルな現象」とかはしゃいでいる一方、
むしろ一般の愛好家の方が正確・客観的に評価しているように思いました。


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(和訳)
ラファウ・ブレハッチの5月5日、バレンシアでのリサイタルに関しては、4,5件のブログ記事を見ました。
以下、とっても網羅的だな、と思えるものをアップします。

著者(男性、たぶん30-40歳位?)は、ご自身のブログに音楽レビューをいくつも書いておられます。
ブレハッチのファンではなく、(CDソナタ集はまだ聴いていないそうです)
しかし、リサイタルでのブレハッチや聴衆の反応を細やかに記述していらっしゃいます。



オリジナル・レビュー記事(スペイン語)

(ブレハッチの紹介:コンクール、DGとの契約等、省略)

ラファウ・ブレハッチが昨日バレンシア音楽堂のサラ・ロドリゴで感動的なコンサートを開いた。
バレンシアの聴衆のための、外国室内楽とソリストシリーズの一貫で、主としてポーランド人作曲家に焦点をあてたプログラムだ。

しかし、彼はショパンが深く敬愛したバッハのイタリア協奏曲で演奏を開始した。

彼は優雅で高貴なフィンガリングと、1ミリレベルの正確さで、最初のリズムを演奏し始めた。
これは昨夜の演奏全体に言える特徴だ。

完全無比の技術力の実行、自己顕示は一切ないが、しかし、冷たいのいうのとも全く違う。
明瞭なシンプルさで、彼は最終楽章プレストの途方もない速度を、親密で深い味わいのあるアンダンテにつないだ。


「ショパンの後継者。
彼の手は、まるで一対の白鳩のよう。」
あるスペイン女性のブログより。
ガリシアでのコンチェルトに感激して。



残念なことに、極めて美しい第二楽章で、ポーランド人ソリストの奏でる微妙な味わいは、
テロリストの如き咳と痰をすする音、獰猛なくしゃみの攻撃を受けた。

これが豚インフルエンザの影響かは知らない。しかし、連中の豚のような態度を見れば、その可能性はあるだろう。
実際、昨日のバレンシア音楽堂での聴衆の態度は、他の本会場でのコンサートや別の会場より、概ねずっとましだった。

ブレハッチは丁寧に、鍵盤と手を拭いた。彼は曲の開始ごとに、この動作を繰り返した。

次に彼はザルツブルクのモーツアルトの領域へと勇ましく進んだ。
曲は、ソナタk570。

ブレハッチは天才的なテクニックと解釈能力を確信させた。
しかし、昨夜のリサイタルではこの曲においてのみ、冷たい感じが直感的に感じられた。

同じポーランド人作曲家シマノフスキの変奏曲op3は、音符の奔流をつきすすみ、どんどんと感情の高まりを見せ、
極めて困難な曲であるにもかかわらず、ブレハッチは深く感動的な解読を示し、この最高に美しい曲に潜むあらゆるニュアンスを表現、
前半最後を情熱的に締めくくった。





しかし、最高のものは、まだこれからだった。
後半は全てショパンの曲。
ブレハッチは、なぜこの同国の作曲家の演奏にかけては専門家とみなされるのか、明らかにした。

驚くほど美しい作品、バラード3番op.47。
ブレハッチは23歳とは思えない深く円熟した演奏をし、優雅に、極めて純粋に楽器を操った。

ショパン晩年の作品である、2つの夜想曲op. 62は、印象派への進化をにおわせる特徴がある。

この夜想曲と次の4つのマズルカop.17では、演奏のリリシズムは最高度の高みに達した。
彼はひけらかすような所作は一切ない。
清浄かつ流暢なフレージングにより、彼が一音一音から引き出す感受性と詩情は、我々の耳を優しく撫で、
ついに聴衆の心を奪い、感動に満ちた聴衆は、今度は皆、修道士のごとく静寂となった。

(筆者はここで、夜想曲 op 62-1のビデオを貼り付け )



Sala Rodrigo of Palau de la Música in Valencia

もう一度鍵盤を拭いた後、ついに英雄ポロネーズop.53を開始した。
勇壮なこの曲を、他のピアニストであれば過度な熱意でこれみよがしな演奏をするところだが、
ブレハッチは他の作品の演奏と同様、精密なテンポと完璧で流暢な演奏を続けた。
強力かつ清潔な音色。愛国主義的に楽器を叩くことなく、知的な譜面の解読によって、彼はまたも会場を感動で満たした。

当然長く続く拍手とブラボの歓声が、にこにこするブレハッチに贈られた。
彼は何度もステージに戻され、ついにベートーベンのソナタop2-2のスケルツオを演奏した。
優美で生き生きとしたアンコール。


悪く言えば、古い、簡単な音楽。何千回と耳にされてきた楽曲。
しかし、だからこそ、彼が昨日行ったように、聴衆に感動を与えようとすることには意味がある。
この、とても若いポーランド人は、しかも、自分の演奏を楽しんでいたし、
(まだその域には達しないのかもしれないが)、「21世紀のピアノの星」と今は称されている。 

(注:ガリシアの演奏会のレビューで、ある評論家がブレハッチをこのように呼んでいたので、
そのことをさしていると思われます。)


(筆者はここで、英雄ポロネーズのビデオを貼り付け。)



著者は、大きな咳やくしゃみを、テロリストと比喩しています。
先日、ブレハッチのパリのリサイタル(3月27日)がラジオ放送された際、同様の「爆撃」を私も聞きました。
咳は仕方ないけど、せめて手で口をおおえばいいのに、と思いました。

*彼のブログのコメント欄に、「そのテロリストの座席は○列の○番だった。」という告発がなされていました。
約1名、困った人がいたのですね。 400名程度の小さなホールなので、めだったのでしょう。
パリは大きな会場(約2000席)で、もうクラスター爆弾のごとく、あっちこっちから爆音が聞こえていました。

別の記事で、バルセロナでのリサイタル(4月28日)で、聴衆のマナーが悪く、さまざまな音(床にものを落すとか)
が聞かれた、というのも見ました。


にもかかわらず、ブレハッチ自身は、
「バルセロナは大きな会場も(注:カタロニア音楽堂、2200席、世界遺産)ほぼ満席で、
聴衆の反応がとてもよく、いい雰囲気でエネルギーをもらい、
彼らのためにいい感じで演奏できた。」
と、機嫌よく発言していたそうです。
素晴らしい集中力デス♪

去年、ドイツの インタビューで、 ブレハッチは、どんな聴衆が理想的ですか、と問われ、
彼の答えは、

「コンサートの間咳をせず、携帯をオフにし、お菓子の袋を開けず、寝ない聴衆。
つまり、演奏を聴いてくれる聴衆。でも無理ですね。」


無理・・・じゃないですよね。アタリマエのことですよね。
少なくとも日本では。(と信じたいデス。)



5月15日の早朝、ブレハッチとフランス国立管弦楽団のパリでの共演が生放送されます。
前回のパリのリサイタルと同じシャンゼリゼ劇場、放送も同じラジオ局です。
Preludiaに書いておきましたが、念のため。
日本では、5月15日、午前3時から5時28分ですね。
MP3のリンクは、前回のリサイタルのときと同じだと思います。
急なキャンセル、番組変更の可能性もあると思います。


ラジオでの生放送はなくなったようです。私が気づいたのは、日本時間の5月14日19時すぎです。
こちら


ブレハッチがパリでオケと共演するのは、初めてではないかと思います。
Pour son premier rendez-vous parisien avec orchestre,
Blechacz interprète le Deuxième Concerto de Saint-Saëns (乾杯♪) 

(↑・・・プレビューのコピーです。)

2007年の10月に、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団と、彼らの地元で共演していますので、
フランス全体では2回目、ですね。
今回は、プログラムもとてもフランスです。。

↑ スミマセン、この前に、2006年のラロックダンテロン音楽祭で、(つまりフランスで)コンチェルトを弾いています。
オケはワルシャワの国立管弦楽団でしたが。
偶然この記事を見直して気づきました。(2009年9月7日、追記)



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